緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
本や映画などの勝手な独り言を書き留めています

八丈旅日記 その3

2014年01月12日 | 
1月5日の朝、老人力を発揮して、早起きしたおかげで「3文の徳」以上の日の出を眺めることができました。
日の出や日の入りを海辺で見るのは大好きです。

以前、ハワイ島に旅行した時に、ちょうどサンセットの時間に合わせ、海辺のレストラン(ホテル内の)の予約をして楽しみに待っていました。広いホテルで、館内の移動も電車みたいな乗り物を使ってレストランに行かなければなりません。






私はきちんと間に合うように席に着いていたのに、ラムパパと息子はなかなか来ません。なにかの用事を済ませていて、そのぐるぐる回っている電車に乗り遅れたのです。
夢のような美しい夕日でした。風は心地よく、ハワイ独特の甘酸っぱい香りがして、どうしてラムパパたちは来ないの?と気はもめましたが、暗くなり、松明に火がともるまでの数十分間を私だけ楽しませてもらいました。
まったく夕日には縁のない男二人です。



娘はその時はテキサスに長期留学していて、ハワイ旅行をすると聞いて「何故私のいないときに行くの?」とプンプンでした。テキサスから飛んできたかったようですが、テキサスからは遠いぜ、ハワイは。
今だに恨みがましく、「あの時は本当にひどかった。いつかちゃんと連れて行ってよ」と言っていますが、もう自分で稼いでいる娘を、我々老夫婦が連れて行くことはあり得ませんよね。ラム姉、「ママをハワイに連れてって」。

さて八丈島のホテルの朝食バイキングをゆっくり楽しみ、今日の予定を相談しました。私の悪い癖で、行った先でここぞと思う場所があるとどうしてもすべてを制覇したくなるのです。子どもたちは淡白で、気に入ったところに行ければ、それでよし、あとは有名な名所があっても別に行かなくても平気です。いつも欲張りすぎると怒られています。

私があと行きたいところは、八丈植物公園でキョンを見る、ふるさと村を訪ねる、黄八丈の織元を見学する、うらみが滝と黒砂砂丘に行くというメニューです。飛行機は夕方の便ですし、地理的には同じ方角にあるので行くことは可能です。子どもたちのいささか冷ややかな視線を感じながら、出発です。

まずは八丈植物公園のビジターセンターを訪ね、10時半からの無料のガイド付き案内に参加しました。土日祝日しか行われていない案内ですが、これはお勧めです、タダだし内容が濃いしガイドさんは若くて親切です。ガジュマルの樹もあります。沖縄みたいです。



八丈ではアカコッコという鳥が有名で、今日は見られるかもしれないということでガイドさんから一人ずつに双眼鏡を渡され、野鳥観察です。これがなかなか難しい。ほら、あそこ!と教えてくれるのですが、なかなか野鳥を追いかけられません。アカコッコは結局見られませんでしたが、メジロや山茶花の花の蜜を吸いくちばしや頭のふさふさを黄色く染めたヒヨドリなどを見られました。いろいろな植物や鳥の習性、落ちている種や実、小さなハゼの花などを説明してもらい、そしてもちろんキョンにも会えて満足、満足です。





八丈島には生息していない大鷲も羽を痛めて保護されていました。羽を広げると迫力満点だそうですが、その勇姿は見られませんでした。



ビジターセンターのスタッフの方に、おいしいお蕎麦屋さんを教えてもらい、お昼を食べに行きました。明日葉そばを食べました。つるつるしてとてもおいしかったです。うどんを食べた娘から味見をさせてもらったら、うどんもコシがあり、こちらもおすすめです。明日葉の独特の苦みみたいなものはなく、食べやすかったです。薄緑のきれいなおそばでした。



明日葉はどこのお宅でも植えているようで、よく見かけました。
空港のお土産売り場でも明日葉そばを売っていました。お土産に買いました。



ビジターセンターのあとは、黄八丈の織元を見学し、その近くのふるさと村に寄ってみました。八丈島の昔の暮らしぶりがわかる施設です。



見学料も無料で、囲炉裏端で島のおばちゃんがいろいろ話してくれました。明日葉のど飴とお茶をごちそうになり、囲炉裏の火にあたりほっこりしてきました。ラムパパと息子は八丈太鼓を叩かせてもらっていました。なんだかそれらしく聞こえます。

1月の八丈には、やたらとツワブキが多く、道のそこここで黄色い花をさかんに咲かせています。



我が家の栄養失調のツワブキがかわいそうになりました。

おばちゃんにこの後、うらみが滝と黒砂砂丘に行くつもりだと話すと、もうひとつはっきりしない反応・・・ あまり積極的に勧めてきません。

きらめきの湯という足湯がいいよと勧められました。そこにはもう行ったと話すと、「うーん、うらみが滝に今は水があるかね」ともう一人のおばちゃんと話しています。滝でしょ? 水があるか? 冬は水が枯れてしまうのでしょうか? 行く途中の足場などを聞くと、貴方たちのような足が悪くない人なら大丈夫とのこと。

「でも黒砂砂丘はね・・・」 うーん、どういう意味? 古くからの島言葉で話してくれるおばちゃんはとても親切なのですが、どうも黒砂砂丘はあまりお勧めではないようです。
車である程度近くまで行けるが、うちの嫁がまだ先まで車で行けると思い、どんどん奥まで運転していったら轍にはまり、レッカーを呼ぶ羽目になったと教えてくれました。何しろ1ケ所だけ車が止められるところがあるからそこに車を止め、あとは必ず歩いて行け、まだ先まで車で行けるような道が続くが、けっしてそれ以上車で上がるなとのこと。また登り道が続くから、コートは脱いで行った方がいいなどとても親身になって教えてくれました。

おばちゃんにお礼を言い、出発しようとすると後から呼び止められて、残っていた明日葉のど飴を持たせてくれました。親切なおばちゃん、ありがとう。お茶もおいしかったよ。囲炉裏の煙も久しぶりで懐かしかった。

うらみが滝は表示もきちんと出ていて、他にも観光客がいて、少し安心しました。うらみが滝という名前からなんだかおどろおどろしい印象を持ちますが、漢字では裏見ケ滝と書き、滝の裏に回れて裏側から滝を見られるということだそうです。



滝へ降りて行く道は少し足場は悪いですが、きちんと整備されていて、先を歩く人たちの声も聞こえ、30分くらいで回れそうです。でもなかなか水の流れる音は聞こえてきません。



いよいよ滝だと思って、よく見るとおばちゃんの心配がわかりました。細々とした水のしずくが垂れている感じの滝で裏側に回っても、迫力がありません。やはり冬は渇水期なのでしょうか。「これなら舞浜のホテルの滝のほうが迫力ある」と娘は無粋なことを言っています。何事も経験、経験、水量が豊富な時期を想像しながら帰ってきました。



さて次は黒砂砂丘です。こちらは道路に小さな看板が出ているだけで丁寧な表示などはありません。くねくねした田舎道を迷いながら車で進み、やっとこの方角だろうという道に入れました。おばちゃんが言っていた車が止められる場所ってどこだろうとおそるおそる車を進めると、ちょっと道路が広くなっている場所があり、ここかなと車を止めました。ほかには誰も観光客はいません。通る人もいません。すこしどきどきしながら、車から降り、おばちゃんのアドバイス通りコートは脱ぎ、登り道を進みました。しばらく行くと右手に広くなっている草原があり、あーここがおばちゃんが言っていた車をとめられるところだと気づきました。私たちはだいぶ手前で歩き出してしまったようです。



でも、この道を進めばいいのだと思い、どんどん登って行きました。コートを脱いで正解でした。砂地の登り道なので結構踏んばらないと歩けません。時間にしてどれくらい登ったか、やっと海が見えてきました。先にはその海に落ち込む断崖絶壁が、その手前には黒い砂地が広がります。



かつてはその断崖の縁まで行けて、下を覗くこともできたようです。さすがに今はその手前に白い柵ができていてこれ以上先には行かないでくださいと書いてあります。無謀な若者はきっとだれも監視のいない、観光客もこないこの場所でちょっと冒険をしたくなりそうですね。でも絶対危険、くれぐれも無謀な好奇心は出さないほうがいいです。



私たちも帰りの下り道を心配しながら、荒々しい景観にさよならをしました。この頃からラム姉の機嫌が悪くなってきます。確かに私が「行きたい」と駄々をこねてきてしまった黒砂砂丘、滑り止めのついていないラム姉のブーツは歩きにくく疲れることでしょうし、これから飛行機に乗り羽田に着いても、自宅まではまたラムパパに車の運転をしてもらわねばなりません。自分の興味を優先し、人の疲れや大変さより面白さを求めてしまう私の悪い癖なのです。
ごめんね、ラム姉、私は満足しましたが、疲れたよね。しかもひやひやする場面もあったし、無事に車まで帰りつけたからいいけど、あまり勧めなかった「ふるさと村」のおばちゃんの気持ちがわかりました。

さあ、母親としての反省を胸に秘め(別に秘めなくてもいいのですが)、飛行場に向かい、お土産を買ったりして無事に八丈の旅は終えることができました。そして、その後、怖い話があるのです。それはまた後ほど。
自己満足の旅日記にお付き合いくださった方、ありがとうございました。

八丈、想像以上によかったですよ。ぜひ、「東洋のハワイ」などと馬鹿にしないで、八丈の良さを味わう旅にトライしてみてください。八丈の皆さん、お世話になりました。本当に楽しい快適な旅ができました。
「おじゃれ」の言葉に誘われて、また遊びに行きたいです。冬でも十分楽しめる魅力いっぱいの八丈でした。






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