カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

骨董品に関する物語・デコラティブで豪華なバルボディーヌの水差し

2023-02-25 00:16:06 | 突発お題

 大枚を大枚を叩いて購入した骨董品が夜中に歩き回って困ると言う悪友の言葉に人形か甲冑でも購入したのかと思って家を訪ねると、随分と手の込んだ立体装飾が施された猫足付きの水差しを見せられた。移動するのは構わないが飾った花を撒き散らされるのが困るとぬかす奴の眼は完全に本気だった。
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骨董品に関する物語・小型の聖遺物入れ、ルリケール

2023-02-10 21:40:27 | 突発お題

 祖母が渡してくれたケースにはリボンで飾られた小さな細工物が収められていた。これは聖なる残滓、奇跡の欠片、ただし効果は一度だけだという言葉の意味をその時の私は分からなかったが、ある日事故に巻き込まれかけて九死に一生を得た私が家に帰った時に、細工物は砕け散っていた。
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幽霊その59・泣き続ける少年

2023-02-04 15:42:28 | あなたが出会った幽霊に託されたもの
青猫亭たかあきは昨日、学校で、見知らぬ少年の幽霊に出会い、三丁目の田中さんを見ませんでしたかと号泣されました。

 僕よりやや年少に見える子供は、校門の前で道が判らないと泣き続けていた。恐らくは何度帰り道を辿っても家に辿り着けないのだろう。無理もない、少年の服装から察するに彼はもう十年以上、彼が生きていた頃とはすっかり変わってしまった道を、今はもう存在しない自分の家を目指しているのだろうから。
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