S&P500種株価指数も、先週中の取引で史上初めて1800ポイント台を突破し、1年間で31%上昇した。NASDAQは同期間に38%上昇した。 この1年間で、日経が67%上昇、ドイツのDAX指数は33%上昇、英国のFTSE250は32%上昇している。UBS銀行およびウェルス-Xが今月7日に発表した「世界超金持ちリポート2013」によると、世界の億万長者の合計純資産は、2009年から倍増した。同リポートは億万長者という意味で「グローバルなウルトラリッチ層(UHNW)」という語を多用しているが、欧州内でその総数は、2012年から2013年の1年間で5万3440人から5万8065人に増えている。
ドイツ国民の上位10%の層が社会全体の富の67%、フランスでは上位10%の層が62%を所有している。株価が高騰する反面、欧州では低インフレ率が深刻化している。
インフレ率が低いということは、通常は需要の減退、失業率の上昇、さらなる価格下落という悪循環を引き起こす。南欧では、既にこの1~2年、物価の大幅な下落が目に見える形で始まっている。賃金の目減りや失業により、人々がおカネを持っていないので、価格を下げないと商品がなかなか売れないからだ。物価を引き下げている要因として、エネルギー価格の下落率が最も大きいが、サービス価格、食品・アルコール飲料・タバコ価格も総じて前月から落ち込んでいる。
ユーロ圏は、18カ月にわたった景気後退の後、今年の第2四半期(4月~6月) は成長を記録した。このため、リセッション(景気後退)から脱却し、前期比の成長ペースも今後ゆっくり加速すると見られていた。この時には各国のエコノミストらは「欧州危機は終わりに近づいている」「トンネルの出口に光が見えてきた」などと言っていたのだが、これに続いた第3四半期(7月~9月)の成長率は鈍化した。今月5日に欧州委員会が発行した秋季経済見通しでは、ユーロ17カ国経済は今年さらに0.4%のマイナス成長と予測している。EU28カ国ではゼロ成長とされている。インフレ率は、今年と来年は1.5%、2015年は1.4%となる見通しだ。目標とされているインフレ率は2%だが、この水準にはさっぱり届かない状態が続くことになる。
経済の収縮は、社会支出の極端な削減や緊縮政策を実行した南欧諸国で最も高いようだ。 と言っても、欧州の2大経済大国であるドイツとフランスでも、明るい見通しがあるわけではない。フランスの失業率は、2013年から2014年にかけて11%から11.2%に上昇すると予測されている。ドイツの失業率は0.1%低下し5.4%水準になると予測されており、今年の成長はわずか0.5%となっている。雇用は「カタツムリのペース」で改善し、2014年に0.25%拡大すると予測されているが、高い失業率を抑制するために0.25%は十分な率ではないだろう。失業率はEUでは11%、ユーロ圏では12.2%という過去最高水準が続くだろうという予測だ。特に南欧の若年失業は危機的な問題となっている。現在、イタリア・スペインでの25歳以下の若者の失業率は既に60%に近づき、国内の賃金体系と社会保障はほぼ壊滅状態だ。欧州全土のどこを見渡しても「危機の終わり」や「明るい光」などは見えない。株価がいくらバブル的に高騰しようとも、2008年9月の金融崩壊以降の5年以上にわたって、世界の実体経済は不況と大量失業に陥ったままだ。頼みの綱のドイツとフランスでも、成長は急激に落ち込んでいる。
この2国の経済収縮は、欧州での消費減退と世界市場の縮小による輸出の不振によるものだという。輸出減少に加えて、フランスの製造業生産は前四半期に比べて1%減少し、投資も7四半期連続で減少している。 先週、米国の格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、フランスの信用格付けを引き下げた。
ドイツとフランスでも、南欧・東欧とほぼ同様のペースで大量解雇の嵐が吹き荒れている。ドイツでは、シーメンスが1万人、ロエベが800人、エネルギー会社のRWEが2500人員削減を発表しており、太陽エネルギー会社ハティコン(HatiCon)は300人以上を解雇した。フランスでは昨年、電力輸送会社のアルストムが1000人を解雇すると発表していた。第3四半期には、前年比7.5%増にあたる1200社以上の企業が倒産している。欧州は停滞から脱したどころか、南欧と東欧を直撃した不況が現在はドイツ・フランスという欧州の中心地へと進行しているかに見える。結局、欧州は不況に逆戻りしているということかもしれない。この低インフレに対する措置として、ECBは主要政策金利を0.5%から、過去最低の0.25%へと引き下げた。緊急貸出金利も1%から0.75%に下げ、ECBへの準備預金への付利はゼロに据え置いた。 これが「量的緩和」と一般に言われている措置だが、この中身は、金利をこのようにほぼゼロまで落とし、カネを大量に印刷し、金融機関の救済という名目で銀行など金融機関、つまり前述の「ウルトラリッチ」らに際限なくカネを配ることだ。このカネが、結局は記録的な株価と企業収益を支えていることになる。こうして国民のおカネが流用され、結果として債務危機が悪化の一途をたどり、緊縮政策という形で年金、医療、公教育が破壊され、賃金カットと大量解雇を誘発している。結果として金融バブルの様相を呈してはいるが、持続は不可能であり、実体経済はほとんど休眠状態のまま貧困と不平等がじわじわと拡大している。
大規模な住宅・信用バブルの崩壊によって引き起こされた2008年の金融崩壊に対応するため、さらに大きなバブルが着々と準備されているというのが今起きていることの実情だ。(JBPRESS)
ドイツ国民の上位10%の層が社会全体の富の67%、フランスでは上位10%の層が62%を所有している。株価が高騰する反面、欧州では低インフレ率が深刻化している。
インフレ率が低いということは、通常は需要の減退、失業率の上昇、さらなる価格下落という悪循環を引き起こす。南欧では、既にこの1~2年、物価の大幅な下落が目に見える形で始まっている。賃金の目減りや失業により、人々がおカネを持っていないので、価格を下げないと商品がなかなか売れないからだ。物価を引き下げている要因として、エネルギー価格の下落率が最も大きいが、サービス価格、食品・アルコール飲料・タバコ価格も総じて前月から落ち込んでいる。
ユーロ圏は、18カ月にわたった景気後退の後、今年の第2四半期(4月~6月) は成長を記録した。このため、リセッション(景気後退)から脱却し、前期比の成長ペースも今後ゆっくり加速すると見られていた。この時には各国のエコノミストらは「欧州危機は終わりに近づいている」「トンネルの出口に光が見えてきた」などと言っていたのだが、これに続いた第3四半期(7月~9月)の成長率は鈍化した。今月5日に欧州委員会が発行した秋季経済見通しでは、ユーロ17カ国経済は今年さらに0.4%のマイナス成長と予測している。EU28カ国ではゼロ成長とされている。インフレ率は、今年と来年は1.5%、2015年は1.4%となる見通しだ。目標とされているインフレ率は2%だが、この水準にはさっぱり届かない状態が続くことになる。
経済の収縮は、社会支出の極端な削減や緊縮政策を実行した南欧諸国で最も高いようだ。 と言っても、欧州の2大経済大国であるドイツとフランスでも、明るい見通しがあるわけではない。フランスの失業率は、2013年から2014年にかけて11%から11.2%に上昇すると予測されている。ドイツの失業率は0.1%低下し5.4%水準になると予測されており、今年の成長はわずか0.5%となっている。雇用は「カタツムリのペース」で改善し、2014年に0.25%拡大すると予測されているが、高い失業率を抑制するために0.25%は十分な率ではないだろう。失業率はEUでは11%、ユーロ圏では12.2%という過去最高水準が続くだろうという予測だ。特に南欧の若年失業は危機的な問題となっている。現在、イタリア・スペインでの25歳以下の若者の失業率は既に60%に近づき、国内の賃金体系と社会保障はほぼ壊滅状態だ。欧州全土のどこを見渡しても「危機の終わり」や「明るい光」などは見えない。株価がいくらバブル的に高騰しようとも、2008年9月の金融崩壊以降の5年以上にわたって、世界の実体経済は不況と大量失業に陥ったままだ。頼みの綱のドイツとフランスでも、成長は急激に落ち込んでいる。
この2国の経済収縮は、欧州での消費減退と世界市場の縮小による輸出の不振によるものだという。輸出減少に加えて、フランスの製造業生産は前四半期に比べて1%減少し、投資も7四半期連続で減少している。 先週、米国の格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、フランスの信用格付けを引き下げた。
ドイツとフランスでも、南欧・東欧とほぼ同様のペースで大量解雇の嵐が吹き荒れている。ドイツでは、シーメンスが1万人、ロエベが800人、エネルギー会社のRWEが2500人員削減を発表しており、太陽エネルギー会社ハティコン(HatiCon)は300人以上を解雇した。フランスでは昨年、電力輸送会社のアルストムが1000人を解雇すると発表していた。第3四半期には、前年比7.5%増にあたる1200社以上の企業が倒産している。欧州は停滞から脱したどころか、南欧と東欧を直撃した不況が現在はドイツ・フランスという欧州の中心地へと進行しているかに見える。結局、欧州は不況に逆戻りしているということかもしれない。この低インフレに対する措置として、ECBは主要政策金利を0.5%から、過去最低の0.25%へと引き下げた。緊急貸出金利も1%から0.75%に下げ、ECBへの準備預金への付利はゼロに据え置いた。 これが「量的緩和」と一般に言われている措置だが、この中身は、金利をこのようにほぼゼロまで落とし、カネを大量に印刷し、金融機関の救済という名目で銀行など金融機関、つまり前述の「ウルトラリッチ」らに際限なくカネを配ることだ。このカネが、結局は記録的な株価と企業収益を支えていることになる。こうして国民のおカネが流用され、結果として債務危機が悪化の一途をたどり、緊縮政策という形で年金、医療、公教育が破壊され、賃金カットと大量解雇を誘発している。結果として金融バブルの様相を呈してはいるが、持続は不可能であり、実体経済はほとんど休眠状態のまま貧困と不平等がじわじわと拡大している。
大規模な住宅・信用バブルの崩壊によって引き起こされた2008年の金融崩壊に対応するため、さらに大きなバブルが着々と準備されているというのが今起きていることの実情だ。(JBPRESS)
アベノミクスはドイツ経済再生の裏で進んだ格差拡大を反面教師にしなければならないはずなのに、今起こっていることはドイツの後を追いかけているとしか言えない。
ドイツでは企業は労働者の解雇がしやすくなったので、雇用は増えたものの、労働者は絶えず解雇に怯えるようになった。また、以前よりも悪い労働条件をも受け入れなければならなくなった。
そして、社会保障の面では、以前が手厚すぎたということもあるが、確実に切り捨ての方向に動いたのである。それらは企業寄りの政策であったが、まずは失業を減らし、国が力を取り戻すためにということで、ドイツ国民はそれを受け入れた。そして、たしかにドイツは力を取り戻したのだが、しかし、それによってもたらされた利益が国民に分配されたという感触は少ない。だから、ドイツの独り勝ちと言われても、国民は実感がない。しっかりと儲けたのは、富裕層、貧富の差は確実に広がっている。
日本もアメリカとドイツのまねをしてお札を刷り始めた。途端に、株価は上がり、輸出業は息を吹き返した。これから日本に起こるのは、ユーロ導入による自国の通貨安を利用して経済の活性化を達成したドイツの事情と似たようなことではないかと思う。しかし、前述のように、ドイツの場合、その利益は一般国民の生活をあまり潤すことはなかった。政治のやることは所得の再分配により、富の偏りを是正し、需要を喚起し、実体経済を成長路線に乗せることだが、お札の印刷は株価高騰、高額品の需要を喚起しても、それらは長続きしない。
ドイツの轍を踏まず、利益が大企業や金融関係者だけでなく、国民一般にまんべんなく行き渡るような政治をすることが結局安定した社会の持続、子供も増え、国力の増強につながるのだが、今の財界人や政治家の理念のなさ、良心の無さを見せつけられると、リーマンショックを上回るバブル崩壊がそのうちやってくる・・・・・まずはユーロ圏がどうなるのか?注視したい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます