ヒイロに「変化」の兆しあり。
◆マスメディア
父の死の真相についてマスコミから質問攻めを受けるリリーナ。
マスコミの存在もきっちり描写されている点が良かった。
◆リリーナ暗殺
ドーリアン外務次官暗殺の真相を知っているリリーナを暗殺する事を目論むトレーズ。
涼しげな顔をしておきながらやる事はえぐいですね。
完全犯罪を実現したいようで。
◆学園祭
ガンダムシリーズには珍しく学園ものの要素も取り入れているこのシリーズ。
しかし、ヒイロはまだリリーナのいる学園に籍を置いている事になっている模様。
そのため、学園の機密情報管理サーバにアクセスして自分のデータを抹消しています。
トレーズ同様に完壁主義ですね。
◆エキセントリックなリリーナ
折角の学園祭ですもの
楽しんでいって
せめてダンスが終わるまで
物凄い度胸ですね。
ヒイロに銃を突きつけられても全く物怖じしないその態度。
彼女もヒイロと同様、怖いもの知らず。
しかも、スカートの両裾を持って何事も無かったかのように会釈をするという超余裕ぶり。
エキセントリック度ではヒイロと互角の勝負を繰り広げています(笑)。
◆トロワとキャサリン
この二人、良いね!
エキセントリックキャラの巣窟であるガンダムWの中において心優しいトロワとまともな一般人キャサリン。
このコンビは殺伐とした作品の中では「癒し」になっていますね。
しかし、今回のキャサリンのナイフ投げはちょっとドキドキしながら見ていました。
と言うのも、トロワが死ぬ事を全く恐れていないから。
殺したいなら殺してみろ、と言わんばかりに何一つ動じていませんからね。
トロワもヒイロ同様に自分が死ぬ事を何とも思っていないのでしょう。
◆エキセントリックなレディ・アン
そう気負うな
レディ・・・
独り言を呟くレディ・アンですが、あまりにもエキセントリックすぎてついていけません(汗)。
多分、彼女は自分の中で「軍人としての自分」と「素の自分」を使い分けているんでしょうね。
そして、現状、「軍人としての自分」が表に出すぎているので諌めるためにこのような独り言を呟いたのではないかと思う次第です。
ってか、リリーナ暗殺が目的とは言え、学園祭会場を壊滅させようとするなど、やり過ぎ(と言うか、狂っている)としか思えないし戦術としても明らかに不適切。
大体、そんな大事(民間人虐殺事件)が起きたら、逆に波紋が広がるばかりで証拠隠滅なんてできないんじゃないのか。
私の解釈の仕方がまずいのかもしれませんが、リリーナを暗殺するだけなのに、なぜわざわざ派手な戦闘を仕掛けるのかがサッパリ理解できません。
今回は、リリーナのみを暗殺する事が目的なのだから、隠密に暗殺するのが一番だと思うのですが。
手段と目的があまりにも乖離している。
目的のためには手段を選ばないというのがOZのやり方なのでしょうけどね。
一見、紳士に見えるトレーズも残虐非道な部分を持ち合わせており、エキセントリック度ではテロリストの少年達と肩を並べるくらいのものかと。
◆動揺するヒイロ
何をしてるんだ 俺は?
こいつは死んでくれた方が良いはずなのに
殺すべき対象であるリリーナを助けてしまった己の矛盾した行為に動揺するヒイロ。
なぜ・・・
なぜ・・・
なぜなんだぁぁぁ!!
自分自身でも己の行為を理解できずに絶叫。
現段階では、彼は自身の無意識の「変化」を意識的には受け入れられていないのでしょう。
よって、彼が自分の「変化」を意識的に認められる時こそ、彼が真の意味で成長したという事になるかと思う次第です。
◆ピースクラフト家
リリーナを助けたのは彼に対するささやかな感謝の気持ちだよ
リリーナがゼクスの肉親だという真相を知りリリーナ暗殺計画を中止したトレーズ(ノインから真相を聞いたのか?)。
しかし、ノインもゼクスとリリーナの関係を知っているという事はピースクラフト家と何らかの関わりがあるのかもしれませんね。
◆ヒイロの変化に見る製作者側の意図
ここまで見てきて感じた事は、この作品においては、一部キャラを除いて大半の人間が常人には理解できないエキセントリックな感性を持っているという事。
しかし、このエキセントリックさをミスリードにして、最終的に視聴者の感性と彼らの感性をシンクロさせる事が狙いなのではないかと妄想してもいます。
と言うのも、人殺しはおろか自分の命を捨てる事すら何の未練も無かったヒイロが、今回の話ではリリーナを助けるなどというあり得ない事をやってしまっているからです。
確実に彼は当初の彼と比べて「変化」しています。
そして、彼を「変化」させているのは、他でもないリリーナなんですよね。
今後も、リリーナとの接触によってヒイロの「変化」の過程が見られる事になるんだろうな、きっと。
しかし、難点を一つ挙げるならば、前回の話でもそうだったが、各キャラクターの目的を達成するための「手段」の描き方がやや稚拙な印象を受けてしまう。
テロ行為がコロニー全体の意志などという声明発表を行ったり、リリーナ暗殺には隠密行動を必要とするはずなのに学園祭会場ごと壊滅させるド派手な戦法を選んだり、と。
細かい部分を見るとやや粗の多い作品だという印象を受けます。
中学生の頃に視聴した時は全く気にならなかった(と言うか、そもそもそんな細かいところまで目がいかなかった)のですが、この年齢になって見返すとそういう粗(手段と目的の乖離)の部分に目がいってしまいますね。
この粗を上回る強いテーマ性を表現してくれる事を願う次第です。
以上。