今年最後の火曜の会は、樋口一葉『にごりえ』で締めくくりました。
時間は、合間に補足を入れながら、1時間半ほどでした。
樋口一葉。
『たけくらべ』『にごりえ』『大つごもり』など名作を残し、24歳で逝ってしまった明治の女流文学第一人者です。
あの、まっすぐ前を、しかっと見据える目が印象的なお顔は、皆さんもよくご存知でしょう。
私は、今になって、よく一葉を読んでいます。
それは、私自身が抱えている問題意識を浮き彫りにし、考えさせてくれる時間を与えてくれる作家であり、作品だからです。
この『にごりえ』は、冒頭は粋な感じで、実にかっこいいのですが、それ以後は、とても語り難いものでもあります。
地の文と会話の文が一緒になっているばかりでなく、全体が落語のように会話の掛け合いで繋でいるので、しっかりしていないと、登場人物が曖昧になって見失ってしまいそうになります。
それでも、昔の音のリズムは、流れるように活き活きとしていて、八つの場面も舞台がしっかり分けられて描かれているので、人物の置かれている状況は時の経過も合わせて分りやすいものです。
さて、あとは、「菊の井」のお力の一生を、生身の女性の心の奥から滲み出てくるような、もどかしい想いをどう語っていくのかということです。
今回は、お力の表面的な悲劇だけではない、心の内の叫び、怒りにも似た感情や、どこか、実の姿を生きていない、お力の真の訴えを秘めて語りたいと念じながら語りすすめました。
会のメンバーの皆さんの感想は様々でしたが、お力に入れ込み落ちぶれた源七とお力の関係はどのような真であったかの話で盛り上がりました。
「なんだか、カルメンみたいね」の一言に、カルメンの最後とお力の最後を重ね合わせ、大いに沸きました
話が弾む中に、いつも思うのは、文学には答えがないところがいいですね。
日常にあっては話もしない文学論を、ああだこうだと夢中で話ができるおもしろい時。
これは、不思議な時間です。
明治の若い女性の文学が、ここで、見事に咲いています
今日は一葉花が。
咲いた花は、今日のお菓子と一緒にお持ち帰りです
文学を愛する時間は自分の記憶を辿る時間のようにも感じます。
今もなお、輝ける命を持ち続けている作品を語る時、私もその命を大事に生きようと思います。
さて、火曜の会へ、お問い合わせをいただいた皆様に、
火曜の会から、嬉しいニュースがあります
新年から、新たに形を変えて、自由参加していただける会になります。
詳細は、後日、お知らせします。
小説・随筆などの文芸作品に絞り、広く語る会になります。(日本文学・外国文学)
作家のお話や、時代背景も交えたリポート付です。
単発でも連続でも、どうぞ、お気軽にご参加ください
お問い合わせも、メールで(左記参照)どんどんどうぞ
そして会は、気分も新たに、週を変更し、毎月第4火曜日になります
次回は、1月26日(火)です。
文学を一緒に楽しみましょう