本は買う一方で実際に読むことからは(書くことはもっと)遠ざかっていた昨年、読書習慣をちょっとでもキープするために読んでいたリハビリ的な本たちの中からいくつか。その3です。
『怖い絵』シリーズで定評のある中野京子さんの本。
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残酷な王と悲しみの王妃
著者:中野京子
発行:集英社
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有名絵画を切り口に、歴史上の王と王妃の人生を語っていく本です。
いずれ王となる王子様と結婚して、めでたしめでたしなどというのは、まさにおとぎ話なのだと思い知らされます。
結婚式で終わりにしないと、めでたしめでたしのお話にならない。
ましてや、出産が現代とは比較にならないほど危険だった時代のことですからなおのことです。
誰の妻になるか、誰の母になるかがわが身の生死に直結したのが当時の貴族の娘たちだったのです。
野心は命取り。
それを体現したような人生を送ったのはさしづめアン・ブーリンでしょうか。
映画にもなる波乱の人生を送った女性です。
ほかに取り上げられてるのは、メアリ・スチュアートを筆頭にして、ハプスブルクの王女マルガリータ・テレサ、ロシアのイワン雷帝の7人の王妃たちなど。
絵画とセットにすると、「ああ、あのひと」と思える王妃たちだと思います。
この中での変わり種の章は、ロシアの王妃たちの部分でしょうか。この章では王妃たちよりもイワン雷帝が主役。口絵に取り上げられているのも、これに限ってはイワン雷帝を描いた作品です。
かの有名な「イワン雷帝とその息子」。父が息子を殺してしまった直後の場面を切り取った凄惨で胸に突き刺さるような絵画です。
小説ではないので、さくさくと読み進められることが気持ちよくて、あっという間に読んでしまった1冊でした。
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