むかしむかし、ある男が柵の内側に一本の樹を植えました。
男は大切に樹を育て、その甲斐あって樹はとても綺麗な花を咲かせ、柵の外側を通る沢山の人々の目を楽しませるようになりました。
やがて花は散ってしまいましたが、鮮やかに色付いた果実はとても甘い香りを放ち、我慢しきれなくなった人々は争うように柵を越え、手当たり次第に果実だけではなく枝葉まで残らず毟り取り、やがて樹を丸裸にして去っていきました。
ただ一人残った男は無言のまま再び樹の世話をはじめ、幾つかの季節が過ぎた頃、ようやく緑を取り戻しました。
けれど、それから、樹は男の現れる夜中にだけ花を咲かせて明け方には散り、熟した果実は全て枝から落とすようになったそうです。
男は大切に樹を育て、その甲斐あって樹はとても綺麗な花を咲かせ、柵の外側を通る沢山の人々の目を楽しませるようになりました。
やがて花は散ってしまいましたが、鮮やかに色付いた果実はとても甘い香りを放ち、我慢しきれなくなった人々は争うように柵を越え、手当たり次第に果実だけではなく枝葉まで残らず毟り取り、やがて樹を丸裸にして去っていきました。
ただ一人残った男は無言のまま再び樹の世話をはじめ、幾つかの季節が過ぎた頃、ようやく緑を取り戻しました。
けれど、それから、樹は男の現れる夜中にだけ花を咲かせて明け方には散り、熟した果実は全て枝から落とすようになったそうです。







