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外国人メイドは解禁されるか

2016-01-14 | 政治
日本で実際に家事代行サービスを利用している世帯は、たった2%しかない。さらに、外国人メイドに関しては、入管法で「一般的には」雇用することが、禁止されている。
 
一部、「月額15万円以上の報酬」を支払うことを条件に外交官、あるいは年収1500万円以上の企業幹部、さらには技術者や研究者など高度人材と認可された外国人などには、外国人メイドを雇用することが限定的に認められている。日本は国際的に諸外国に比べ、家事・育児時間が長時間で、OECD(経済協力開発機構)の調べでは1日当たり、女性が299分で先進国の中ではダントツ。一方、男性は62分で最低レベルだった。
 
そこで安倍晋三政権は先月、国家戦略特区会議で、2016年3月にも家事支援をする外国人メイドの受け入れを神奈川県で試験的に始めることを決定した。家庭内の負担を軽減し、子供を持つ働く女性の活躍機会を増やし、経済成長につなげたいとの考えからだと言う。資格条件は18歳以上で、1年以上の実務経験があり、必要最低限の日本語能力が必須だ。これらの条件を満たした外国人が、政府などが認定した企業と契約を締結した時点で、在留資格が支給される。しかし、一般的な共働き世帯には高嶺の花。なぜ日本政府は需要が期待できない家事代行サービスを、しかも、外国人メイド解禁に踏み切るのだろうか。
 
1つに米国の圧力がある。米国が企業の駐在員への外国人メイド派遣拡大を認める規制緩和を要請し、日本に圧力をかけてきたのだ。
 
モデルとしているのが、外国人メイド先進国のシンガポール。外国投資を積極的に呼び込むことで急成長、今では1人当たりGDP(国内総生産)が日本を超える、アジアナンバーワン。その経済を支えているのが、人口のおよそ30%近くを占める「駐在員」。いわゆる欧米など先進国から派遣されたグローバル企業の年収数千万円から数十億円の超高給取りのホワイトカラー族である。シンガポールは彼らを大量に呼び込む一方、フィリピンやインドネシア、最近ではインド、タイ、カンボジア、バングラデッシュ、ネパール、中国から外国人のメイドを招致し、駐在員に快適な環境を作り出すことでい経済成長を実現させた。
 
そして、もう1つ、日本政府が外国人メイド解禁に踏み切った最大の理由は、高齢者介護の担い手を作り出すということ。
 
アジア諸国で先駆けて外国人メイドシステムを導入したシンガポール。世界でも有数の「外国人メイド雇用先進国」のその歴史は長く、約40年前に遡る。仕事を持つ女性の家事や、育児の肩代わりを代行するベービーシッターもこなす外国人メイドは当初は5000人ほどだったが、2013年末には公称で約22万人にも膨れ上がり、今では約4世帯に1世帯が 外国人メイドを雇っている。メイドの月給は500から600シンガポールドル(約4万1500円から約5万円)で日本の約3分の1足らず。しかも、雇用主であるシンガポールの共働き世帯の平均月収は1万503ドル(2014年統計、約90万円)と日本より高いために、外国人メイドの活用は経済的合理性が高い。シンガポール国民の約80%が居住する公団住宅の家族向き住宅には必ず「メイド部屋」がある。広さ2畳から3畳の部屋でエアコンも窓もないが、母国での安価な給料や過酷な生活を考えると、彼女らにとっては天国と言ってもいい。シンガポールで保育園に子供を預けようとすると、メイドを雇う費用の3倍近くに相当する1500シンガポールドル(約13万円)ほどがかかってしまう。メイドの方がはるかに安価で利用しやすいこともメイドの利用を促してきた。さらに、アジアで日本以上の超高速スピードで進む少子高齢化のシンガポールでは、外国人メイドが高齢者を介護している風景も街中でよく見かける。
その数は毎年増加し、今や10年前の2倍以上に相当する世帯(同世帯の約15%)が1人以上のメイドを雇用しているという実態も浮き彫りになってきた。出生率が日本より低いシンガポールでは、高齢化率も2030年に約25%に到達する。独居高齢者も9万人を超えると見られ、30万人の外国人メイドが必要になるだろうと指摘されている。
 
一方、メイド先進国であるがゆえに様々な課題やトラブルも浮き彫りなっている。
肉体的虐待を受けたり、過重労働の強要、休日や食事を与えられないメイドがいる一方、メイドによる窃盗、雇用主の幼児や高齢者への虐待などである。また、外国人メイドの誘致は、移民の増加を促す可能性がある。そこでシンガポールでは彼らが本国から家族を呼び寄せることを禁止しているだけでなく、半年に1度の妊娠検査を行い、雇用主に強姦された場合を含め、妊娠が発覚した場合、即座に強制帰国を命じている。そして不況になった場合は、真っ先に解雇され本国に強制送還されてしまう。「外国人労働者はバッファに過ぎない」とリー・シェンロン首相が発言しているように、「労働力の切捨て、使い捨ての国策」を敷いてきたからこそ、シンガポールは豊かさを享受できているという見方もできる。
 
さて、シンガポールの発展にとってメイドは重要な役割を果たしてきたが、少子高齢化の歯止めには全くなっていない。女性の社会進出には強力な武器となるが、少子高齢化を抑制するどころか加速させるとしたら本末転倒である。
 
 
もう一つ、裏がある。パソナも家事代行サ-ビスをやっている。安倍政権の労働に関するあらゆる政策にパソナの利権が絡んでいる。
竹中平蔵「アベノミクスに関連し、富がしたたり落ちるという意味で、トリクルダウンという言葉がよく使われます。  しかし、実際にはそんなものはありません。口を開けて待っているだけで物事が良くなるはずがない。富を拡大したければ、そのための仕組み(利権構造)を整備しなければ。」
その通りです。安倍首相にすり寄って、トリクルダウン効果を享受しないやつは口を開けて待っているだけの馬鹿な奴。
竹中氏は、「イノベーションか、それとも遅滞と既得権益だらけの旧復古体制か?」という二値論理を好んで提起するが、ペテンの極みである。竹中平蔵氏がイノベーションと言うとき、あらゆるセーフティネットを外資のために取り外せと言っているに等しい。

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