不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Il Parnaso

2011-06-14 23:10:00 | アート・文化
イタリアの首相官邸である
キジ宮殿(Palazzo Chigi)にあるものは複製で、
オリジナルはVilla Reale a Monza(モンツァの王宮)にあります。
Andrea Appiani(アンドレア・アッピアーニ)によって
1811年に描かれた作品。

パルナッソス山は
アポロ(Apollo)と学芸の9女神(Muse)が暮らしていたとされる
ギリシャ中部の山。
チェトラで弾き語りをするアポロを中心に
9人の女神が描かれている作品で、
先日イスラエルのネタニヤフ首相との対談終了時に
ベルルスコーニ首相が自己批判を込めて紹介し話題になった作品です。

Parnaso

対談の際にネタニヤフ首相から
二人の背後にある絵画作品は誰のものかという質問を受け、
側近に確認をさせたそうで、
対談の終了時にベルルスコーニ首相は
「この作品はアンドレア・アッピアーニの手による
フレスコ画「パルナッソス」で、
つまり1811年の乱交パーティーを描いたものだ」と説明。

実際にはアポロを中心に
歌い踊り詩を詠む9人の女神が描かれる
非常に平和な神話の1シーンを描いたものですが、
ベルルスコーニ首相はアポロを自分になぞらえ、
その脇に控える人物を
マリアーノ・アピチェッラ(Mariano Apicella)である
と言っています。
アピチェッラはナポリ出身のギタリストで、
ベルルスコーニの詞に曲をつけて
歌ったことでよく知られています。

未成年買春も含み糾弾されている自らの行いを
こうした形で自嘲してみせ、
あまりに深刻すぎるやつにまじめに付き合うなと言い放ち、
時には自己批判も必要だと言ってのけたのですが、
ある意味、非常にベルルスコーニらしいエピソード。

アンドレア・アッピアーニ(Andrea Appiani)は
1700年代終わりから1800年代初めに活躍した
ミラノ出身の画家で、
レオナルド、ラファエロ、ルイーニなどの影響を
強く受けています。
「パルナッソス」も色彩の濃淡を利用してぼかす手法を用い、
遠近感や顔の表情などを表現するために
陰影が効果的に多用されています。
人物はやや不自然なくらいに人工的なポーズで描かれ、
背景の木々は非常に緻密に再現されています。