8日に発足した新政権は、仙谷由人官房長官や野田佳彦財務相など、歳出抑制や増税に積極的な人材で主要閣僚を固めた。菅直人首相が掲げる「強い財政、強い経済」を実現するための布陣といえ、鳩山政権に比べ財政健全化に軸足を置いた政策運営になりそうだ。【谷川貴史】
仙谷氏は、国家戦略担当相だった鳩山内閣時代、菅財務相(当時)と並ぶ増税積極論者とみられていた。野田氏は、副財務相として10年度予算編成で中心的役割を果たし、各省に歳出抑制を強く迫った。国家戦略担当相の荒井聡氏は新党さきがけ時代、菅政調会長の下で副会長を務めるなど、菅首相の側近として知られる。「中期財政フレーム」などの財政健全化計画と、新たな経済成長戦略の6月中の策定を目指す。行政刷新会議の「事業仕分け」で、仕分け人を務めた蓮舫氏の行政刷新担当相起用は、無駄削減を続ける姿勢をアピールするのが狙い。
政府と与党の連携体制も強化される。公務員制度改革などの担当相に就任した玄葉光一郎氏は民主党政調会長を兼務。玄葉氏は5月、財政再建のための党内勉強会を発足させており、消費税増税に向けた党内の合意形成に奔走するとみられる。
菅政権の経済チームは参院選後、消費税を含む税制の抜本改革議論を本格化させる見通し。同時に、11年度からの子ども手当倍増など大幅な歳出増加要因となる衆院選マニフェスト(政権公約)の見直しも焦点となる。だが、消費税増税への党内の反発は依然、根強い。さらに、閣内には増税に反対する一方、積極財政を訴える亀井静香金融・郵政担当相(国民新党代表)を抱えている。「財政再建と経済成長の両立」という菅首相の理念をどこまで具体化できるのか。経済チームの手腕が問われる。
◇農業者戸別所得補償 小沢氏影響力低下で拡充は道険しく
山田正彦農相にとって、政策上の最重要課題は民主党農政の目玉である農業者戸別所得補償制度の拡充だ。自ら畜産業を営んだ経験もある山田氏の同制度への思い入れは強いが、最大の後ろ盾だった小沢一郎前幹事長の辞任で公約実現の道は険しさを増している。
農家や農業法人に直接的な補助金を支給し「恒常的な赤字部分」を補う同制度は、10年度にコメ農家を対象としたモデル事業がスタートした。11年度は対象品目を広げ「本格実施」するとマニフェストにうたわれている。
追加される品目としては、国民の準主食である麦や大豆が最有力候補だが、畜産業などへの早期導入を求める声もある。ただし、これらに必要な財源は全体で1兆円規模に達するとされ、財政再建が急務となる中、どこまで予算を確保できるかは未知数だ。
10年度予算で計5618億円の関連予算を要求通り獲得できたのも、赤松広隆前農相や山田氏と親密な小沢前幹事長の後押しがあったおかげとされる。特に山田氏は93年の衆院議員初当選から小沢氏と行動を共にしてきた関係だけに「小沢さんの神通力が失われれば、戸別所得補償制度の推進も今まで通りにはいかない」(農水省関係者)との見方が出ている。【行友弥】
引用元:yahoo ニュース
仙谷氏は、国家戦略担当相だった鳩山内閣時代、菅財務相(当時)と並ぶ増税積極論者とみられていた。野田氏は、副財務相として10年度予算編成で中心的役割を果たし、各省に歳出抑制を強く迫った。国家戦略担当相の荒井聡氏は新党さきがけ時代、菅政調会長の下で副会長を務めるなど、菅首相の側近として知られる。「中期財政フレーム」などの財政健全化計画と、新たな経済成長戦略の6月中の策定を目指す。行政刷新会議の「事業仕分け」で、仕分け人を務めた蓮舫氏の行政刷新担当相起用は、無駄削減を続ける姿勢をアピールするのが狙い。
政府と与党の連携体制も強化される。公務員制度改革などの担当相に就任した玄葉光一郎氏は民主党政調会長を兼務。玄葉氏は5月、財政再建のための党内勉強会を発足させており、消費税増税に向けた党内の合意形成に奔走するとみられる。
菅政権の経済チームは参院選後、消費税を含む税制の抜本改革議論を本格化させる見通し。同時に、11年度からの子ども手当倍増など大幅な歳出増加要因となる衆院選マニフェスト(政権公約)の見直しも焦点となる。だが、消費税増税への党内の反発は依然、根強い。さらに、閣内には増税に反対する一方、積極財政を訴える亀井静香金融・郵政担当相(国民新党代表)を抱えている。「財政再建と経済成長の両立」という菅首相の理念をどこまで具体化できるのか。経済チームの手腕が問われる。
◇農業者戸別所得補償 小沢氏影響力低下で拡充は道険しく
山田正彦農相にとって、政策上の最重要課題は民主党農政の目玉である農業者戸別所得補償制度の拡充だ。自ら畜産業を営んだ経験もある山田氏の同制度への思い入れは強いが、最大の後ろ盾だった小沢一郎前幹事長の辞任で公約実現の道は険しさを増している。
農家や農業法人に直接的な補助金を支給し「恒常的な赤字部分」を補う同制度は、10年度にコメ農家を対象としたモデル事業がスタートした。11年度は対象品目を広げ「本格実施」するとマニフェストにうたわれている。
追加される品目としては、国民の準主食である麦や大豆が最有力候補だが、畜産業などへの早期導入を求める声もある。ただし、これらに必要な財源は全体で1兆円規模に達するとされ、財政再建が急務となる中、どこまで予算を確保できるかは未知数だ。
10年度予算で計5618億円の関連予算を要求通り獲得できたのも、赤松広隆前農相や山田氏と親密な小沢前幹事長の後押しがあったおかげとされる。特に山田氏は93年の衆院議員初当選から小沢氏と行動を共にしてきた関係だけに「小沢さんの神通力が失われれば、戸別所得補償制度の推進も今まで通りにはいかない」(農水省関係者)との見方が出ている。【行友弥】
引用元:yahoo ニュース