不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Mio fratello e' figlio unico

2007-05-07 07:45:27 | 映画

矛盾するタイトル。
そしてタイトル同様、
内容も矛盾に満ちた60年代後半から70年代にかけての
イタリアの若者の政治感をメインに扱った作品。

日本は第二次世界大戦敗戦後、
腫れ物に触るかのように「国粋主義」が敬遠され
学生運動もヨーロッパほどに過激にならず、
その後は政治的無関心が蔓延るようになって
我々のジェネレーションでは政治的なイデオロギーを
熱く語ることは「ちょっと変わった行為」と取られかねない。
なので、日本人で、政治的に特にこだわりもない私などには
イタリア人の中にある「政治的イデオロギー」を
テーマにしたこうした映画は非常にわかりにくいし、
見終わった後に、なんだかとても空虚感を感じるのです。

この映画は主人公の兄弟の兄を
今絶好調のRiccardo Scamarcio(リッカルド・スカマルチョ)が
演じていることもあって、若いファンが挙って映画館に押し寄せ、
政治的テーマであるので、それなりの年齢の方々も足を運んで
イタリア国内ではヒット作となっています。

兄は根っからの共産主義者。
それに対して幼い頃から「混乱した」弟は
自分で進んで入った神学校で矛盾を感じ、
その後ファシズムに染まり、最後には共産主義に転向。
何事も軽く要領よくこなし、モテモテの兄に対して
なににおいても真面目すぎて不器用な弟。
まったく違う方向を向いているようで
どこかで繋がっている二人は
運命のように同じ女性を愛してしまいます。
その兄弟の葛藤と愛情を主軸にして
60年代70年代のイタリアの政治的な動きを描いた作品。

もともとわけのわからない「政治的」なテーマであるうえに
舞台となったのがLatina(ラティーナ)であるため
めちゃくちゃ強烈なローマ方言で全編展開。
トスカーナ方言に慣れ親しんだ私には
理解するのに結構大変な映画でありました。

時代背景が60年代後半ということで
FIAT500をはじめ懐かしい往年の名車が何台も登場。

Miofratelloefigliounico
Mio fratello e' figlio unico

今10代の若者を中心に一気に人気急上昇中のリッカルド。
こんなに有名になる前には「特異な若者」という感じで
結構好きだったのだけれど、なんかこう人気が出るとちょっと違う。
ブルーアイの強烈なまなざしと
南イタリアの男性独特の野生的な雰囲気は好きだけれど
同じ若手俳優としてはSilvio Muccinoのほうが好きかなぁ。