ヘーゲル『哲学入門』 中級 第二段 自己意識 第三十九節 [自己意識の普遍性2]
§39
Das Selbstbewusstsein ist sich nach dieser seiner wesentlichen Allgemeinheit nur real, insofern es seinen Widerschein in Andern weiß (ich weiß, dass Andere mich als sich selbst wissen) und als reine geistige Allgemeinheit, der Familie, dem Vaterland u. s. f. angehörig, sich als wesentliches Selbst weiß. (※1)(Dies Selbstbewußtsein ist die Grundlage aller Tugenden, der Liebe, Ehre, Freundschaft, Tapferkeit, aller Aufopferung, alles Ruhms u. s. w.)(※2)
第三十九節[自己意識の普遍性2]
自己意識が他者のうちに自身の反映を認め(他者が私を私自身として認めていることを、私が知っていること)そうして、家族や祖国などに属する純粋に精神的な普遍性として、自らを本質的な自己として知るかぎりにおいて、この自らの本質的な普遍性によって、自己意識はただ現実的になる。(この自己意識は、すべての徳、愛、名誉、友情、勇気、すべての自己犠牲、すべての名声といったものの基礎である。)
※1
意識はまず欲望の対象としての物や他者を介して、自己意識を確立するが、この自己意識は主人と従僕との関係において、服従と労働を通して普遍的な性格を形成していく。
自己意識はここで単なる個別的な存在から、普遍的な自己意識として他者や家族や市民社会、国家との関係において自己を認識するようになる。
※2
この『哲学入門』の「精神現象論」では、『精神の現象学』の中には詳細に展開されている「理性」の段階に至るまでの、自由を求めて苦悩し格闘する自己意識のたどる道程が、ストア主義や懐疑主義へと歩む不幸な意識の行き詰まりと絶望が一切省略されている。