蝸牛の歩み

「お話」を作ってみたくなりました。理由はそれだけです。やってみたら結構面白く、「やりたいこと」の一つになっています。

花は空に帰ることがある

2015-07-11 15:19:34 | 日記
 中庭には、高さ3m弱の桜の木が植えてあり、薄紅色の花をつけていた。
 一陣の風が吹きすぎた。桜の花は、木に咲いていたのと同じ形を保ったまま、木の左側に移動した。そして、風がやむのと同時に、その場に降り積もった。
 小さな桜の富士ができた。
 さまざまな鳥たちが地面に舞い降りてきた。彼らはきれいに東西南北の方向に四列に整列し、花弁を嘴にくわえて飛び立っていった。嘴にくわえ、後ろに並んでいる鳥に軽く会釈して飛び立っていった。雀が鶯に、鶯は目白に会釈して飛び立っていった。
 緑の芝生の上に降り積もってできた桜の富士は、空に帰って行った