カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・とある骨董品にて

2019-11-30 21:15:51 | 突発お題

遠慮なくご覧下さいねと案内された店内に所狭しと並んだ骨董品を眺めていたら、透けて見えそうな位に薄い磁器のカップに羽根つきの少女が座っていた。気を取り直して引き出しを開けたらガラスの義眼を抱えた小人と目が合った。店長に訊ねるとアレは売り物ではないですと済まなそうに言われた。
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骨董品に関する物語・月と星のフック

2019-11-30 21:11:10 | 突発お題

月と星があしらわれたフックを壁に取り付けると妻が渋い顔になったので理由を尋ねたら、普通フックの引っ掛け部分の上にもう一本棒が渡してあるのは上から釣られない為なのよと言われた。その時は妻の言いたい事が全く分からなかったが数日後、フックは跡形もなく姿を消していた。
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物語その20・剣の姫君と誇り高い野良犬

2019-11-29 20:31:36 | 不等号の関係性
たかあきは、剣の姫と呼ばれた王女と野良犬に関する日常の物語を創作してください。

 今はどれだけ強く賢く剣の姫と持て囃されようと、いずれは弟に取って代わられると周囲から言われ続けた姫は、それでも剣の修行や学問を諦めずに研鑽を重ね、やがてお忍びで何度も訪れた街で仲良くなった野良犬と共に、誰一人として彼女を必要としなかった王城を離れてあてのない旅に出ることに決めた。
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物語その19・本末転倒の宴

2019-11-28 20:38:05 | 不等号の関係性
たかあきは、優等生と詐欺師に関する誘拐の物語を創作してください。

 自分が誘拐された自覚のない優等生は、家庭教師だと思い込んでいる詐欺師に矢継ぎ早に質問を浴びせかける。家庭教師なのにそんな事も分からないんですかと驚愕の呟きを漏らされて発奮した詐欺師が遠い日に学んだ知識を駆使して優等生の質問に対して完璧な解答を行っている最中に警察が踏み込んできた。
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物語その18・皇子の休日

2019-11-27 20:36:37 | 不等号の関係性
たかあきは、皇太子殿下と人造人間に関する誘拐の物語を創作してください。 
  
 どうしても好きに街を出歩いて見たかった皇太子は幼い知恵を絞り自分の身代わりを立て、口が堅く命令には絶対服従する人造人間の護衛を連れて念願の外の世界で思い切り自由を満喫した。当然ながら不在が露見した館で彼が誘拐されたと誤解した側近によって大騒動が勃発していたなど知る由もなかった。
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物語その17・反転鏡像

2019-11-26 21:06:55 | 不等号の関係性
たかあきは、皇太子殿下と苦学生に関する愛憎の物語を創作してください。
 
 没落して久しい侯爵家の嫡男は血筋が良く成績優秀だと言う理由で皇太子の学友に任命された。皇太子は明朗で優しい性格をしていたが育成環境故に他人とは決して相容れない部分を持ち合わせていて学友の彼を密かに苛立たせることが多かったが、それは彼を見ていた皇太子にとっても同じことだったらしい。
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物語その16・長靴を履いていたかもしれない黒猫

2019-11-24 23:45:34 | 不等号の関係性
たかあきは、大商人と黒猫に関する栄光の物語を創作してください。

 よくある話だが末子だった彼は兄二人に遺産を掠め取られ、手元に残されたのは両親が可愛がっていた黒猫一匹。このサイズではせいぜい手袋を作って終わりだと猫を見詰めた彼は結局その後に大富豪となったのが、彼の黒猫が長靴を履いていたかどうかまでは遠い未来の子孫たちには伝わっていないようだ。
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冬の創作怪談・玩具の行方

2019-11-23 11:42:04 | 突発お題

 勤務先のファミリーレストランはモーニングサービスがあって、週末になると必ず来店して和食のセットを注文するお婆ちゃんは帰り際レジ脇に並ぶ子供の玩具を買って帰るのが常だった。お孫さんにでも上げるのだろうと微笑ましく思っていたら清掃時、店の脇の植え込みに袋入りのまま踏み壊された玩具が大量に見つかった。
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物語その15・君のいく道

2019-11-23 11:26:16 | 不等号の関係性
たかあきは、優等生と貧乏画家に関する栄光の物語を創作してください。

 売れない貧乏画家の父になるべく金銭的な負担をかけぬようにと気遣った彼女は必死に学びながら返済不能の奨学金で大学を卒業した。そして結局は描いた絵が生涯売れることのないまま亡くなった父は、それでも彼女にとって掛替えのない記録を沢山の絵に遺してくれていて、だから彼女は自分も父親も不幸だとは思わない。
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物語その14・機械仕掛けの友愛

2019-11-22 20:35:39 | 不等号の関係性
たかあきは、富豪の息子と人造人間に関する友愛の物語を創作してください。

 我儘で癇癪持だった御曹司は何時まで経っても友達が出来ず、彼の父親はやむを得ず高額な人造人間を息子に与えた。御曹司がどれだけの無体を働いてもすぐに再生する人造人間は彼によく仕えたが、彼が人造人間の献身と友愛をようやく理解出来たのは人造人間が彼の無体によって完璧に壊れた後の事だった。
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