作法に厳しい祖母から茹でたトウモロコシだけは直接かぶりついても構わないと言われていた僕は、両端に銀製の持ち手を差し込んだトウモロコシの芯を回して粒を齧り取るのが大好きだった。やがて祖母が亡くなり作法を子供に伝える齢になった僕は、時々孫と一緒にトウモロコシを齧る。
作法に厳しい祖母から茹でたトウモロコシだけは直接かぶりついても構わないと言われていた僕は、両端に銀製の持ち手を差し込んだトウモロコシの芯を回して粒を齧り取るのが大好きだった。やがて祖母が亡くなり作法を子供に伝える齢になった僕は、時々孫と一緒にトウモロコシを齧る。
仕事を理由に母を顧みず、臨終の床にすら駆け付けようとはしなかった父が母と同じ病に倒れ、長患いの末に亡くなった時、私はただ冷ややかにその死を見送った。そして遺品を整理していた時に書斎の鍵付き引き出しから恋文の束と乾きかけた涙壺を見出した時、ようやく涙を流したのだ。
卵の茹で具合と食べ方に対して異様なまでの執着を示す悪友に、俺が課題で作ったエッグスタンドを欲しいと言われた。失敗作だからこれは駄目だと何度も断ったら勝手に持っていかれた。ちなみに失敗作だったので奴が使ったら妙なものが孵ったそうだが、取り合えず俺のせいではないと思う。