~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

胸さわぐなりけり

2009年04月09日 | 創作
    花吹雪

満開の桜のあとは、風が吹く
この風に、桜の花びらが舞い吹雪く
花の舞台の千秋楽が近づいている

さらさらとひらひらと蝶のようにも
風の衝突のせいで、巨大な見えない風船のようにも
白雪のごとく降りしきるようにもなって
私の目の前で、驚かせるように舞っている

花吹雪は、花の命の小さな結晶が群舞して
時が過ぎていくこと
時は決して止まらないこと
時はただ流れていかないのと
私の目の前で、渦巻きながら舞っている

とてつもなく大きくて、見上げる桜が
ざわざわいいだした
きらきら優しく微笑んでいた桜が
ひそひそ話をしながら、風に乗ってどんどん去っていく

花吹雪に埋もれるよう佇む
春の魔物が胸を刺す
花吹雪が
桜の木から、涙の雫のように舞い落ちる

          (2009.4.8 Yae)





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