緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
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シネマテーク・フランセーズにて大島渚特集

2015年03月08日 | 映画

3月4日からフランス・パリのシネマテーク・フランセーズ(映画博物館)にて、2か月間にわたる大島渚監督特集が始まったそうです。

シネマテークは今は各国にある映画博物館の先駆けで、さすが文化を大事にするお国柄、こういう施設が国の予算でできているのだなと昔は羨ましく思ったものです。

その後、日本にも京橋に国立フィルムセンターができ、日本の各地に規模はさまざまですが、映画やそれに関わる資料を保存する施設ができて、鎌倉市には川喜多映画記念館もできました。

40年以上前に日本にフィルム・ライブラリーを作ろうという趣旨のもとに活動していた団体に運よく勤務することができた私は、その後その団体が「フィルム・ライブラリー助成協議会」の助成がとれ、さらに東和映画の川喜多長政会長の遺産を受け、財団法人川喜多記念映画文化財団となった時期まで長く仕事を続けることができました。

日本のフィルム・ライブラリー活動の揺籃期にその推進者であった川喜多かしこ夫人のおそばで働けたことは、私にとって大きな誇りです。岩波ホームでのエキプ・ド・シネマ運動のスタートのお手伝いができたことも、映画ファンだった私には大きな体験でした。

20代の頃、初めてパリに行ったとき、シネマテークに行きたいと念願していたのですが、たまたま休館日とぶつかり「どうしよう?」と困っていたら、なんとか知り合いが動いてくれて休館中のシネマテークに特別に入れてくれ、願いがかなったのでした。

エッフェル塔の足元、シャイヨ宮の一隅にあったシネマテークは、映画好きにはたまらない宝箱、リュミエールの「月世界旅行」や戦前ドイツ映画の名作「カリガリ博士」の再現舞台があったり、映画史の本がそのまま自分の目の前に飛び出してきたような興奮に時のたつのも忘れるぼどでした。

休日なのにわざわざ見学する私たちのために出てきた若いパリジャンのスタッフも嫌な顔一つ見せず、喜んであちこち見まわる日本人を楽しそうに案内してくれました。懐かしい思い出です。

シネマテークは今は亡きアンリ・ラングロワという映画愛の塊のような人の熱意が結晶して出来上がった施設でしたが、ラングロワはかしこ夫人が日本にもライブラリーを!と活動するきっかけを作ってくれた人でもありました。

 ラングロワとかしこ夫人  ナタリー・ドロン、三船敏郎、アラン・ドロンたちと

「日仏交換映画祭」という催しを行ったことから、古い映画を大切にするフィルム・アーカイブという意識が少しずつ広がり、日本にもフィルムセンターができ、京橋で上映活動を行っていますし、相模原にはフィルム所蔵庫が作られるようになりました。

 鎌倉の川喜多邸でくつろぐラングロワと五所平之助監督 ラングロワとかしこ夫人(大仏前で)

かしこ夫人もラングロワも亡くなり、シネマテークもシャイヨ宮の火事が原因で一時閉館されていました。その後場所を移して、今は大きく立派になりました。

そのシネマテーク・フランセーズで、2013年1月に亡くなられた大島渚監督の特集上映を行うそうです。2か月間にわたり上映される大島監督特集はフランスとは縁が深かった監督にとっても大変うれしいことでしょう。改めて大島作品にオマージュが捧げられることは、日本の映画ファンとしても楽しみです。監督も天国で、先に逝っていた川喜多和子さんと美味しいお酒を飲みながらニコニコ笑っていられることでしょう。笑顔の素敵な礼節の方でした。

大島監督は笑顔と気配りの人でしたが、厳しい方でもありました。最後にそのイメージそのままの写真です。

パリのシネマテーク・フランセーズのサイトです。

 http://www.cinematheque.fr/fr/dans-salles/hommages-retrospectives/fiche-cycle/nagisa-oshima,622.html


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2 コメント

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Unknown (zoetrope)
2021-08-17 07:25:32
昔、学生時代にシャイヨー宮のシネマテークに行って来ました。懐かしくて嬉しくなりました!
Unknown (ラムママ)
2021-08-21 09:42:54
シャイヨー宮のシネマテークにいらしたことがあるのですか? 私も懐かしくうれしく思います。
私の備忘録のようなとりとめのないブログですが、読んでいただけて幸栄です。ありがとうございます。

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