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豪州政権交代 また新しい風が吹いた

2007年11月27日 | 政治
北海道新聞07.11.27.社説

豪州政権交代 また新しい風が吹いた
 オーストラリアの総選挙で野党・労働党が大勝し、十一年ぷりに政権交代が実現することになった。
 次期首相に就任するケビン・ラヅド党首は、京都議定書の批准やアジア政策重視、イラクからのオーストラリア部隊の段階的撤退を公約に掲げた。これらの政策実現に指導カを発揮することを期待したい。
 保守連合を率いたジョン・ハワード首相は、自らが落選した。政界引退もささやかれる。首相は在任中、目立った失政はなく、経済成長を持続させ、失業率は33年ぷりの低さを記録した。
 選挙戦では財政黒字を背景に大型減稿策を訴えた。対する労働党も内政で似たような政策を打ち出したことで、外交政策が争点として浮上した。
 オーストラリアな保守派の自由党と穏健な社会民主主義に立つ労働党の二大政党制が定着しているが、今回は四期十一年八力月の長期政権に国民が「変化」を求めたのだろう。
 「オーストラリアには新たな指導者とアイデアが必要だ」というラッド氏の訴えが、移民から保守層まで幅広い支持を獲得した。
 外交宮出身で、九月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)では、中国の胡錦濤国家主席と中国語で会談したほどの中国通だ。オーストラリアにとって最大の貿易相手国は今や中国となり、日本と首位が入れ替わってしまった。
 外交面では米国との同盟関係を維持しつつも、ハワード政権に比べ対中政策の比重が高まるとみられる。オーストラリアと中国は日本に先んじて自由貿易協定(FTA)交渉を進めている。日本も経済運携協定(EPA)の締結に向け交渉を始めた。最大焦点の農業の自由化問題で、ラッド氏が前政権と同じく市場開放を求めるならぱ容認できるものではない。
 対米重視の姿勢は、従来と大きく変わることはなさそうだ。ただ、イラクに駐留する千五百人の部隊のうち五百五十人の段階的撤退を公約したことから、米国とは距離を置くはずだ。
 ブッシュ米大統領にとってはショックだろう。
 イラク戦争を支持したベルルスコー二前イタリア首相、プレア前英首相に続くハワード氏の退陣は、米国を中心に動いてきた国際政治に変化の兆しが出てきたとみていいのではないか。
 日豪両国は三月、安保共同宣言に署名した。両国が同盟関係へと一歩踏み出すものだ。ラッド氏がどのような対応をするのか慎重に見守りたい。ラッド氏は新政権の重要課題として気候変動問題も挙げている。
 ハワード政権が拒否した京都議定書を批准する姿勢を鮮明にしたことは評価したい。来年の北海道洞爺湖サミットヘの追い風にもなろう。


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