奄美 海風blog

写真。植物や本 ネットで映画感想。相撲見てツイート
04年4月~14年11月ブログ人
トップへはタイトルをクリック

映画 『裸の島 』 新藤兼人 (監督) 1960年

2011年06月07日 | 映画
裸の島 [DVD] 裸の島 [DVD]
価格:¥ 4,935(税込)
発売日:2001-08-10

裸の島
乙羽信子 (出演), 殿山泰司 (出演), 新藤兼人 (監督)
5つ星のうち 4.6  (11件のカスタマーレビュー)

=====

amazon 内容紹介
瀬戸内海の孤島で力強く生きる貧しいひとつの家族を台詞無しで描く映画詩。モスクワ国際映画祭グランプリ受賞。

モスクワ国際映画祭グランプリ、ベルリン映画祭セルズニック銀賞。国内外問わず高く評価された。瀬戸内海の孤島で力強く生きる貧しいひとつの家族を台詞無しで描く映画史。

=======きょうのつぶやき

BS録画で見た。『裸の島』1960年新藤兼人監督台詞無し350万円の低予算モスクワ国際映画祭グランプリを始め、数々の受賞-- 泣けるから不思議だ。多分大陸の人も泣けるThe Naked Island via

NHK BSシネマ 山田洋次監督が選んだ日本の名作100本~家族編~「裸の島」. . チャンネル:BSプレミアム放送日: 2011年6月5日(日) 放送時間:午後10:00~午後11:46(106分)

を録画して観た。よかった。

台詞がない分、クローズアップされるのは音楽だけではない。

櫓が海面をたたく音、天秤棒を担いで段々畑の道を踏みしめる夫婦の足音、桶が着地し天秤棒をはずす音、乾いた土に水がしみ込む音、山羊が草をかむ音、その他。これらは、ことさら強調されているのではなく、鑑賞者は自らそのとりこになったように聴き入る。

繰り返される音楽と共に、見終わってもしばらく耳からはなれない。

耳ばかりではなく、体も見晴らしのいい小島の高台にいるような気分。それはカメラが建物の中にはほとんど入り込まないせいだろうか。自分がスタッフになり撮影を楽しんでいる気分になる。

乙羽信子さんが畑で水をこぼしてしまうシーンが2度ある。一度目は過失、二度目はそうではない、夫役の殿山泰司が、それぞれのシーンでとる態度は、考えさせられる。働くとは?生きるとは?。このシーンだけで入場料を払う価値がある。

また震災を経験した今、新たに、便利な生活とは?など、泣けるのに、いろいろ考えさせられる。下手な考え休むに似たりと殿山泰司に言われているような、いや目で諭されているような。

昭和35年とはいえ、たったの350万円で、こんな映画が出来てしまっては、あとにつづく監督たちは、困ってしまったのではなかろうか?


最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
観ましたよ、僕も、BSで。 (鎌田浩宮)
2011-06-08 08:47:07
観ましたよ、僕も、BSで。
乾いた土に水がしみ込む、
あのキラキラした質感、
まるでカラー映画を観ているようでした。

山本監督も言っていましたが
水をこぼして、平手打ちのシーンは
はっとさせられました。

子供も、今よりよく死んだのでしょう。
実は、これはエプスタインズで書くことになるでしょうが、
うちの母の産みの母は
今の医学なら簡単に治るような
いや、当時の医学でも簡単に治るようなことで
母が幼児の時に亡くなりました。

それ以来、
祖父は子供に何かあると
すぐに病院に行かせるようになり
母も僕らに対してそうしていました。

当時の人、
喪服なぞ着なかったのですね。
学校の先生も白服でしたね。

おじさんと酒を酌み交わしながら
語りたい映画です。
鎌田浩宮さん、コメントありがとうございます。 (管理人)
2011-06-08 22:51:31
鎌田浩宮さん、コメントありがとうございます。

葬式の場面が、この島で最も華やいでいました。
気のせいか音楽もいつになく明るい感じすらします。
まぶしいような大きな動力船が大勢の人を乗せてきました。
こどもたちは、棺おけに、無造作に花を投げ込むように入れ
しめやかという雰囲気ではありません。
ある意味これはとても自然だと思います。

この映画は細密な描写でありながら細かい所にはキッパリと気を使いません。そこが名作たるゆえんだと思います。(ですからこの作品を実験作というのは正しくありません)
名作には必ずある、映画そのものにはじけるような若さが感じられるという点で、この作品は、映画「モナーク三軒茶屋410」の特に「グローバル資本主義の危機」と共通します。(これは傑作です。後日ホウソウ予定)


また、シンプルな話ですが、よく考えると「ワカンナイ」ことやギモンが多いところはジョオジakechi の「天と地の彼方へ」と少し共通します。

さて、葬式の場面に戻ります。
島に大勢の生徒たちを乗せた白い船のなんとまぶしかったことでしょうか。
文化生活の華やかさを残し、エンジン音と白波をたてて島を離れるその姿を、しかし、カメラはいつまでも追いません。

(中略)夫婦の妻が畑に突っ伏して嗚咽するシーンがそのあとに来ます。

(中略)そしてラスト。

この映画でもっともお金をかけたシーンかも知れない空撮です。
いままで、海面にぽっかり浮かんで見えた緑の小さな島、
ゆらりゆらりと揺れて頼りなげな小さな島が全体像をあらわします。
われわれは、その姿に驚きます。

確か映画の冒頭シーンでは、「耕して天に至る」というクレジットが入っていたはずです。

夫婦が地を耕して天に至ったその畑の跡が一望できます。その大きさに世界中の人が驚いたと思います。地と天ですね。

これこそが、「天と地の彼方へ」の茂がマーリーに出会い、愁眉を開いたあのシーンにつながるのです。

繰り返される音楽は全く違って聴こえ、エンジン音と白波のあの船がちっぽけなものに思えてくるのです。茂はその後、父母と自己を見つめ、今、成増。(後略)

この映画を見て、低予算 台詞なしと聞いて思い出したのは、
あの夏、いちばん静かな海。
真木蔵人 (出演), 北野武 (監督)

です。(余談ですが主人公の名は茂です)

これは、おじさんが理解できず「もう日本映画は見ない」とケツイした作品です。(ま、洋邦をとわず今までもあまり見てないのですがね)おかげで鎌田監督の映画も見ていません。

これからは見ようと思います。
いやあ、実は僕も、 (鎌田浩宮)
2011-06-09 09:33:11
いやあ、実は僕も、
北野武の作品、全然面白くないんですよ。
唯一よかった
「キッズ・リターン」
を除いて。

「あの夏、いちばん静かな海。

は映画館で観たんですが
金返せと思いました。

さて、本題。

子供というのは、無造作なものです。
ましてや、礼儀作法に強くないです。
だから、
あの無造作なはなむけは、
とってもすんなり心に入りました。

うちの浪はご飯をあげても
礼も言いませんが
子供が投げるように花を放っても
そこに無礼を見出そうとするのは
大人の勝手なんですね。

音楽の話ですが
たとえばイタリア映画の傑作
「鉄道員」
これも家族を描いたものですが
音楽はなんと2種類しかないんですよ。

2曲しかないのに
それで2時間を引っ張ってしまう。

僕も仲間の映画音楽を創りますが
あの境地に行ってみたいものです。

そのことがこの「裸の島」にも言えましたね。


殿山泰司、大好きな役者です。
彼の足元にも及びませんが
「モナーク三軒茶屋410」では
おじさんのおっしゃる通り、
細かい所にはきっぱりと気を使わない演技に徹したものです。

今のところ売れ行きさっぱりなのですが
頑張って売っていきたいです。

ちなみに新藤監督は
竹中直人主演で
殿山さんの伝記映画
「三文役者」を創ってまして
これがまた面白いのです。

彼はみんなから
たいちゃん
と呼ばれているのですが
彼の「重昭」ばりのダメ男っぷりが、いいです。






この作品に出会って実に良かったと感動しました ... (長野 幸子)
2011-08-12 21:26:22
この作品に出会って実に良かったと感動しました とても心に残る家族愛と美しい自然に感激しました 私が忘れていた人間らしさを思い起こさせました
長野 幸子さん、コメントありがとうございます。 (管理人)
2011-08-13 17:15:06
長野 幸子さん、コメントありがとうございます。

白黒フィルムなのに、きらきらした美しい自然の風景が今もまぶたに残る不思議な作品ですね。

何も考えず、安心して何度も見ることができる作品だと思います。が、見たあとでいろいろと考えさせられる不思議な力をもった作品。これは時代を超えるものだと思いますね。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。