カケラノコトバ

たかあきによる創作文置き場です

魔法契約の代償・夢見る薬と森の魔女

2020-10-25 23:15:18 | 突発お題

 不眠症の領主が森の魔女に薬を求めると不思議な香りの薬草茶を渡された。早速試してみると効果は抜群で、連日の不眠から解放された領主は魔女の森に通い詰めたが、やがて魔女を娶れば彼女の作る薬を独り占めできると気付き、それがどんな結果をもたらすか考えぬまま実行した。
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竜飼いその85・虚空に沈まなかった竜

2020-10-25 13:53:06 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜はどどめ色の虚空オールドドラゴンという品種名です。気性は臆病で、用途は愛玩用です。

 父が何処からか連れて帰った仔竜は時々輪郭が透けて見えるので一応医者に診せたら、そういう種類の珍しい竜だと言われた。現界と異界を行き来しているから、いつか向こうに行ったまま居なくなってしまうかもねと言われたが、成竜になったら透けることも無くなり体重も驚くほど増えた。もう向こうに行く心配はなさそうだが、重すぎて抱っこ出来なくなったのが寂しいと言えば言える。
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竜飼いその84・爺ちゃん竜の最期の闘い

2020-10-24 22:28:45 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は紫暗の鉱石ドラゴンという品種名です。気性は闘竜で、用途は運搬用です。

 元々は闘竜というだけあって年齢の割に元気だった竜は、引退後に祖父と一緒に山林管理の仕事をしていた。伐採した樹木を運んだり崩れた道を補修したりと地味な仕事を黙々と続けていた祖父と竜はある日山で獣に襲われ、祖父はその時初めて闘竜の戦闘能力を目の当たりにすることになったが、竜にとってそれは最後の闘いとなった。
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竜飼いその83・鉱山のお仕事

2020-10-22 20:59:55 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は黄金色の鉱石デミドラゴンという品種名です。気性は強情で、用途は仕事の相棒です。

 鉱山(ヤマ)仕事というのは実入りは良いが死と隣り合わせの運を天に任せた体力勝負でもある。だから鉱山に入る大概の人間は竜を相棒にして仕事をする。荷運びだけでなく鉱脈を探し当てるものなど特技は様々だが、俺の竜は危険を感じると梃子でも動かなくなるか早々にその場から退散する。おかげで何度も生き延びることができた。
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竜飼いその82・お母さんは気性が烈しい

2020-10-20 21:13:23 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は白銀の幽玄デミドラゴンという品種名です。気性は乱暴もので、用途は子守りです。

 気性が烈し過ぎて乗騎には不適当とされた竜が処分を免れたのは、激しい気性の裏返しである強い母性を活用するべきだという牧場主の娘の意見が採用されたからだった。結果として牧場内で難産の末に母体が亡くなったり育児放棄された竜の幼体は全て彼女が代理母となって立派に独り立ちすることになった。
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骨董品に関する物語・ヴィクトリア朝の印章

2020-10-17 18:00:31 | 突発お題
 優秀だった兄は錬金術師を目指して都で学んだが、結局故郷に戻って普通の会計士になった。それから常に持ち歩くようになった鎖付きの印章は卒業制作品だそうだが、夢が叶わなくても、それでも人生は続くと笑う兄が見せてくれたそれは、まるで涙を思わせる透明な石に小振りな字体で寂しげな言葉が刻んであった。
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竜飼いその81・通常の三倍は速い父専用

2020-10-11 20:00:51 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は真紅色の疾風竜という品種名です。気性は従順で、用途は通勤用です。

 父の通勤竜は動きが緩やかで大人しいように見えるが、実際は非常に頑固で気難い上に父にしか懐かず、更に本気になるとかなりの速度を出せる。そんな訳で以前窃盗団が父の竜に手出しした時は実行犯を数名乗せたままとんでもない高度をとんでもない速度で飛び回ってとんでもない騒ぎを引き起こしたが、幸いお咎めは無かった。
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ぼくは先代魔王様の忠実なる使い魔

2020-10-07 22:36:38 | 突発お題

 ぼくは体が小さいしのろまで、頭もよくない。気がついたら親はいなかったし、育ててくれる大人もいなかった。
だから、ぼくはお館で魔王様にお仕えすることになった。魔王様はこの地方のご領主で、だからこの地に住む魔族の生活を保障する義務があると魔王様の家来の人は仰ったのだ。

 ぼくが連れて来られたお館には、ぼくのように小さい魔族がたくさん働いていた。魔王様の身なりを整えたりお食事を給仕するもの、衣類の管理、お部屋の掃除などなど、こまかく割り当てられた小さい魔族にも出来るお仕事をしながら本当にたくさんの小さい魔族が働いていて、それはむしろ魔王様のためではなく小さい魔族の為だという。
 なにしろ魔王様は領地内の魔族を守る義務を負われているので、はっきりした反逆者を処分するならともかく、仕事や住まいをなくして行き倒れるような魔族が領内にいてはいけないのだそうだ。だから、小さい魔族の仕事が不十分でも魔王様が我慢しなければならない時もあって、実際は魔王様もけっこう大変らしい。
 
 ただ、そんな魔王様や魔王様の家来たちも、ぼくの扱いは困ったようだ。皿を持たせれば割り、服を持たせれば汚す、それこそ何の役にも立たないぼくの特技を必死に探した魔王様や魔王様の家来は、やがてぼくの最大にして最悪の欠点である物忘れのひどさに気付くことになった。悪気はないし一生懸命だが、とにかく教えられたことを次々と忘れるぼくは、しまいには魔力による記憶定着を使って何とか魔王様やその家来の顔や名前を忘れることはなくなったが、それ以外の事は次の日になると殆ど全部忘れるようになってしまい、事態は日に日に悪化していった。

 そんな生活が劇的に変わったのは、魔王様を引退して離れで暮らす先代の魔王様のお相手を任せられてからだ。身の回りのお世話は魔王様と同じように他のたくさんの魔族が行っていて、ぼくの新しいお仕事は先代様の思い出話を聞くことになった。そして、他の誰もが長くは耐えられなかったお仕事は、ぼくの天職となった。何度も同じ言葉で繰り返される先代様の自慢も、何度か聞いているとつじつまが合わなくなってくる英雄談も、ぼくにとっては何時だってはじめての物語で、そのたびに真剣に話を聞きながら熱心に話の先を促すぼくを、先代様はすっかり気に入って下さったのだ。

 だから今、ぼくは先代魔王様の最も忠実なる使い魔ということになっている。

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竜飼いその80・自業自得に捕まって

2020-10-06 22:00:23 | 幻想世界の竜飼い
たかあきの竜は雪色の鋼鉄トカゲモドキという品種名です。気性は少し意地悪で、用途は移動用です。

 俺の移動竜はトカゲモドキと呼ぶと機嫌を損ねる。トカゲモドキをトカゲモドキと呼んで何が悪いと畳みかけるとグレて動かなくなる。いくら自分の竜でも嫌がることを続けたらそのうち酷い目に遭わされるわよと妻に言われても止めないでいたら確かに酷い目に遭わされたが、絵に描いたような自業自得だと誰も同情してくれない。
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骨董品に関する物語・天使の聖水盤

2020-10-03 20:10:15 | 突発お題

 母は華やかではなかったが落ち着いた雰囲気を持つ美しい人で、我が家にあった聖水盤を捧げ持つ陶器の天使に良く似ていた。しかし、やがて父が家に帰らなくなった母の顔は醜く歪んで戻らなくなり、だから私の母の思い出の顔は何時しか陶器の天使となり、今はもう母の本当の顔を思い出せない。
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