資産運用会社「MRIインターナショナル」(本社・米ネバダ州)による資産消失事件で、一連の不正は米国本社が主導していた疑いが強いことが27日、関係者への取材で分かった。同社のエドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長(66)は証券取引等監視委員会の任意の事情聴取に「資金の大半が残っていない」などと説明。日本事務所の役職員が預かり資産の管理に関わっていなかったことも判明した。監視委は強制調査で押収した資料を分析し、役割分担など実態解明を進める。
MRIは、顧客から集めた資金を米国の診療報酬請求債権(MARS)の購入に充て、年6・0~8・5%の高利回りを出せると宣伝。だが、平成23年以降、運用の実態がなく、国内の顧客約8700人から預かった約1365億円とされる資金の大半が失われたとみられている。
顧客は投資金を米国の口座に入金するよう指示され、配当金や償還金も米国口座から振り込まれていた。投資金について、同社は米金融大手ウェルズ・ファーゴに開設した「ロックボックスアカウント」という特別な口座で管理、債権の購入時しか使用できないと説明し、顧客を信用させていたが、実際は自由に出し入れできたという。
関係者によると、3月に行われた監視委による立ち入り検査の結果、同社の日本事務所の役職員27人は、資産の出し入れに関与していなかったことが判明。監視委が先月、フジナガ社長から任意で事情を聴いた際、社長は「集めた資金の大半が残っていない」「もう少しで配当できる」などと説明したという。
監視委は米証券取引委員会(SEC)とも連携。不透明な資金の流れを解明するため、フジナガ社長からの再聴取を検討するほか、日本事務所で不正を認識していた役職員がいなかったかなどを調べる。