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職場学習論―仕事の学びを科学する

2012年07月15日 | 職業経験

職場学習論―仕事の学びを科学する 職場学習論―仕事の学びを科学する

 

 

 

 

仕事場での学びについて、他者とどう関わっているのかを明らかにしようとする著者の研究内容がまとめられている本。
事例で語られている、パナソニックの技術伝承ワークショップの「語らないともったいないワークショップ」というネーミングがいい。思わずベテランが語りたくなるフレーズです。

著者らの最近の著書「職場学習の探究 企業人の成長を考える実証研究」も読了しました!
http://blog.goo.ne.jp/aki-nagi-kae/e/4102b6c36d067d960b5def1bd2da7e31

以下、抜粋■
〇企業人材育成での最近のキーフレーズ
「経験のデザイン」「省察」「内省」「リフレクション」

〇「他者」の定義
仕事を達成する上で関与のある人

〇「学習」の定義
経験により比較的永続的な行動変化がもたらされること

〇「支援」の定義
何らかの意図をもった他者の行為に対する働きかけであり、その意図を理解しつつ、行為の質を維持・改善する一連のアクションのことをいい、最終的な他者のエンパワーメントをはかること

〇「職場」の定義
責任・目標・方針を共有し、仕事を達成する上で実質的な相互作用を行っている部・課・支店などの集団

〇リソースベースドビュー
製品やサービスといった「見えるもの」より「見えないもの」を対象化する

〇組織社会化
個人が組織の役割を想定するのに必要な社会的知識や技術を習得し組織の成員となっていくプロセス

〇組織社会化をうながす契機
1)訓練 2)経験 3)人の3次元

〇組織への参入する個人が学ぶこと
1)業務に必要とされる知識・能力
2)ワークグループの価値観や人間関係
3)組織の目標
4)メンバーとしての責任・役割

〇メンタリングプロセス
1)開始段階 2)養成段階 3)分離段階 4)再定義段階

〇経験学習
1)実践:学習者が現場の業務において様々な状況・局面に直面すること
2)経験:今まさに眼面にあるHardshipに対応することで、後から省察する対象となるエピソディックでドラマティックな経験を積むこと
3)省察:いったん現場を離れ、自らの経験の意味を振り返ること
4)概念化:複数のHardshipを処理する中で得た経験の意味を重ね合わせ、仕事の持論を自ら構築すること

〇職場学習研究
人間の認知・学習が、仕事のやり方や構造、仕事場における人的リソースに埋め込まれていることを強調し、その解明にあたる研究
職場において、人が、仕事に従事し経験を深める中で、他者、人工物との相互作用によって生起する学習

〇最近接発達領域
個人が独力で達成できる水準と、他者の支援があれば達成可能な水準との差を指示する概念、詳しくはこちら。
http://blog.goo.ne.jp/aki-nagi-kae/e/8148651c09b524f12607305a34af7a42

〇認知的徒弟制
1)モデリング 2)コーチング 3)スキャフォルディング 4)フェイディング

〇職場の他者から受けている支援
「業務支援」「内省支援」「精神支援」

〇職場における精神的な安息
非公式の「オチ」の決まった会話がルーチン化し、職場の人々によって、「自然」と捉われていること

〇上司、部下のコミュニケーション
1)特定業務の指示 2)仕事を理解させるための情報 3)仕事の手続きに関する情報 4)仕事達成度のフィードバック 5)組織目的を教える情報

〇個人の学習や組織学習に影響を与えるもの
・オープンコミュニケーション
 :お互いの意見を頻繁に公開している
 :意見の違いがあるとオープンに話し合える
 :オープンにコミュニケーションしている
 :誰にでも自分の意見をいえるチャンスがある
・学習資源
 :学習するための時間が与えられている
 :学習するために資金や他の資源を使うことができる
・互酬性規範
 :困った時にお互いが助けあっている
 :他者を助ければ、今度は自分が困っているときに誰かが助けてくれるように自分の職場はできている
 :他者をたすければ、いずれその人から助けてもらえる
 :人から親切にしてもらった場合、自分も職場の他の人に親切にしようという気持ちになる

〇業務経験談
成功経験も、失敗経験も語る
「共同化」「表出化」「結合化」「内面化」という暗黙知ー形式知化変換のプロセスが個人の能力を高め、集団・組織が知識創造を行う
 →(男性マネージャーの語りから)成功事例は部下に堂々と語ってもらいたい。失敗事例は自ら語ることでその場の雰囲気をつくる

〇パナソニックの技術伝承ワークショップの「語らないともったいないワークショップ」
ベテランが成功事例・失敗事例を提供し、素材として提供。経験を語るだけではなく、そこから学んだ教訓を論じる
失敗体験と教訓を分けて語ることができるように、ワークシートにあらかじめ書いてもらって整理してきてもらった。
論じてもらった後はディスカッション。ベテランの語りから共有すべきことを考える

 



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