AZURE
花曇りの空を見上げて歩く
街道を北に多摩川上水をずんずん歩いていく
いつもの散歩道
緑の林の 小高い丘の上
ひと休みして 空を見る
やっぱり これは、花曇りというのだろう。
街の景色は 薄らぼんやりしてくる
吹き上げる風のせいか
その景色は 小刻みに震えて見える
どこからか 哀しい声が聞こえてくる
AZURE AZURE
花のような 草のような 土のような香りとともに
私を呼ぶ声がする
どこから聞こえてくるのだろう。
ぼんやり眠気を誘う ふわんとした足首の重さ
誰か呼んでいる どこからか
重なる景色 重なる時間
東に月を見て 一番星を見上げた
肩を合わせて感じた かすかな鼓動
何も話さない 何も話せない
やがて空が群青色に染まり
息は白くなる
遠くにサイレンの音も 駅のホームの電子音も
聴こえるようで はっきりわからない
足の先がキーンとしても動かない
じっとしていないと 影が壊れるから
冴え冴えと光る月が 透き通って見える
どうやってここにもどってきたのか
もう覚えていない
手が冷たい 頬も冷たい
空は やっぱり花曇り
AZURE AZURE
春の香の雪のような声は
確かに 私を呼んでいる
明日は 青空になる
青空は 果てがない みんな吸い上げて
青い雫ににた 涙という涙も
春の空気に溶けていく
澄みきった青空は 宇宙の笑顔
だから私も 笑うんだ
AZURE!
2008.3.7 愛依