ウエスティに猫な日々

日々の料理と外食、趣味の熱帯魚と読んだ本の感想と我が家の犬と猫の話。
ほか、日々のちよっとした独り言。

「 夜の寝覚め 」 小池真理子  

2016-01-07 18:15:25 | 
   「 夜の寝覚め 」  小池 真理子

      

6編の恋愛小説です。しかも全て40代から50代の男女の、現在・過去の不倫のお話です。
道徳的に不倫は許されないことですが、小池さんが書くと、心は激しく燃えているのに、静かで切ない大人の恋愛小説になっています。
~~~~~~
「 たんぽぽ 」
夫・早瀬が大学時代の友人に20年ぶりに再会し、2組の夫婦で一緒に食事をすることになる。
そこで角倉に会った瞬間、小夜子と角倉の間に何かが生まれ、2人は恋に落ちる。
45歳と41歳から15年間、2人は角倉の妻と早瀬に知られず秘かに付き合いを続けていたが、角倉の妻から彼が末期の癌だと知らされる。

「 旅の続き 」
48歳で52歳の入沢と再婚を決めた弓子は彼の実家の大阪に挨拶に行くため新幹線に乗った。
そこでチラリと見かけた男性が、27年前に別れた画家の三国に似ていた。
当時、弓子は21歳。奔放な乱れた生活をしていた時、38歳の画家の三国に出会い裸婦のモデルになる。
彼は、死ぬことばかり考えていた弓子と最後は一緒に死のうと約束してくれたが、弓子が風邪で寝込んでいる間にアトリエが火事になり、そのまま連絡がつかなくなってしまっていた。
彼との思い出がよみがえる。 新幹線の車両を探しに行ったが、人違いだった。

「 花の散りぎわ 」
千景は夫を裏切り、娘にも秘密を作り、それでも今日も男に会いに行く。
士郎は大阪の老舗の呉服屋の跡取り。 東京青山に店を出すため単身赴任で来ている。
士郎とは、高校の同級生で27年ぶりに同窓会で再会した。 あれから3年士郎の家に通っている。

「 雪の残り香 」
10年前、35歳の響子は、夫の不倫で別居、小料理屋を営む姉夫婦に厄介になっていた。
そこで甥っ子の家庭教師兼店の手伝いをしていた7歳年下のテツと知り合い、愛し合うようになる。
彼には以前、優子さんというお付き合いをしていた人がいて、まだ彼のことを愛しているのがわかり、
東京に就職が決まった響子は、彼に知らせず帰ってしまった。
あれから10年、テツは優子さんと結婚して女の子が一人。
或る日、テツの母親から彼が急性クモ膜下出血で亡くなったと知らされる。

「 時の轍 」
「 夜の寝覚め 」
母が早くに亡くなり、夜驚症になった美々子の世話を叔母がしてくれていた。
或る夜、目覚めて水を飲みに降りた階下で、父親と叔母の現場を見てしまい、それ以来2人は結ばれることはなかった。
父が亡くなり、独身を通していた叔母も余命半年の還暦の日、美々子は叔母に謝るが、叔母は「寝ぼけて夢を見たのよ、後悔はしていないわ」と告げる。
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筋書だけ書きましたが、小池さんお得意の女の人の心の表現が何とも言えず切なく心がキリキリします。
不倫とは言え、相手を思う心の痛み、先立たれる哀しみ 別れ、何年たっても忘れられない思いが伝わります。
でも、相手の家族を不幸にする不倫はお勧めしませんよ。
 
近頃は、何かにつけオジさん化している私ですが、映画を観た後と、小池さんの小説を読んだ後は、
『 そうだ、私にも若い頃があったんだ 』と、気持ちだけは少しだけオバさんに戻ります 



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