ヘーゲル『哲学入門』第三章 宗教論 第七十五節[宗教の意義について]
§75
Die Religion(※1) selbst besteht in der Beschäftigung des Gefühls und Gedankens mit dem absoluten Wesen und in der Vergegenwärtigung seiner Vorstellung, womit die Selbstvergessenheit (※2) seiner Besonderheit in dieser Erhebung(※3) und das Handeln in diesem Sinn(※4), in Rücksicht auf das absolute Wesen notwendig verbunden ist.
第七十五節[宗教の意義について]
宗教それ自体は、絶対的な存在の表象を視覚化することにおいて、絶対的な存在にかかわる感情と思想をとらえることであり、この克服において自らの特殊な自己を忘却し、かつ、この目的における行為は、絶対的な存在について省みることと必然的に結びついている。
(※1)
Die Religion
先の第七十四節においても述べたように、「哲学は概念的な認識であり、宗教は表象的な認識である」これはヘーゲルの一貫した宗教観である。
(※2)
die Selbstvergessenheit
「自己忘却」とは何か。後の※3のdie Erhebung によって、自己の個別性、特殊性を克服すること、この自己の忘却において、普遍へと、絶対者との合一の高みへと上ることである。
(※3)
自己の個別性、特殊性を Erhebung(克服、高揚、追求)することによって、特殊性から普遍性へと高揚すること、ここに有限から無限が出てくる。
(※4)
das Handeln in diesem Sinn
「この目的をもった行為」は、絶対者の存在についての意識と不可分に結びついている。その意識なくしてそうした目的をもった行為、自己忘却は出てこない。
「宗教」についてのさらに具体的な詳細な認識は、もちろん彼の「宗教哲学」を見なければならない。