~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

絵本・素語り・わらべうた
ストーリーテラーやえはたのりこ(やえちゃん)の徒然便り

文学サロン火曜の会 vol.8

2010年09月29日 | おはなし会・語りの会
第4火曜日は火曜の会です。
夏休みが入って、久しぶりに皆さんと語らうひと時です

最初に一服。
女子会ならではの近況報告会。

一口まんじゅう。白は、みそあん美味

暑い夏、お変わりなく元気に過ごされ、私の伝授した??美容体操も日課に入れてくださったお話も聞けまして嬉しい限り


今月の語りは、太宰治作『お伽草紙』より「浦島さん」。

以前、『お伽草紙』から「カチカチ山」を語りましたので、第2弾です。

この『浦島さん』。伝説として、昔話として、とても有名なおはなしです。
聞き覚えのある方も多いでしょう。
♪「むかしむかし 浦島は助けた亀につれられて~」と歌にもなっています。

乙姫のいる竜宮城へ行き、もてなされ楽しく日を過ごすが、故郷が恋しくなり、故郷の浜に帰る。
渡されたお土産は、玉手箱。
「開けてはいけない」と言われた玉手箱。
開けたところが・・白い煙が立ち上り、浦島太郎はたちまち白髪のおじいさんに。

この民話をもとにした、太宰仕立ての「浦島さん」。
浦島さんもたじたじの、亀の毒舌。
亀との風流論は人間洞察に面白い。
批評のない反現代的な世界、乙姫のいる海底の世界、竜宮城は、うっとりするほど幻想的に描かれています。

私も然りですが、中年期にこうして読み返すと、納得して、面白く読めます。
最初の浦島さんのため息などは、わかるなぁと、思わず一緒にため息がでるところです。
いつの世も、湧いて出てくる批評家はつきものですが、
それぞれ流儀があっても、尊敬し合わず、批評ばかり。
浦島さんも憂い、
「~なんのかのと人は言う。うるさいものだ」ため息・・・。

竜宮城の世界は、私もうっとりです。
忙しい時を忘れさせて癒してくれるようなおっとりとした美しさがある文章です。
私も、海の桜桃の花びらを口に含んで、幻想に酔いしれていたいような美しい世界。


とにかくも、この作品が書かれたのは、日本が敗戦へ向かう異常な状況下。
太宰の、この頃の作品は、なんて元気があって、美しいのでしょう


会の皆さんとは、玉手箱論議に花が咲きました!
最後は、太宰のことばを借りて
  
  年月は、人間の救いである。
  忘却は、人間の救いである。

日本のお伽噺は慈悲深い。
声に出すと、またさらにそう思うのです。



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