夕暮れのフクロウ

―――すべての理論は灰色で、生命は緑なす樹。ヘーゲル概念論の研究のために―――(赤尾秀一の研究ブログ)

ヘーゲル『哲学入門』序論 一[意志と精神]

2019年04月22日 | ヘーゲル『哲学入門』
*

G.W.F. Hegel

Philosophische Propädeutik

Erster Kursus. Unterklasse. Rechts-, Pflichten-, und Religionslehre.


*Einleitung*

§1[意志と精神]
 
Der Gegenstand dieser Lehre ist der menschliche Wille und zwar nach dem Verhältnis des besonderen Willens zum allge­meinen Willen. Als Wille verhält der Geist sich praktisch(※1). Das /praktische/ (※2)Verhalten, wodurch er seine Unbestimmtheit eine Bestimmung oder an und für sich(※3) die Stelle ihm ohne sein Zutun vor­handener Bestimmungen(※4) andere aus sich selbst setzt, ist von seinem /theoretischen/ Verhalten(※5) zu unterscheiden.


ヘーゲル 『哲学入門』

第一課程、下級クラス、法律、義務、および宗教についての教課



この教課の対象は人間の意志であるが、それはまた、特殊な意志の普遍的な意志に対する関係からみたときの意志である。意志として精神は行動的にふるまう。/行動的な/ふるまいは精神の/理論的な/ふるまいからは区別されなければならない。行動的なふるまいというのは、精神が自らの無規定に一つの規定を自分自身から与えるものであり、あるいは、本来的に精神自らの関わりなくしてすでにある諸規定を他の諸規定に置き換えるものだからである。(※6)
 
※1   praktisch  についてはすでに「実践的」という訳語が確立しているが、
   ここでは「行動的」と訳した。文脈に応じて訳し分けていきたい。
※2   /  /に示された語は原文ではイタリック体。
※3    an und für sich  本来的に、潜在的かつ顕在的に、即かつ向自的に
※4   ohne sein Zutun vor­handener Bestimmungen  が具体的に何を意味するのかがわかりにくい。真、善、美における本能的な判断などのことか。
※5  Verhalten  ふるまい、態度、行い、行動、
※6   精神における praktisch  行動的なふるまいと theoretischen 理論的ふるまいの区別がどこにあるのか、なぜ区別されなければならないのか。
   精神はまず意志として現象するがそのときは行動的である。


 
 
 
 
 

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