引っ越し

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ーブルース・リー「怒りの鉄拳」からー

2010-03-04 14:39:04 | インポート

                            映画の字幕について

 ーブルース・リー「怒りの鉄拳」からー
 字幕には、誤訳が少なからずある。しかし、これも文化・習慣が違うため故意になされたもの、つまり、外国語版制作者の意図・テレビ放映側の意図が入っていたりする場合も考えられるので、一概に「誤訳」と片づけられるものか、即断を躊躇するものではある。
 ここでは、ブルース・リー「怒りの鉄拳」最後に流れる歌について、考察というより、触れてみたい。パイオニアのDVDPIBF-91136の作品の北京語バージョンのもの。

 歌は、以下の通り。
【原歌】
大英雄報師仇救同門
生和死都在那一念間
阿、卻難捨兒女情
今日一去在天堂再相見

【日本語字幕】
英雄は師匠の仇を討ち
仲間のために命を捧げ
生と死の狭間を突き進んでゆく
愛する人をこの世に残して
英雄は死をも恐れず天に召された

【英語字幕】
Who says the days of chivalry are no more
Who says sellf-sacrifice is out-dated?
Here stands a true hero
Caring little about what lies ahaed

【私の訳】
大英雄は師匠の仇を討ち同門を救った
生死は、すべて彼の一存にある
あー、捨てがたい男女間の情愛をしりぞけた、
今日、死んで天国で再会することになった

 翻訳者も意味深長な歌をどう訳するか迷って、上のようなカラッとした訳にしたのだろうが、やや納得できない(映像を主とするために、字幕の字数の制限もあり「意訳」の可能性もある)。英語字幕の方も、原歌と同様に韻を踏んでいるけど、翻訳になっていない。字幕ってこんなものかな。
 原歌は、中国人が聞いて分かるものではなく、文字を見て意味内容がやっと理解できるレベルの歌と思われる(日本人が百人一首の歌を聞く以上の難解さがある)。
 テレサ・テンやサントリーのCMの中国語の歌と比べ、古語[=文言]を使用しているので、私はそう判断したい。ここらが、中国の歌のやっかいなところ。
 一応、訓読文も以下に作ってみた。
【訓読】
 大英雄は、師の仇を報い同門を救ひたり
 生と死は、都(すべ)て那(か)の一念の間に在れり
 阿(ああ)、捨て難き兒女の情[=男女間の情愛]を卻(しりぞ)け
 今日、一たび去き天堂[=天国]に在りて再び相ひ見(まみ)えたり

Dragon_fig1_2

【あとがき】
 ブルース・リーの人気は、まだ衰えていないようです。また、誤訳を指摘するのも、私だけでないようです。

 「怒りの鉄拳」は、中学の時に見たものですが、カタルシスどころか、何か心にわだかまりをのこした作品でした。日本人が、中国人に憎まれていたという場面設定で、悪辣な日本人が主人公である「陳真」(リー主演)にやられ、最後に「陳真」が自らの命で償うというストーリーは、(中学時の、詳しい歴史事実が未消化のため)当時の私には理解を超えたものでした。

 上の「夫病亞東」は、どういう意味か当時は分かるよしもなかった。もともと漢字は、右から左に書いていただけのこと。つまり、「東亞病夫」とは、「東アジア(日本・中国・朝鮮)の病人」という意味で、「病夫」は嘲りを含んだ言葉。
 しかし、「陳真」だけ、なぜ白の背広なのだろう、泥で汚れたなら、喪服を誰かに借りれば、……など、疑問がまだのこる作品です。


三教偶拈のテキストについて

2010-03-04 13:39:59 | 学問

                        三教偶拈のテキストについて

2004年3月のコラムより移動。
 2002年十一月に?海出版社から『馮夢龍文學全集』が、発刊された。三教偶拈の標点本としては、はじめてのものである。魏同賢等主編、李景光・羅玉琛ら校点となっている。最近、中国の書物は、直ぐに品切れ・絶版になるので、全巻を購入した。それで、気づいたことを記しておきたい。

 簡体字版なので、「出醜」が 「出丑」(八巻p78)となっていて、かえって意味がとりにくいのは、仕方ないが、底本で「繇來」とあって、皇帝の名(朱由校)の一部「由」を避けて「繇」としているのに、標点本では何の注記もなく「由来」(同p23)と刻していた。底本で「喒們」とあって、故意に「我們」(同p78)と刻すのは底本を改変しているのと同義である。他、底本の誤字そのままを刻しているのでは、「校点」とはほど遠い代物であった。

 ただ、底本にある会話文がどこまで続くのか、訓読文調の句読点の区切り方と本場での区切り方が異なっていて、いろいろ参考になった。

【以下、亜東書店のページより抜粋】
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http://www.ato-shoten.co.jp/

  10106658 馮夢龍文学全集 全24冊  馮夢龍著/魏同賢,王汝梅等主編
■28,800円(税別)
遼海出版社/ A5/11873頁 /ISBN7-80669-153-8/2003.01
●馮梦龍の経学、史学、雑著、その他小説・戯曲・故事・笑話・民歌・散曲・方志・詩文等の文学作品を収録し、散見する詩文は1つにまとめている。魏同賢主編《馮梦龍全集》の影印本(上海古籍出版社)の関連著作を底本とし、標点・校訂を加え、簡体字化した。附:年譜、著述書目。