田舎のエプロンおばさんのエッセー集(アキのあしあと集)

日常の生活記録や認知症の主人を抱え奮闘する私の日々の記録をエッセー風にしました。

12 緊張感持った生活・夫の病状好影響

2004-07-20 20:18:28 | 認知症の夫を抱えて
平成11年1月22日 朝日新聞 はなしの広場 かけ橋 掲載

夫は5月で67歳になる。仕事を辞めて4ケ月。びっくりするほどのスピードで
ボケの症状が現れた。どうしょう?これから先の不安を抱きながら夫を1人
家に残して私は勤めを続けてきた。話を聞いた姉弟達が「今のままでは2人と
もダメになる。生きがいと適当な緊張感を持たせて少しでもボケの進行を遅ら
せないと、と手を差しのべてくれた。姉は食と住を!弟は仕事を与えてくれ
昨年暮れか別居生活がスタートした。夫は姉の家に同居し毎朝姉と共に出勤し
倉庫で雑用の仕事をしてる。失敗や物忘れで周囲に迷惑を 掛けながらも彼は
彼なりに一生懸命頑張っているらしい。電話の先で「焼酎が旨い」と言う声が
弾んでる。正月は私達の老後について親子で真剣に話し合った。
「これから先はお父さんのことを中心に考えよう」と娘は言う、私もそう思う。
来年3月で私は退職し故郷に終の棲家 移すつもりだ。1年間待って下さいと
姉弟に頼んだ。彼らは長いなー!と言いつつも協力してくれている。
別居生活は私にも堪える。娘は35年間母さんが頑張って来た結果が今の結果だ
と言う。そう言われると辛いと言ってめそめそしても居られない。
1歩1歩の延長が1年につながる、やるしかない。

    註  あれから5年 故郷に帰ることなく娘夫婦と同居
       あの苦しいとき支えて貰った恩は生涯忘れません
       
   平成16年7月20日 記  姉弟に支えらているエプロンおばさん