田舎のエプロンおばさんのエッセー集(アキのあしあと集)

日常の生活記録や認知症の主人を抱え奮闘する私の日々の記録をエッセー風にしました。

57 大晦日

2004-12-31 07:35:08 | 認知症の夫を抱えて
今年も暮れようとしています。大掃除です、さぁ~フロァーにワックス
かけの準備、1部屋づつ荷物を移動して部屋を空にしてワックスが乾いたら
元に戻します。先導は娘婿、彼がワックスを塗り荷物の移動は私と主人の
役目です。私達の部屋の番になったとき娘婿は床屋に行きました。部屋の
荷物を移動して休憩しているときの事、主人との会話です。「この家に住
んで何年になるのか?」「ちょうど1年よ去年の暮れ28日に引っ越してきた
から」「そうかそして今度はどこに引っ越していくのか?」「?」「どこに
も行かんよ何で?」「出て行けと言われたんやろう?」「誰に?」「利君は
優しいからそんな事言わんやろう」「そんなら美保が出て行けて言うたん?」
「何処に行くん?」「行くとこないけど出て行けて言われたら出て行かな
いかんやろう」「私達もう行くところ無いんよ、美保はそんな鬼のような事
言わんよ」「引っ越しの荷物じゃないのか?」「大掃除のワックかけなんよ」
「そうか良かった」痴呆でもそんな事考えて荷物を移動させていたなんて私は
切なくて泣きました。お父さん!死ぬまで私たちはここに住んでいいのよ、
安心してね。この会話を聞いていた娘も泣きながらお父さん心配せんでいいよ
私鬼じゃないよ、一緒に居てね!3人で涙を拭きながらの1コマでした。
婿が帰って来て作業開始、もう主人は忘れて元気に手伝っています。泣き笑い
の行く年来る年です。来年はもっともっと厳しい状態が来ることでしょうが肩
を抱き合い家族力を合わせ元気に新年を迎えます。来年も又よろしくお願いし
ます。

  平成16年12月31日  記 泣き笑いで暮れた大晦日のエプロンおばさん