今日は、ゆっくり読書してました。
詩集をたくさん。
その中からひとつ。
「月夜の浜辺」 中原中也
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂にいれた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向かってそれは抛れず
浪に向かってそれは抛れず
僕はそれを、袂にいれた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
とても有名な詩ですが、私にとってはこの詩と巡り会えたのは20年ぶりくらいです。忘れていたといってもいいくらいです。
でも、今日はなぜだかこの詩が心に残りました。
たったひとりで、月夜の浜辺を歩いたことがあります。何回か。
貝殻は拾ったことがあります。無数にあったから。きれいな貝殻をポケットに入れてその旅の思い出にしました。
でも、このたったひとつのボタンっていうのは、また、切ないですね。
自然とか神秘ではなくて、人に巡り会うような偶然です。
浜辺を歩いていた人か、海の向こうからやってきたのか。
どこからともなくここにやってきたものを、薄い月明かりでこのボタンを拾ったら、私は何を思うだろうと考えました。
独りの時間を求めてここへやってきたが、やっぱり、誰かに側にいてほしい。
優しいことばがほしい。人恋しい・・・かな。
11月は私は「人恋月」とよんでいます。
師走の前に、ふと、少しだけゆっくり今まで出会った人のことを思ったりする時間があります。大好きだったあの人に会いたいな。とか今はもういない大切なひとにもう一度会いたいななんて思ったりします。
詩を読むとは、心と心が一瞬触れ合う出来事のようですね。
11月の語りの会はそんな気持ちの宿る物語
安房直子さんの『きつねの窓』語ります。
みなさんのもう一度会いたい人は誰ですか?
詩集をたくさん。
その中からひとつ。
「月夜の浜辺」 中原中也
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
なぜだかそれを捨てるに忍びず
僕はそれを、袂にいれた。
月夜の晩に、ボタンが一つ
波打ち際に、落ちていた。
それを拾って、役立てようと
僕は思ったわけでもないが
月に向かってそれは抛れず
浪に向かってそれは抛れず
僕はそれを、袂にいれた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
指先に沁み、心に沁みた。
月夜の晩に、拾ったボタンは
どうしてそれが、捨てられようか?
とても有名な詩ですが、私にとってはこの詩と巡り会えたのは20年ぶりくらいです。忘れていたといってもいいくらいです。
でも、今日はなぜだかこの詩が心に残りました。
たったひとりで、月夜の浜辺を歩いたことがあります。何回か。
貝殻は拾ったことがあります。無数にあったから。きれいな貝殻をポケットに入れてその旅の思い出にしました。
でも、このたったひとつのボタンっていうのは、また、切ないですね。
自然とか神秘ではなくて、人に巡り会うような偶然です。
浜辺を歩いていた人か、海の向こうからやってきたのか。
どこからともなくここにやってきたものを、薄い月明かりでこのボタンを拾ったら、私は何を思うだろうと考えました。
独りの時間を求めてここへやってきたが、やっぱり、誰かに側にいてほしい。
優しいことばがほしい。人恋しい・・・かな。
11月は私は「人恋月」とよんでいます。
師走の前に、ふと、少しだけゆっくり今まで出会った人のことを思ったりする時間があります。大好きだったあの人に会いたいな。とか今はもういない大切なひとにもう一度会いたいななんて思ったりします。
詩を読むとは、心と心が一瞬触れ合う出来事のようですね。
11月の語りの会はそんな気持ちの宿る物語
安房直子さんの『きつねの窓』語ります。
みなさんのもう一度会いたい人は誰ですか?
実は今までの中で一番気に入っている作品です。
こういうやさしくも悲しい話、しかも幻想的なもの、が好きです。だから僕は芥川や川端が好きなんです。
川端の「掌の小説」の中にもこういう話がありますね。
僕の一番会いたい人・・・いますが、もう遠い、手の届かないところにいます。
ゆっくり思い出してください。心を込めて語ります。
愛依