Hiroの雑記帳

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欧米の『格差』、日本の『貧困』

2017年07月25日 | 一般

友人𠮷冨 兄の意見には教えられることが多い。

今回は伊藤元重先生の“欧米の『格差』、日本の『貧困』”の解説を引用した形での意見である。 

欧州の名家と知られるハプスブルグ家とかメディチ家などの名が歴史に登場するのは13世紀である。この頃から日本でも武家支配が始まったのは偶然ではないだろう。要するに力ある者が大衆を支配し、富を蓄積する貴族支配・武家支配の始まりである。日本も欧州も、家系の個々の興亡はあるが、貴族支配の社会は連綿と700年以上続く。国王の残る国では貴族制度も残る。  

日本は、太平洋戦争敗戦で戦勝国米国に貴族社会を潰されたし、空襲の戦火とインフレで蓄積した富もだいぶ消失した。一旦ゼロから再出発した戦後生まれの日本人には、ヨーロッパの上流社会はなかなか想像がつかない。しかし、欧州の社会常識では、資産が何世紀も代々相続されることが当たり前で、人々は、富の格差に疑問を抱かないのだろう。 

米国は、欧州で生活に苦しんだ人々が海を隔てた新天地に渡り、原住民から土地を奪って築いた国だ。無一文から個人の才覚と努力で富を築ける国で、それが『所得』の格差になる。貧富の格差を問題にする人も出るが、米国人の大勢は、富を築いた人をアメリカンドリームの達成者と尊敬し、所得均衡化に賛成者は集まりにくい。 

日本は、太平洋戦争敗戦前の米軍航空機による都市無差別爆撃と敗戦後の超インフレで蓄積した富を失い、敗戦後は、国民全員が毎日の食事にも事欠く貧困の状態になる。この時、賃金制度は、国民全員が乏しさをシェアして生き延びるため、生活給に切り替えられる。職位や職能と無関係に年齢と扶養家族数で給料額を決める制度だ。 

この他国には全く存在しない賃金制度は、世の中が安定して目覚ましい経済成長が始まって以降も、年功序列賃金に引き継がれる。私は、伊藤先生より若くて生活給の時代を知るから、先生の指摘『新入社員と社長の給料の差がこれほど小さい国はない』は、職位や職能による賃金差を無くした生活給を引き継ぐ年功序列賃金制度に原因があると指摘できる。 

その結果、日本の高齢正規労働者の賃金は、欧米先進国よりもだいぶ高い。正規高齢労働者が欧米先進国より高い賃金を取るから、若年者や非正規労働者に分配する原資がなくなり、『貧困の増大』の原因になる。 

格差を議論するときは、日・米・欧の違いを明確に認識しなければならない。三者の違いは、国の成り立ち、歴史・文化の違いであり、善し悪しの議論の対象にはなりにくいが、人物金が自由に国境を越えるグローバル経済の今日、何事も国際常識を外れていては、様々な歪みが生じる。 

国際経済学者の伊藤先生は、格差の違いを正確に指摘された。しかし、解決策は示されない。私は、日本の『貧困の増大』を解消するには、『年功序列賃金』を脱し、高齢正規労働者の賃金を欧米先進国並みに引き下げねばならないと思うが、皆様のご意見はいかがであろうか。 

 


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