オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

スマホのリスク

2013-08-15 | 社会

スマートフォンが爆発的な普及を見せるなか、利用者の伸びが著しいのが中高年である。使い始めた途端、片時もスマホを手離せないほどハマッてしまう人も増えているという。「スマホ中高年」が陥り易い失敗やリスクには、どんなものがあるのか。リスクの実態と対策をリサーチしてみよう。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
 国民生活センターの発表によると、通話料、パケット料、機器や通信サービスの品質など、スマホに関する相談件数は、2009年度の568件から2012年12月31日時点では5043件へと激増している。とりわけ有料サイトからの料金請求など、スマホを利用したデジタルコンテンツに関する相談件数に至っては、2009年度のわずか2件から2012年12月31日時点では1万1673件まで増えた。

第一に気をつけたいのは、ガラケーとは異なる「基本料金」に関するリスクである。
 静岡県在住の50代のユーザーは、ガラケーの電池交換のため携帯電話ショップを訪れたところ、経年劣化を理由に新機種を勧められ、スマホに機種変更したという。男性は支払い額が変わらないことを確認した上で、二段階制の「パケット料金定額プラン」を契約した。
「インターネットを使用せず、メールも400字で十数回なら、数百円になります」と説明されたが、現実はそうではなかった。1ヵ月後に請求書を確認したところ、それまでの3倍に当たる9000円を請求されてしまったのだ。 ショップに再度行き説明を求めたところ、「スマートフォンは自動でソフトの更新をしているので、自分でインターネットを利用しなくても、パケット料金は上限額(約6000 円)になるんです」と言われたという。
一般的にスマートフォンなどは、ソフトウエアやアプリケーションなどの仕様による通信などを自動で行う。自動通信により2段階定額では下限額を超えるパケット通信料が発生する場合がある。
 
 第二にネットに関するトラブルが報告されている。
 「ワンクリック詐欺」などネット犯罪の被害に遭うケースも数多く報告されている。仮に不正請求されても支払う必要はないが、バーチャル世界に疎い中高年が騙され、翻弄されてしまうことも考えられる。
 格段に進化したスマホの「アプリ」「ソーシャルツール」に安易に手を出した結果、日常生活や人間関係でトラブルが生じるリスクもある。 数ヵ月前にスマホへ機種変更した40代の男性(出版社勤務)は、思いもよらずソーシャルゲームにハマッてしまった。「コンプガチャ問題」については、男性もニュースなどを見て知っていた。この騒動を「バカバカしい」とさえ思っていた。ところが、スマホを手に入れ、「ものの試しに」とあるゲームのアプリをダウンロードした途端、バカにしていたソーシャルゲームを「これは、面白過ぎる」と思ってしまったのだ。毎日就寝前の30分~1時間をプレイに費やした。しかし、1ヵ月後に携帯キャリアから送られてきた請求書を見て愕然。男性がハマったゲームはほとんど「無料」を謳ったものだったが、ストーリー中に巧みに忍ばされた有料の「アイテム購入」などに手を出したことが響き、ゲーム代だけで数千円に上っていたのだ。
 スマホの醍醐味である「つながり」を求めて、失敗したケースもある。スマホ初心者の40代女性は、親友とつながろうとして、最近サービス数が増えている「通話・メール無料アプリ」をインストールしたところ、不測の事態に直面した。自分の電話帳に登録している友人・知人のデータの多くが、自動的に「ともだちリスト」に載ってしまったのだ。登録から数十分後には、1人の男性から「だれ?」という困惑のメールが届いた。実は、この女性が独身時代に親密にしていながら、正式な恋愛関係に至らないまま関係が自然消滅した人だった。この10年ほど連絡をとっておらず、結婚の報告もしていなかった。そうした過去を考えるにつけ、これはかなりバツが悪い事態だ。かつてほのかな恋心を抱いていた彼の「今」も気になったが、自分の素性を明かすと「今ごろ、キモイ」と思われるのではないかという不安から、返信する勇気はなかった。女性は一旦アカウントを削除し、「望まれないともだち」と全て縁を切った。これと似たトラブルについては、アプリ自体の不具合を指摘されることもあるが、実際には「リストを手動管理設定にし忘れた」など、ユーザー側の誤操作が原因となるケースが多いようだ。 「スマホのアプリなどを使えば、いとも簡単に不特定多数の人たちとつながることができますが、私たちの世代にとっては、この手軽さが正直、怖い。『つながり』があまりにも軽い気がするんです。操作の仕方も人とつながる感覚も、ソーシャル時代の若い人たちにはとてもついていけないな、と思いました」(女性)
 
 第三のリスクとして「健康リスク」も挙げておこう。東京脳神経センターの理事長である松井孝嘉医師は、「筋肉が疲労していたり、猫背になり常態的に首に負担がかかっていたりする高齢者は、特に注意が必要。若い人よりも症状が出やすい状況になっているのです」と警告する。「スマホに限らず、パソコンや携帯型ゲームなどに長時間熱中することによって、うつ患者が増えています。前かがみの姿勢を続けることにより、首を悪くして自律神経失調を起こすことが原因です。筋肉は休ませながら使わないと、すぐにダメになるというのが原則。長時間、筋肉を働き詰めにすると、疲労が溜まり、最終的には変性して固化してしまいます。そうすると、副交感神経の異常をきたす可能性が高まるのです」(松井医師)「このうつは、精神病ではない新型のうつ。他にもパニック障害や、一晩寝ても疲労で体がだるくなりなかなか起きられない慢性疲労症候群、食欲不振、胃部不快感、便秘・下痢、動悸、涙が出なくなるドライアイなど、眼科、消化器科、耳鼻科、循環器科、整形外科、脳神経外科などたくさんの診療科の症状が出ます。重傷になると、自殺志向となる病気です」(松井医師)
 
 
 上記の記事はスマホの健康リスクを報告しているが、脳の活性化に良いという意見もある。 認知症にならないため、ボケないためには「常に新しいことに挑戦し続けること。つまり問題を見つけて解決し続けることが大事です。安穏と暮らして、脳に楽をさせてはダメです。困って眠れないほどの問題を常に解決している、という状態が脳にとっての理想です。」脳外科の先生の見解だ。 新しい家電や、パソコンを初めて買ってきて、何とか使いこなせるようになるまでに四苦八苦することになる。そして歳を重ねるにつれ、そういうことが面倒になってしまう。新しいものを使うというのは脳の活性化に役立つと言うのだ。スマホはガラケーに比べて、パソコンに近い。スマホを保有して、常に新しい設定やカスタマイズ、アプリなどを使いこなしていけば、脳の活性化につながっていくかもしれない。
 一方スマホを使いすぎると、バカになるという説もある。情報を探す能力や、膨大な量の情報を要約する能力は高くなる。しかし、深く集中して何かを考える能力が落ちる。情報革命によって起こったことは、知識量の増大と思考力の低下だ。
 読書についてショーペンハウエルは次のような警鐘を発していた。
「読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンでたどるようなものである。だから読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない。読書にいそしむかぎり、我々の頭は他人の思想の運動場にすぎない。そのため、時にはぼんやりと時間をつぶすことがあっても、ほとんどまる一日を多読に費やす勤勉な人間は、しだいに自分でものを考える力を失って行く。」
 産業革命は、日常生活を快適にする代わりに人間の身体能力を奪っていった。例えば、交通手段の発達は私たちの脚を弱くした。そして、それに危機感を抱いた人々は自分の身体を意識的に鍛えるようになった。
 情報革命は人間の脳を弱くする。印刷技術の進歩とは比べ物にならないほど私たちの思考力を奪っていくのかもしれない。先進国に住む人びとが身体を意図的に鍛える必要に直面したように、今後は思考力を意図的に鍛える必要が生じてくるのかもしれない。
う~~ん、スマホを持つべきか持たざるべきか、難しいところだ・・・・・・

最新の画像もっと見る

コメントを投稿