勝手にお喋りーSanctuaryー

マニアックな趣味のお喋りを勝手につらつらと語っていますー聖域と言うより、隠れ家ー

視聴率は見る側の感想文

2006-06-02 | TVや舞台やスポーツのお喋り
TVで放映された番組には、もれなく視聴率がついてくる。
システムは良く知らないが、都内の限られた家庭に付けられた機械の数字なんて、そんなに当てにはならないと思っていた。
まあ、普通の人間はいちいち視聴率なんか気にしないでTVを見ている。

だから私も好きな番組やドラマの視聴率なんて殆ど知らなかったし、興味もなかった。
実際トリックやI.W.G.P.って、再放送やDVDの人気があるだけで、放映中の視聴率はよくなかったってことは後で知った。

ただこうしてネット時間が長くなるにしたがって、情報は妙な形で入ってくる。
去年の7月期のドラマ『タイガー&ドラゴン』が楽しみだった頃、クドカンのドラマの視聴率はあまりよくないと聞いて、ちょっと気になった。
番組名と視聴率で検索してみたら、面白いサイトを見つけてしまった。
毎日毎日、ゴールデンタイムの視聴率だけを書き込んでいる日記だ。
それ以来、気になる番組の視聴率はここで調べさせてもらっている。
(ちなみにT&Dの最終回の視聴率は11.6%・・・・・・)

前にも書いたが、今年の4月期に見ているドラマは3本。
前回不覚にも見逃してしまった『ブス恋』とまだ最新の視聴率が出ていない『クロサギ』は置いておいて、『医龍』の話をする。

『医龍』は見続けるのが苦にならない、面白いドラマだと思っている。
このドラマの影の主役である‘バチスタ手術’を、現実の世界で初めて行った病院がわりと近所にあり、そのニュースを覚えていたから興味もあった。
それに私は1話ごとに「バチスタチームを集めていく」みたいな展開が好きなのだ。
(ドラゴンボールを集めていく、でもいいが)

このドラマの視聴率の推移がかなり面白い。
1~3話まで14.1%って。
普通は初回は「とりあえず見ておく層」も入って、もう少し高いはず。
それから次第に下がるのならわかるが、4話目から微妙に上がり始めたのだ。

4話はいよいよメインのバチスタ手術の予定が決まり、暫定チーム(後にメンバー入れ替えがある)が結成される回だ。(14・7%)
5話はヒロインの加藤助教授と、バチスタ患者との関わりに泣かせどころがあり、主人公朝田とタッグを組んだ手術シーンも見られる。(14・9%)
6話は第1回目のバチスタ手術が行われる回。
血がドビュ~ンにも耐えられる人だけが残っているだろうから、ここで上がらなければおかしい。(15・1%)

結局このドラマをずっと見続けている人は、バチスタ手術に至るまでのメンバー集めにワクワクしてる私と同じような人たちのようだ。
高めで推移しない視聴率は、手術シーンの内臓アップや、多量の血の吹き出しに耐えられない人が多いせいだろう。
(私は『ER』を見続けているので、あのくらいはまったく気にならないのだが)
低めだが上がり調子だし、何よりドラマ自体が面白いので満足していた。

ところが7話でやってしまった。
私は見たいTV番組は毎回録画している。
見てる限りは、頭を見逃したりするのが嫌だからだ。
この日も10分ほど遅れてTVをつけた。
すると耳に入ってきたのは、ミキ役の水川あさみさんの暗い声で、しかもぶっきら棒なモノローグ・・・。
この間30秒で、私は「視聴率落ちたな」と思った。

水川さんは決して嫌いではない。
『西遊記』ではむしろ好きな女優さんだった。
だが明るい調子で台詞を言っているのならともかく、決して美声とは言えない声で、物凄く暗い話を長々と語られてしまったら・・・。

私も一応物語り作家などを目指したりしたわけだ。
モットーは「説明で誤魔化すな、主人公を動かせ。行動で納得させろ」
7話にして、脚本家は物書きとしてもっともやってはいけないことをやってしまった。
結果は12.7%・・・。

そして今回の8話目。
前回が嘘のように文句なく面白かったし、ラストまで息を抜かないでハラハラしながら見入っていた。
最後のバチスタメンバーである麻酔医がチーム入りを果たすというエピソードのこの回。
劇団「大人計画」やクドカンドラマでお馴染みの阿部サダヲさんが、面目躍如の味をたっぷりと出してくれた。
夏木マリさんも大人のかっこよさと色気が満々だった。(手術後の髪をほどいた姿に惚れた)

このドラマだけではなく、視聴率と言うのは見てるものの感想を如実に伝えることがある。
大きな事件が起こってみんながニュースを見てるとか、オリンピックで日本人が大活躍してるとか、そういう特別な場合は除き、納得できることが多い。
新設されたばかりの23時台の枠で始まった、当時は無名に近い仲間さんや阿部さんの(ドラマのイメージがない局)EXのドラマだった『トリック』が1桁だったのも頷ける。
池袋にたむろする妙な奴らが、ケンカしたり殺し合ったりしているI.W.G.P.が、一般の視聴者受けしなかったのも仕方がない。
クドカン独特の台詞回しや捻りのあるネタを受け付けない人の気持ちもよくわかる。

だから視聴率と言うのは、TVを見るという受身でしかない人たちが、TVを作ると言う積極的立場に立った人たちに送る感想文のようなものなのだ。
話題になろうが、売れてる俳優を使おうが、内容が面白くなかったら視聴率は下がる。
たとえ平均は高くなくても、内容が良かったり、その回を面白いと感じれば視聴率は上がる。
それを踏まえて、作り手は平均15%超えて合格!なんて喜んでないで、どの回で上がったか、あるいは下がったか、本気で考えてもらいたい。
そうすれば面白いドラマがもっと増えるんじゃないだろうか。

『医龍』8話の視聴率は、これまでで最高の16.6%だった。
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