先週末に仏サンクルー競馬場で行われた2歳GⅠクリテリウムドサンクルー。優勝馬は牝馬Passage of Timeだったのだが、何よりも驚いたのが調教師がH.セシルだったことである。かつて英国リーディングに10度輝き、英ダービーはSlip Anchor、Reference Point、Commander in Chief、Oathで4勝、英オークスを今年の英セントレジャー馬Sixties Iconの母親でもあるLove Divineなどを始め6勝を挙げた名調教師なわけだがGⅠ勝ちは何と00年にBeat Hollowで制したパリ大賞典以来6年ぶりとのことだそうな。
この名門調教師が何故没落していったかと言われると90年代の栄光を共にした主要なオーナーが彼の元から離れていったことが挙げられると思うが、そのきっかけとなったものはやはり95年のモハメド殿下との決裂や99年、当時厩舎の主戦騎手であったK.ファロンとの契約打ち切りであろう。このどちらの出来事にもH.セシル氏の奥さんであるナタリー夫人(ちなみに後妻でH.セシルとは20歳以上年が離れている)が関与していることは有名な話である。
まず、モハメド殿下との決裂の原因としてはMark of Esteemに関する意見の相違もあるが、契約を打ち切る際、モハメド殿下が「H.セシルは欧州でも最高クラスのトレーナーだと思っている。しかし、私は彼自身に調教してほしいと思って馬を預けているのであり、彼でない人間、それも馬のことなどほとんど知らない人間に自分の所有馬が調教されるのは納得できない」(Gallopの英のエロイ人の記事参照)と述べ、H.セシルの奥さんであるナタリー夫人による調教への干渉を快く思っていないことが読み取れる(ちなみにH.セシル調教師の奥さんは元々厩舎スタッフだったようですが)。そして、H.セシル厩舎凋落の決定的要因となった99年のK.ファロンとの決裂の原因となったあの不倫スキャンダルである。元々はそれほどパッとしない騎手であったK.ファロンを当時英国でも指折りの調教師であったH.セシルが主戦騎手に指名したのがこの2人の関係の始まりであるのだが、当時はH.セシルの決定に対し非難の声も大きかった。だが、K.ファロンはコンビ結成後初のクラシックとなる英1000ギニーをSleepytimeで制し、97年、98年と2年連続で英国リーディングを獲得するとそのような外野の声も黙らした(しかも99年まで3年連続200勝を達成)。Sleepytime後もBosra ShamやReams of Verseで活躍し、結果的にコンビのラストイヤーとなった99年は英1000ギニーをWince、英オークスをRamruma、英ダービーをOathで制するなどその蜜月関係は頂点に達したとみられていた。しかし、この突然のスキャンダルによってシーズン途中にコンビが解消されるとこの2人は好対照な運命を辿ることになる。K.ファロンは落馬などによって順調さを欠いたシーズンもあったが00年にSingspielやPilsudskiでのJC制覇など日本でも有名なM.スタウト厩舎の主戦騎手契約を結ぶとKris Kin、North Lightでの英ダービー制覇を始め、Golanでの英2000ギニー、キングジョージ制覇など活躍を果たす。05年にはご存知の通りJ.スペンサーの後釜としてバリードイルの主戦騎手に指名され、凱旋門賞をHurricane Runで制しその騎手人生はピークに達したのである。対照的にH.セシルは00年の英オークスこそLove Divineで制したもののその後は泣かず飛ばず。重賞制覇でさえ今年8月の勝利が4年ぶりの重賞勝利だったのだ。
牝馬ながらクリテリウムドサンクルーを制したといえ、メンバーレベルが微妙なのでPassage of Timeの力はまだまだ評価できるものではないかもしれない(オークスではそこそこ人気になっていますが)。ただ、かつての戦友であるK.ファロンが八百長疑惑によって引退か否か悩まされている時期にH.セシルが復活の狼煙を上げたことは中々興味深い。この2人のバイオリズムはコンビ解消後に反比例するようになってしまったのであろうか?何にせよ、これで来年のクラシック戦線にまた一つ注目しなければならない点が出来た。地獄を見たであろう名調教師の逆襲に期待したい。
昨年、アガカーン殿下からゴドルフィンが購入したShawandaが引退だそうな。昨年、ゴドルフィンは例年にも増してトレードを行った気がするが、いったいトレードで獲得した馬はどれくらい走ったのだろうか?と思い著名なところだけ調べてみた。
Electrocutionist Red Ransom-Elbaaha by Arazi
トレード前の主な戦跡/英インターナショナルS、ミラノ大賞
トレード後の戦跡/4戦2勝 ドバイワールドカップ、マクトゥームチャレンジラウンドⅢ
これは合格でしょうな。ドバイワールドC用に購入してきて見事勝つのだから大したもの。その後もプリンスオブウェールズS、キングジョージで2着など前半期不振に喘いだゴドルフィンにおいて孤軍奮闘した存在。心臓麻痺による死亡がつくづく惜しいですな。
Shawanda Sinnder-Shamawna by Darshaan
トレード前の主な勝ち鞍/愛オークス、ヴェルメイユ賞
トレード後の主な戦跡/0戦0勝
・・・・1戦も出来ないとは。一時、ロイヤルアスコット開催での復帰が噂されましたがいつの間にかお流れになり、秋の復帰もお流れ。結局、この馬のために7☆で何人が泣いたことやら。完全に権利は移っていたようでダーレースタッドで繁殖なんですな。まあ、繁殖としての価値も含んでのトレードだったのか。
Valixir Trempolino - Vadlamixa by Linamix
トレード前の主な戦跡/クイーンアンS、イスパーン賞
トレード後の主な戦跡/3戦0勝
これもまたヒドイ。昨年の後半から続いていた不調を結果的に引きずった形になってしまいましたな。ドバイ~シンガポールとアジアツアーを走るも結果は出ない。精神的なものだとすると復活は厳しかったのでしょうな。お疲れ様でした
Caradak Desert Style-Caraiyma by Shahrastani
トレード前の主な戦跡/デスモンドS、ミンストレルS
トレード後の主な戦跡/5戦3勝 セレブレーションマイル、フォレ賞
これは上手くいったケース。トレード前にフォレ賞でCourt Masterpieceの2着に入るなど活躍していたが今年になってさらに上昇。復帰戦を快勝するとセレブレーションマイルでGeorge Washingtonを撃破。勢いに乗って昨年惜敗したフォレ賞でGⅠ初制覇。BCマイル出走のプランもあったようだが回避みたいやね。香港でも使うのかしら?
→10月にイタリアのPremio Vittorio di Capua(GⅠ)を使って3着でしたな。勝ったのはジャックルマロワにも出ていたRamonti。Faceさん、ご指摘ありがとうございました。
Oiseau Rare King's Best-Oiseau De Feu by Nijinsky
トレード前の主な戦跡/ミネルヴ賞、ロワイヤリュー賞
トレード後の主な戦跡/0戦0勝
Oiseau Rareも今シーズン期待されていたのに結果出せませんでしたな。今どうしているのかな~と思ってゴドルフィンのサイト見てみたら・・・いない!。いつの間にやら引退?していたのねorz
Palace Episode Machiavellian - Palace Weekend by Seattle Dancer
トレード前の主な戦跡/レーシングポストトロフィー
トレード後の主な戦跡/1戦0勝
ダンテSの前に「いくら父がMachiavellianだからって、前走破ったSeptimusとこんな人気面で差が開くかね~。」と語った記憶があるがダントツの最下位・・・でした。それ以来出走無し。ただ、ゴドルフィンのサイトでは名前がまだ見受けられるだけに見捨てられない・・・よな。
Winged Cupied In the Wings-Emotion by Bering
トレード前の主な戦跡/レーシングポストトロフィー2着
トレード後の主な戦跡/0戦0勝
う~ん、この馬も0戦か。今年のゴドルフィンは3歳勢が悲惨さがより目立ったわけだが期待していた馬が出走できなかったことも大きな要因なんでしょうな。
The Geezer Halling-Polygueza by Be My Guest
トレード前の主な戦跡/セントレジャー2着
トレード後の主な戦跡/1戦0勝
この馬も5月にGⅡを1回走ったっきり。こんな戦跡の馬ばっかりだとコメントに困るから困る。英セントレジャーで負けたScorpionが先日復帰したのでこの馬もガンガレ!
Opera Cape Barathea-Optaria by Song
トレード前の主な戦跡/ジャンリュックラガールデール賞2着、デューハーストS2着
トレード後の主な戦跡/1戦0勝
英2000ギニーで14頭立ての14着。最早何も言うことはありません…。
他にもStepping UpやらSilcar's Sisterなんかもトレードで入っておりましたな。結果は悲惨ですが…。ざっと眺めて見ると成功と言えるのはElectrocutionistやCaradak位。他は散々たる戦跡だが殿下にとっては痛くも痒くもないんでしょうな(笑)。考えてみると、アメリカで活躍しているDiscreet CatやらHenny Hughesなんかもトレードで入手しているんだったか。この2頭でお釣りが来る計算・・・。
今年はど~すんのか。ドバイカーニバルを狙うには猫やらInvasorがいるのでクラシック候補をトレードしていく方針なのであろうか。
レースを見た単純な感想としては、「辛い競馬をしてしまったな」というもの。ディープの好スタートが強調されている感があるが、スタートだけならHurricane Runの方が良かったし、それなのにディープインパクトの方が道中前目に構えたということは武豊TV!で武豊自身が言及していたように、ある程度の位置で競馬をすることを考えていたのであろう。それ自体は凱旋門賞を勝つという意思の現れであると思うし、勝つためには正攻法の策とも言える。ただ、それがディープインパクト本来の走りだったのかな~と。前回述べたように、ディープという馬は国内では〝道中は後方待機で3~4角で一気にマクって直線は独走〟という他馬を気にしない唯我独尊、自分でペースを自在に作る競馬を行ってきた。それが、デビューして初めて?他馬を意識する競馬をせざるを得なくなった時点で脆さがでたか。つまり、今までは他馬との実力差が圧倒的だったため(考えてみるとこれも情けない話だが)、ディープは他馬を気にすることなく自分の競馬をすれば勝てていたのであり、その弊害が出たのが昨年の有馬記念だと考えている(もちろん、体調も絶好調ではなかったのかも試練が)。さて、それで今回の凱旋門賞である。前半の位置取りもそうだが、前に位置したShirocco、隣に並んだHurricane Runを正直意識した騎乗だったと思う。ディープインパクトにとっては初めて他馬を意識せざるを得ない競馬(まあ、それが本当の意味での競馬なわけだが)、そして慣れない異国の芝。そんな状態でいつものように飛べるわけないでしょうが。いつもよりも前につけた時点で、いつものように伸びると期待するのもアレですが。
結局は今の日本競馬においてディープインパクトとちゃんとした〝競馬〟が出来るレベルの馬がいなかったことが痛恨だったか。惜しむべくはハーツクライが国内に留まって天皇賞→宝塚記念とディープとともに走りレースの駆け引きを覚えさせる機会があれば、少しはディープも走りやすかったのかなと。自分の意見としては武には凱旋門賞の舞台であっても〝ディープインパクトの競馬〟をしてほしかった。目標のレースでそれをしないのは今まで築いてきた走りはなんだったのかと疑問だし、先行策も考えていたなら宝塚記念で試してみるべきであったと思う。まあ、武豊批判をすると止まらなくなるタイプなのでこの辺で終わり。
勝ったRail Link(レイルリアルって何だ?修造よ)は正直ないと思っていたいた。勝ちタイムがハッキリしない(ギャロ発表であっているのか、2:26秒台なのか)ために判断しにくいが、まあBago化は勘弁。Prideタンは道中、「それ、なんて横山典?」と言いたくいなるような競馬をルメールがしていたわけだが結果も、「それ、なn・・・?」。結果論になるがRail LinkとSixties Iconの外に始めから出せていれば勝てたような・・・。
Hurricane Runは直線で前にIrish Wells、Shirocco、ディープ。横にPride、Rail Linkと考えられる上で最悪かもしれないような騎乗。エンジンの点火が若干鈍いだけに致命的。それでも4着に来るんだからたいしたものか。分からないのはShirocco。スミヨン自身も「分からない」と言っているが、勝ちタイムが公式発表のタイムではなく、2:26秒台なら仕方ないんだよな~。それに堅い馬場も克服したという報道もあったが、やっぱり苦手か。
てゆうか、本当に2:26秒台ならディープの競馬をしていれば勝てたと思ってしまう。橋口調教師は、日刊スポーツ上で「ディープで勝てなければ日本馬は何十年も勝てない」と言っているが、日本馬にも勝つ力はあると思うのよ。あとは、その馬の馬場適正であったり、欧州3歳馬のレベル次第。〝菊を捨ててロンシャンへ〟なんて時代がやってくるとは到底思えないので、欧州3歳馬と能力面で比較しなければならないのが悔しいところだが、他馬がいるのが本来の競馬。ディープを応援するのも結構だが、ディープが〝競馬〟をできるくらい強い馬を作る下地をJRAには作ることを期待したい。とりあえず、サムソンガンガレ
1 | 2 | ディープインパクト | サンデーサイレンス | ウインドインハーヘア | 武 豊 |
池江泰郎 | |
2 | 1 | Hurricane Run | Montjeu | Hold On | K.Fallon | A.Fabre | |
3 | 6 | Shirocco | Monsun | So Sedulous | C.Soumillon | A.Fabre | |
4 | 5 | Pride | Peintre Celebre | Specificity | C.Lemaire | A.de Royar-Dupre | |
5 | 4 | Rail Link | Dansili | Docklands | S.Pasquier | A.Fabre | |
6 | 8 | Sixties Icon | Galileo | Love Divine | L.Dettori | J.Noseda | |
7 | 7 | Irish Wells | Poliglote | Sign of the Vine | D.Boeuf | F.Rohaut | |
8 | 3 | Best Name | King's Best | Flawly | O.Peslier | R.Collet |
まあ、Fabre勢vsディープインパクトという構図でいいんジャマイカ?
前回書いたように、ディープインパクトにとっては三冠は最早通過点と認識され、某世界の合田などは優駿において三冠よりもBCターフに挑戦するべきと言い出す始末だった。それから早一年。ほぼ、今夏~秋にかけての欧州遠征が決まっていたのだから武は馬群を破ってくる騎乗をしてみたり、先行策を試してみるというオプション的な戦法を身につけるレースが何回かあった。にもかかわらず、武は新馬戦から続けてきた〝道中は後方待機で3~4角で一気にマクって直線は独走〟という〝ディープの競馬〟を一貫して続けてきた。これは、武が「凱旋門賞の舞台でもこの競馬を行う」という決意表明であると思うし、であるなら凱旋門賞の舞台でも演じなければならない。それが凱旋門賞という特別な舞台であってもディープインパクトにとって朝飯前の芸当なのか、それともHurricane RunやShiroccoの前では厳しいのかは分からない。ただ、4角でいつものような競馬が出来ていれば間違いなく勝てるであろうし、Shiroccoを射程圏に捉えきれなければ敗退の可能性は十分考えられる。ディープインパクトの凱旋門賞における着順は直線を待たずに決まる。ディープが先頭に立ったらハーツクライのように差し返されることは考えにくい。ただ、「マクりきれるか」、それだけのように感じる。
ペースメーカーが出ないことはあまり気にならないか(Irish Wellsがペースメーカーの役割を果たすのかな)。直線でよーいドンの競馬になった場合でもHurricane Run、Shiroccoとは瞬発力の点で分があると思っているだけに何とかなる・・・か。怖いのはむしろ後ろから来るPride。騎手はこのメンバーの中ではディープの怖さをペリエと並んで体感しているはずのルメール。ディープより後ろの競馬では差すことが厳しいことは承知しているだけに最低でもディープと並んで競馬をし、ディープが外に行った瞬間に上手く内を突ければ見せ場以上のものがあるか。前回も述べたように、今年のサンクルー後のローテはこのレースに対する意気込みを感じるには十分すぎるものがある。それは、Shirocco、Rail Linkにも同じことが言えるか。Hurricane Runはキングジョージ後にどこまで疲労を回復できたかが鍵。前走、良かったといっても使った途端にガタッとくる馬を何度も見てきた。
〝すべては凱旋門賞を勝つために〟、今年はそれだけを考えてローテを選択してきた馬による少数精鋭のレース。99年エルコンドルパサーの2着敗退以後、日本競馬関係者にとって凱旋門賞は畏敬の対象だけではなく、実際手の届くところまできたと思う。あれから7年。そろそろ、勝っておくのも悪くはないのではないか。それによって、夢の世界のレースから現実狙うべきレース認識させてくれたエルコンの遠征の意味が再評価されるのだから。24時間後、日本競馬において新たな時代が始まることを祈る。
いよいよあと3日で凱旋門賞。思えば、ディープインパクトは新馬戦・若駒Sを圧勝した時点で三冠制覇を通過点とされ、三冠制覇を達成すると世界制覇を目標とされた。近年の日本競馬でここまで調教師・騎手・ファンの思惑通りにハードルをアクシデント無く越えてきた馬も珍しいんじゃないかな。21世紀に入ってからの日本の年度代表馬に限定したとしても、01年ジャングルポケットはキングジョージ→英インターナショナルS遠征が計画されるも故障で頓挫。02年、03年シンボリクリスエスはオーナーの「海外はリスクがあるし、めんどくさいし(笑)」という言葉にすべてが集約されている感がある。04年ゼンノロブロイにしても充実の4歳秋に比べると05年は勢いに翳りが見られた。こう考えてみると、一般的に最もサラブレッドが充実すると言われる4歳の時点で理想的なステップを踏んで欧州遠征するなんて日本競馬史上でもタイキシャトル以来なのではないかと思う(長期遠征したエルコンドルパサーなんかもいますが、それは置いておいて)
さて、枠なんかはまだ決まっていませんが出走予定馬の簡単な解説を(もう、言うまでもないかもしれませんがw)
1.ディープインパクト 牡4 父サンデーサイレンス母ウインドインハーヘア
まあ、今更戦跡などは言うまでもない日本近代競馬の結晶。過去凱旋門賞に挑戦した日本馬は6頭ですが、レベル的にも欧州に迫ったとも言える99年エルコンドルパサーの遠征以後の遠征過程から考察すると一番まともなローテを組んでいる(まあ、比較対象が比較対象なのでアレですが)。
この馬において一番の心配事であったのは出走頭数なわけだが、まさかの8頭立て(登録段階)と最早この馬には神風でも吹いているのではないかと思わせるくらいの勢いがある。残された懸案は宝塚記念以来の休み明けという点と当日の馬場状態か。ただ、休み明けという点はそこまで心配すべきことではないようにも感じる。キングジョージでハーツクライが敗れた際、橋口氏が敗因を〝①英国入りが遅かった②帯同馬の不在③アスコットの馬場にぶっつけ〟だったことを挙げているようにルメールとは異なり休みあけを敗因とはしていない。私も一年ぶりの休み明けならともかく、2~3ヶ月なら問題無いと考えているし、池江先生もそうと考えたから使わなかったのであろう(休み明けで凱旋門勝った馬は○○年遡らないと・・・みたいに言う人がいるが、そんなら日本馬まだ勝ったことないんだから・・・と)。そもそも、無理してフォワ賞使うくらいなら使わない方がよっぽどマシだった。
2.Hurricane Run 牡4 父Montjeu 母Hold On
キングジョージ後にも述べたが、レースでは本当にズブかった。その結果が最後の2ハロンにおけるスミヨンの鞭24発連打である。ただ、フォワ賞における勝負どころでの反応はそれほど悪くなく、ファロンが鞭を使わないでもShiroccoについていけたのは収穫ではないであろうか。頭数が少なくなったのも内で包まれる可能性がなくなっただけにプラス。泣き所は、キングジョージの疲労とファーブルが泣きをみせているようにペースが遅くなりそうなこと。
3.Shirocco 牡5 父Monsun 母So Sedulous
正直、昨年のBCターフを逃げ切った時はフロックに思っていました。ゴメンナサイ。馬場状態がSoftであったジョッキークラブSを楽勝したあたりは以前のShiroccoと変わり映えしない印象であったが、GoodであったコロネーションC、フォワ賞の連勝は正直驚きだった。懸案だった鞍上もスミヨンの騎乗が正式に決まったことにより、その地位をさらに強固なものにしている。
4.Pride 牝6 父Peintre Celebre 母Specificity
ディープインパクトファンは頭数が少なくなったことを嬉しく思っているかもしれないが、ディープファン総数の10分の1以下かもしれないがPrideのファンも心踊っている状態であろう。それくらい過去2年挑戦してきたこのレースでは詰まったり、仕掛けが遅れるなど不完全燃焼の連続だった。また、今回はローテが段違い。04年は7月サンクルー大賞→8月ジャンロマネ賞→9月ヴェルメイユ賞→凱旋門賞、05年は8月ジャンロマネ賞→9月フォワ賞→10月凱旋門賞。行きがけの駄賃的な選択であった過去2年とは異なり、今年は完璧にこのレースをターゲットにしている感がありあり。私だけかね?他のどの馬よりもPrideが怖いのは。。
5.Rail Link 牡3 父Dansili 母Docklands
「今年の3歳はたいしたことない」これが今年の凱旋門賞を語る上で欠かせないキーワードなのではないかと思う。Dylan Thomasが愛チャンピオンS、George WashingtonがクインエリザベスⅡ世Sに勝って少し覆されつつあることだが、凱旋門賞に出走する馬にしてみればその言葉は当てはめてもいいのではないかと。Rail Link自体は、ニエユ賞で破ったYoumzainが先週のオイロパ賞を勝っているように決して弱くはないものの、過去いたような凶悪なレベルの3歳馬ではないことは事実。来年か・・・。ロンシャン競馬場は得意としているためにマイナスにはならない。
6.Sixties Icon 牡3 父Galileo 母Love Divine
個人的には母親のLove Divineが好きだったのでこの馬に頑張ってもらいたいところ。英セントレジャーのレベルとかは無しの方向で(笑)フランキーを確保できたのは大きいだけにインにへばり付いて、直線グリーンベルトを主張できれば見せ場はあるかも。
7.8 Best Name&Irish Wells
まあ、この2頭はまとめてやっても大丈夫でしょう。2頭とも仏ダービーに出走しているわけだが、今年は正直言って仏ダービー組みは評価できない。Best Nameはペリエで出走する気満々なようだが、Irish Wellsは本当に出るのかね?2頭とも前走仏の重賞を勝っているわけだが荷が重い。キングジョージで言うならばEnforcerみたいに着狙いに徹しそう。
いつまでも北海道を放浪している場合ではないので…
クイーンエリザベスⅡ世S アスコット競馬場 1マイル
1 | Court Masterpiece | Polish Precedent | Easy Option | J.Spencer | E.Dunlop | ||
2 | Librettist | Danzig | Mysterial | L.Dettori | S bin Suroor | ||
3 | Proclamation | King's Best | Shamarra | K.McEvoy | S bin Suroor | ||
4 | Araafa | Mull of Kintyre | Resurgence | C.Soumillon | J.Noseda | ||
5 | George Washington | Danehill | Bordighera | M.Kinane | A.O'Brien | ||
6 | Ivan Denisovich | Danehill | Hollywood Wildcat | J.Heffernan | A.O'Brien | ||
7 | Killybegs | Orpen | Belsay | M.Hills | B.Hills | ||
8 | River Tiber | Danehill | Heavenly Whisper | D.McCabe | A.O'Brien | ||
9 | Nannina | Medicean | Hill Hopper | J.Fortune | J.Gosden |
マイル王決定戦らしく良いメンバーが揃った感。ジャックルマロワ・ムーランドロンシャンを持っていったLibrettist中心でいいんであろうが、ムーランドロンシャンが微妙に不満。どうも休み明けのIrridescenceが抑え目にいったことに助けられた感があるんだよな~。以前、兄のDubai Destinationともキャラが被ると述べたが、メンバーの質がほとんどジャックルマロワと変わらなかったムーランドロンシャン賞ではなく、今回が本当の意味での試金石。ただ、こういう離して勝たない馬はメイショウサムソンにしてもそうだが、「いつか負けるいつか負ける…」と思い続けがちなんだよね。また、同じゴドルフィンのProclamationもクイーンアンSの展開で負けたのには不満が残るも圏内ではないかと。
3歳世代のマイラーではほぼオールスターが揃ってきたのでここで負けたらもうグウの音も出ない。George Washingtonなんかはまだ巻き返しの要因もあるか。
ただ、まとめて負かす可能性があるならCourt Masterpiece。ここ勝っても日本への遠征を実行するつもりなのであろうか?
ロンシャンの重賞も気になるが、M.シューマッハが何やら引退の模様。私がF1から離れるきっかけを作ってくれた方ですが、その走りは素晴らしかった。個人的にはハッキネンと争った00年のイタリアGPが印象に残っているわけだが、最近全く見なくなった私が語るのもアレなのでこの話題は終了。。
最初は愛チャンピオンSの回顧みたいなものでも(結果はこちら)
感想としてはペースメーカー役をこなしたAceの先導が素晴らしい。英インターナショナルSでは馬場とペースに敗因が求められたDylan Thomasなわけだが、今回は望んでいた良馬場に加え、先述したようにAceが作り出した流れに最も上手く乗ったのがこの馬だったようにも思える。2着のOuija Boardとの差はOuijaが外を回った分にも思えるので、現段階ではDylan Thomasの実力はOuija Boardと大差ないということか。となると、凱旋門賞でオッズ上では3強を形成している馬たちと走るのは斤量の恩恵を加味しても少し厳しいかな・・・と思っていたら、レース後オブライエンからBCクラシックを目指すとの声明。毎年毎年この次期にでる季語みたいなもんだが、愛ダービーと愛チャンピオンSといった10ハロン、12ハロンのトップクラスのGⅠを勝利してしまうと種牡馬になったときの評価を上げるにはダート適正ということになってしまうのだろう。何にしても、オブライエンのチャレンジは結構面白いのでこれからも期待である。
Ouija Boardはオペラ賞に使うのかこのままBCフィリー&メアターフ直行なのか。ファンの視点から言えばオペラ賞でAlexandrovaと激突してほしいものだがね。Alexandrovaは距離的にどうなのかという思いもあるが、意外とこなすかも。
おまけ:A.オブライエンBC成績
00年Giant's Causeway 2着
01年Galileo 6着
02年Hawk Wing 7着
03年Hold that Tiger 5着
05年Oratorio 11着
今更ながらHawk Wingはもう少し頑張れるかと思ったんだが。言うまでもなくデインヒル産駒ではBCクラシック厳しいでしょう。
で、セントレジャーの回顧(結果はこちら)
結局Sixties Iconの楽勝と。これがセシルの管理馬だったら母親のLove Divine以来遠ざかっていたGⅠ勝利を息子がもたらした・・・みたいなお涙頂戴のお話になるわけだが世の中そんなに上手くはいかない。Sadler's Wells×Urban SeaのGalileoにさらに英オークス馬のLove Divineを配合するという重そうな配合なわけだが、今後どんなローテでいくのか。とりあえず、来年のゴールドCあたりを目標にするのかな。どうでもいいけれど、セシルの姿は今月発売の優駿に久しぶりに拝見できるので興味をお持ちの方は買って頂戴。
ついでにフォワ賞、ヴェルメイユ賞、ニエユ賞の結果なんかも(映像見ていないので結果から判断)
フォワ賞はShiroco→Hurricane Run→Prideの順番。前日に書いていたように結果云々よりもHurricane Runの反応やらに注目すべき調教レース。今回はShiroccoが勝ったが、3頭の着差も僅かですし、本番ではキングジョージ後に一度緩めて仕上げが難しかったであろうHurricane Runも良くなってくるでしょうな。Prideも予定通りの調教できたかな。
ヴェルメイユ賞はアスタルテ賞を勝って臨んだMandesha。2400は不向きの印象を持っていたがそんなことなかったみたいでつね。Montareなんかはまたも2着なわけだが、こういった馬は何かきっかけがあれば化けるんだがね。今のところどんなグレードのレースに出ても2着なだけに打つ手無しか。残された手段は北米移ry。
ニエユ賞は順当にRail Rink。スミヨンが3つ持っていったわけですね。写真で見て見るとYoumzineとの差も順当なもの。注目のDragon Dancerは4着。この馬も残されたては北米移ry・・・。
ちなみにロンシャン重賞の結果はこちらから
とりあえずロンシャン3重賞の検討でも
フォワ賞(芝2400m)
1 | Hurricane Run | Montjeu | Hold On | K.Fallon | A.Fabre | ||
2 | Near Honor | Highest Honor | Night Year | M.Sautjeau | A.Fabre | ||
3 | Shirocco | Monsun | So Sedulous | C.Soumillon | A.Fabre | ||
4 | Divine Story | Vettori | Divine Etoile | D.Bonilla | R.Gordon | ||
5 | Pride | Peintre Celebre | Specificity | C.Lemaire | A.de Royar-Dupre |
ニエユ賞(芝2400m)
1 | Youmzain | Sinndar | Sadima | R.Hughes | M.Channon | ||
2 | Rail Link | Dansili | Docklands | C.Soumillon | A.Fabre | ||
3 | Bremen | Sadler's Wells | Anka Germania | O.Peslier | A.Fabre | ||
4 | Sudan | Peintre Celebre | Sarabande | S.Pasquier | E.Lellouche | ||
5 | Papal Bull | Montjeu | Mialuna | K.Fallon | M.Stoute | ||
6 | Dragon Dancer | Sadler's Wells | Alakananda | D.Holland | G.Wragg |
こちらは仏の3歳代表決定戦。Dylan Thomasの凡走やSir Percyの回避などで押し出されるように期待を一身に受けることになったRail Linkなわけだが個人的にそこまで期待をかけるのはどうなのかなと。こいつもファーブル厩舎だけに日常Hurricane RunやShiroccoと比べられること常なのであろうが、本番ではスミヨンのShirocco騎乗が濃厚なだけに陣営も古馬のトップと勝ち負けクラスまでは・・・と考えている臭いが。気になるのはDragon Dancerが未勝利のまま本番に出て2着にでもならないかということか・・・。ところでYoumzainなんかは素直にセントレジャー行けばよかったのにと思ってしまう。まあ、そっちはこのままだとセシル最後のクラシック勝ち馬となってしまうLove Divineの仔であるSixties Iconに頑張ってほしいのだがね(セシル厩舎じゃないが)
ヴェルメイユ賞(2400m)
1 | Royal Highness | Monsun | Reem Dubai | T. Thulliez | P.Bary | ||
2 | Wurfscheibe | Tiger Hill | Wurfbahn | T. Mundry | P.Rau | ||
3 | Freedonia | Selkirk | Forest Rain | T. Gillet | J.Hammond | ||
4 | Montare | Montjeu | Contare | O.Peslier | J.Pease | ||
5 | Mandesha | Desert Style | Mandalara | C.Soumillon | A.de Royar-Dupre | ||
6 | Time On | Sadler's Wells | Time Away | R.Hughes | J.Dunlop | ||
7 | Alix Road | Linamix | Life On the Road | D.Boeuf | M.Bollack-Badel | ||
8 | Fermion | Sadler's Wells | Pieds de Plume | K.Fallon | A.P.O'Brien | ||
9 | Misterious Lina | Linamix | Mysterious Guest | S.Pasquier | P.Demercastel | ||
10 | Ponte Tresa | Sicyon | Ponte Brolla | C.Lemaire | Y.Nocolay | ||
11 | Mary Louhana | Loup Solitaire | Miss Daisy | S.Maillot | M.Delzangles |
Prideが回避したレース。中心となるのはアスタルテ賞を勝ったMandeshaでいいんであろうが2400の経験という点ではリステッドのみと他馬に長距離重賞で勝ち負けしている馬が揃ったここでは少し寂しいかも。個人的には休み明けの前走はMontareやらFreedioniaに後れを取ったが春はガネー賞で2着があるRoyal Highnessに少し期待。結構ここに焦点を合わせてきたと見れるメンバーが揃っているだけに次目標のPrideは回避してして正解かも
と書いていたらElectrocutionist急死のニュースが。情報が少ないのでまだなんともいえませんが死因は心臓麻痺の模様。今年はラインクラフトやらハートランドヒリュやら心臓麻痺が多い印象ですね。日本に来てハーツクライと出来るならもう一度走って欲しかっただけに残念・・・。
ソース
GODOLPHIN LOSE WORLD CUP HERO~Sporting Life
Electrocutionist dies following suspected heart attack~Racing Post
http://www.jra.go.jp/info/0609/20060907-gaisenmon.html
無事に凱旋門賞がNHKで生放送されることになりましたね。しかも総合とBSの2本立てというからこれまた驚き。総合テレビの映り具合が非常に悪い我が家のテレビからすればBSでやってくれるのは至れり尽くせりですわ。蛍○が出るのが気になるところだが、今年一杯の登板だと思われるので我慢することにしよう。。
しかし、凱旋門賞の生中継となると99年のエルコンドルパサー以来か。あの時はインターネッツも我が家には届いていなかったために、凱旋門賞の前のアベイドロンシャン賞に出ていたアグネスワールドの結果が分からずドキドキしていたのに、いきなり世界の合田がネタバレして当時中学生だった私を仰天させた記憶がある。あの時はBS1のみだったのに、今回は総合でもやるということはそれだけ視聴者からの要望が多かったということでしょうね。さすが、皆様のNHK。
Hurricane heads for Prix Foy~Sporting Life
Hurricane Run stays in France for Prix Foy~Racing Post(要登録)
どうやらHurricane Runの次走は愛チャンピオンSではなくフォワ賞に確定した模様。もともと、雨が降って馬場が柔らかくなった場合出走とのことでしたが、ファーブル調教師によるとアイルランドはあまり雨が降らなかった模様ですね。これで、同厩のShiroccoと早くもプレップレースで激突することになるのですが、このことについてもファーブル調教師は「気にしていないよ。プレップレースにすぎないからね」とどこ吹く風。凱旋門賞のアンティポスト1,2番人気の馬が前哨戦で激突するなんて滅多にないことですが、無理はしてこないでしょうから結果は参考程度でいいかも。
また、ヴェルメイユ賞出走が濃厚と思われていたPrideが何故かフォワ賞出走を匂わせている。A.ド.ロワイデュプレ調教師は「まだ決定はしていないけれどもフォワ賞に向かいたい。フォワ賞はプレップに過ぎず、Prideにとって目標ではないよ」と語っていますが、賞金・格で上のヴェルメイユ賞を捨ててこっちに来るということは・・・??少しでも疲労を抑えて凱旋門一本に絞ったという認識でいいのであろうか。
Hurricane Runがフォワ賞から愛チャンピオンSに進路を変更するかもしれないよって言う話。以前から、同厩のShiroccoとの兼ね合いでオーナーは違うっていっても本当に2頭ともフォワ賞に出るのか??と疑問に思っていたわけだが、やっぱり使い分けか。もう少し詳しい記事が載っているRacing Postでファーブル調教師は、「10ハロンという距離自体は、Hurricane Runのベストからすれば短いだけに、柔らかい馬場になってスタミナを問われるようになったら向かうかも」と述べているようにまだ確定ではないようですが、そっちの方に気持ちは向いているのかなと。。
ただ、そんな馬場状態になって出走したと仮定して、果たして中2週で迎える凱旋門賞をピークに持ってこれるのかなと?こうなると、凱旋門賞はShiroccoに任せてHurricane RunはBCターフに全力投球だ!みたいな話なのかしらと疑いもしてしまう。実際、ファーブルは「Ouija BoardやAlexander Goldrunと走る愛チャンピオンSは凱旋門賞へのプレップとしてはおそらく理想的なものよりも厳しいものになってしまうのでは?」との質問に対し「確かにそうだけれども、フォワ賞が凱旋門賞のプレップである一方で愛チャンピオンSはとても価値があり、高く評価されるレースだ」と述べているように、Hurricane Runに関しては心・凱旋門にあらずという状態なのかも。。Coolmore自体は馬場が硬くなればDylan Thomas、悪くなればHurricane Runという布陣なだけに文句はないかもしれんが、Hurricane Runがこっちに出るようなら凱旋門ではあまり怖くないかもしれない。
そういえばAlexander Goldrunは今春のタタソールズ金杯でHurricane Runに7馬身ちぎられているんだった(重馬場でしたが)。あの時と比べると調子は戻っていると思うけれど重馬場では厳しいか。Ouija Boardはスペンサー次第か。本当に騎手を固定してあげたいと思うこの頃・・・。
ついでといっては何だがムーラン賞の簡単な検討でも。。
基本的にはジャックルマロワ賞組が中心。Librettist、StormyRiver、Manduroなんかが出ているが普通にLibrettistでいいような気がするんだよな~。ペリエ→スミヨンとの乗り代わりでどこまでManduroが迫れるかなと。私的ながらスミヨンが勝つと余計な仕事が増えるので勘弁願いたい。。まあ、個人的に応援したいのはハモンド厩舎転厩緒戦のIrridescenceなわけだが。凱旋門にも登録があるので伝説のエリシオローテでもするのかと夢見てみる。それにしても日本の天才ジョッキーは何故にManduroではなくてSatriの方を選んだのだろう(残念ながら回避ですが)。理由を聞きたいものである。