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カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

029「食べる」より ・ 赤い木苺

2014-08-05 19:49:14 | 和モノ好きさんに100のお題
 まだ小さかった頃、誰も住んでいない山奥の空き家で遊んだ事がある。姉と、もう一人の女の子と、何もない部屋で白い紙の上に乗せられた赤い木苺を指で摘まみ、口に運んだ光景は、今でも奇妙に鮮明で断片的な記憶として残っているが、姉は全く覚えていない上、その山奥が祖父母の家なら、その辺りに自分たちと同じ年頃の子はいなかった筈だと言い張る。

 それなら、あの日の今では味も思い出せない木苺の瑞々しさに溢れた深紅の輝きは何処から来て、何故未だに私の中に在るのだろう。
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