入道雲のてっぺんを私は歩いている。一度歩いてみたかった。靴も脱いだし、靴下も脱いだ。足の裏が気持ちいい。弾力があって、踏み込む力をわずかに跳ね返してくれる。
想像していた通りだった。遠くから眺めるだけだった綿雲は、その表面が薄い膜のようなもので覆われていた。入道雲も同じで、幕の厚みは少しあるような気がした。
てっぺんまで連れて行ってくれたのは綿雲で、試験監督をしていた私が、ぼんやりと外を見ていた時に、窓の横まで来てくれた。私は、椅子に座って、腕組みをしている私を置き去りにして、雲に乗った。そして、いま、ここにいる。
夕陽が沈んでいく。雲が夕日の色に染まる。はるか下を飛んでいる白鷺は、朱鷺になっている。
もう一人の私はテストを回収して職員室まで持っていき、窓を開けて私の方を見ている。
もう少しいさせてくれ。滅多にない事なんだからさ。
想像していた通りだった。遠くから眺めるだけだった綿雲は、その表面が薄い膜のようなもので覆われていた。入道雲も同じで、幕の厚みは少しあるような気がした。
てっぺんまで連れて行ってくれたのは綿雲で、試験監督をしていた私が、ぼんやりと外を見ていた時に、窓の横まで来てくれた。私は、椅子に座って、腕組みをしている私を置き去りにして、雲に乗った。そして、いま、ここにいる。
夕陽が沈んでいく。雲が夕日の色に染まる。はるか下を飛んでいる白鷺は、朱鷺になっている。
もう一人の私はテストを回収して職員室まで持っていき、窓を開けて私の方を見ている。
もう少しいさせてくれ。滅多にない事なんだからさ。