ナツイチのキャンペーンで、こうもりさまがご協力くださった1冊。
その後、頂戴してしまいました。
著者の作品は初めて読みましたが、なんと、きれいで清潔な物語なのかと…。
なるほど…、私が今まで縁がなかったわけです。
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青のフェルマータ Fermata in Blue
著者:村山由佳
発行:集英社
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珊瑚礁の透ける青く明るい海。
泳ぎ回るイルカたち。
海に臨む家でチェロを弾く少女と、老境にさしかかった師。
傷ついたイルカと人間を癒そうと心を砕くやさしい人たち。
物語は、心の傷から声を出すことができなくなった里緒が、イルカと海とやさしい人々の中で、次第に癒されていくまでを描きます。
癒されるというよりも、傷を乗り越え、自分にとってもっと大切なものに手を伸ばそうとするようになるまでの物語といったほうが良いのかもしれません。
南太平洋の島の緩やかな季節の変化のなか、意外に速いテンポで展開。
里緒のチェロの師匠であるJ.B、イルカの研究所にいる人たち、里緒にとってのキーパーソンたちはやや理想化された感はぬぐえませんが、いずれも魅力的です。
物語の中にはもうひとり、里緒と同じように、イルカによるセラピーを受けに来ている小さな女の子が登場し、その子と里緒を軸にしたTV番組を撮ろうとする日本人の一行がいます。
その撮影隊のなかの一人の言動は、醜悪ともいえるものですが、それはそのまま世間の視線が含む棘であろうと思われます。
世の中は綺麗なことだけでできてはいない。
それをある程度踏まえた上で、美しくつくりあげた物語は、著者の中にとても強く生まれた感情をもとにしているのでしょう。
そのせいか、綺麗すぎても、「綺麗だな」とそのまま思うことができます。
ただ、それは、ガラスの中にイルカが泳いでいる置物を見ているような感じに近い。
主人公の里緒が全身で海を感じるように、物語を感じることができないのは、綺麗すぎるものに対して私が持つ警戒心のためかもしれません。
「綺麗だな」は「綺麗だけど…」でもあるのです。
解説は香山リカさん。
なるほどという解説で面白かったです。
私が読んだのは、ニコルソン・ベイカーという人の「フェルマータ」という本でしたわ。
しかも、そちらは「時間を止めて女性の服を脱がせるのが特技(?)」という男の自伝。服を脱がせて女性に不届きなことを仕掛けるわけでなく、ただひたすら妄想する、その妄想が面白いという、ポルノ小説でした…。「きれいで清潔」な本書とはまるで正反対でした。お恥ずかしいですわ
でも、ニコルソン・ベイカー、面白いですよ。同じポルノ系ですが最初から最後まで電話で語り合う「もしもし」とか、エスカレーターに乗ってから降りるまでの間に、様々な妄想をひねり出す「中二階」とか。
ポルノでもOKだったら、結構おすすめですよ~
なんていうと作者の方に失礼ですが、たぶん中年真最中!の私には若すぎるテーマだったのかも知れませんね。
きし様の「綺麗だな」は「綺麗だけど」は私も同感です。表現が素晴らしいですね。なんかその一言につきるみたいです。
嫌と言うほどの海の情景描写にイルカにチェロ…癒しなんだと云わんばかり。
何故、里緒ちゃんがこんなにもてるのか最後まで分からなかった…ただの僻みだろうか。
里緒ちゃんが母親の不倫を父親に告げ口したことが原因で喋る事ができなくなる。そこから始まる物語はやはり現代の抱えている問題なんでしょうね。
なんだかんだ文句ばかり書いているけど結構面白く読みました。天才チェロ奏者のロストロポービッチの名前なんかも出てきたし(一行しかなかったけど…)。またなんか企画があったら教えてくださいまし。そういう企画でもなければなかなか読んだ事のない作家に手が出せないんです。
ナツイチでオツイチさんを
これ、白水社の誘惑シリーズですよね~。
でも、こちらのほうが、ワタシには合いそうです。
ポルノが合うって宣言するのもどうかとは思いますが、はい
さっそくAmazonのお買い物かごにキープ。
あ、そういえば、先日おススメいただいた「纏足」も届きました。
読むのが楽しみです~。
選ぶのがなかなか大変で…ご協力ありがとうございましたです。
売れている作家さんなのもわかるな~という感じですよね。
読みやすいし、映画化された作品もありましたし。
でも、この方の作品が売れるということは、皆さん繊細なのだわ…と思います。
読みやすいとか言っている時点で、どこか脱落している気がします。ワタシ。
ちなみに、こうもりさま、次のキャンペーンはたぶん新潮社の「年末年始に読む本」です。