緑のカーテンとゴルわんこ

愛犬ラム(ゴールデンレトリバー)との日々のあれこれと自然や植物、
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江之浦測候所訪問

2020年08月09日 | 

8月8日土曜日に小田原市にある江之浦測候所というところを訪ねました。

日経新聞朝刊の名物連載「私の履歴書」欄に7月にずっと書いていらした杉本博司氏が10年の構想、10年の歳月をかけてオープンした壮大な造形美と自然美に満ちた空間、江之浦測候所をラムパパと二人で訪問しました。

江之浦測候所見学は通常午前と午後の二枠の見学時間枠を設けて2か月前からの予約受け付けをしていますが、8月の土・日・月曜だけ夕景の部(午後5時から7時まで)という枠を追加していたので、日経新聞の「私の履歴書」を読んで行きたいと思い、さらに友人から「素晴らしい場所だそうよ」という情報をもらい、早速予約をして出かけることにしました。

江之浦測候所の見学は完全定員予約制で、ネットで日時と時間枠を予約しておき、チケット発券もコンビニ経由で行われます。コロナウイルス感染拡大をうけて、東京都は不要不急の外出自粛を要請していますので、はたしてこういうところへの訪問をしていいのかどうか迷う気持ちもありましたが、我々高齢者は存在そのものが不要不急(養老孟子氏の言だそうです)、自分の存在を消すわけにもいかないし、人はパンのみにて生きるにあらず、美しいものや素晴らしいものに触れずに生きている実感は得られません。コロナ対策に最大の注意を払い、出かけることにしました。

場所は、東海道線の根府川という無人駅から少し山を登った海に面した急斜面にあります。公共交通機関を利用する方は根府川駅から無料の送迎バスが出ているそうです。私たちは自宅から車で、中央道、圏央道、小田原厚木道路を通って根府川まで行きました。お盆休みの初日の土曜日の昼過ぎでしたが、ほとんど渋滞もなく1時間半弱で到着しました。

5時からの入場を待つ人も少なく、のんびりと海風に吹かれながらベンチに座って開場を待ちました。来ている方は、大体二人連れ、コロナ対策で5人以上の団体は申し込みができないせいもあるのでしょう。年齢は、30代から5,60歳代が多かったでしょうか? 我々が一番年上ぐらいの感じでした。あまり日経新聞「私の履歴書」を読んで来たという様子ではなく、美術館や博物館によく出かけるような方が、この夕景の部の開催を知りやってきたという雰囲気でした。

5時ちょうどにスタッフの方が二人出て来て、非接触体温計で熱を一人一人はかり、台の上に置いてある案内書をとるように指示されて入場しました。

人混みはまるでありません。案内書には、地図も載っていて、今回の夕景の部では竹林エリアには入れないということでしたので、硝子舞台を中心にぐるりと回るつもりで、正面にある明月門から入場しました。

明月門は鎌倉の明月院にあった門が、関東大震災で半壊したり戦災にあったりのさまざまな紆余曲折を経てこちらに移築されたものだそうです。以前は根津美術館の正門として使われていたそうです。門をくぐって少し歩くと、すぐに海が見える眺望が開けます。素晴らしい景色です。

景色の雄大さと置かれている石の迫力に圧倒されます。形容する言葉が思い浮かばず、一緒に歩いているラムパパにも何も話しかけられません。段差や傾斜があるので、我々高齢者は転ばないように注意深く足元を見ながら進みました。

一番見たかった硝子舞台を目指して歩いていきました。見えてきました。感激です。

古代ローマの円形劇場を模した観客席に座ると、海の中に硝子舞台が浮かんでいるように見えます。ここは測候所です。空と大地と海原を見つめ、過去と未来と現代の時間を飛び越えてすべてが融合するさまを体感する測候所です。あまりの素晴らしさに言葉を失い、このままずっと座っていたい気持ちになりました。見学者の方々も思い思いのポーズで好きな位置に座り、この大自然に抱かれているような感じでした。

中に入ってからまだほとんど見学していないので、その場にいたい思いを残して、動き出しました。2時間という時間枠なので、あまり遠くには行けません。硝子舞台をあとにして北大路魯山人と小林秀雄の所蔵だった古信楽の井戸枠を見に行きました。

小林秀雄は鎌倉の自宅の庭にこの井戸枠を据え、その緋色を愛で親しんだそうです。雨に濡れると緋色がさらも映えるそうです。

次に100メートルギャラリーを見に行きました。海抜100メートルの地点に海に向かって真っ直ぐにのびるガラス張りのギャラリーが立っています。

この真っ直ぐのギャラリーを夏至の朝、海から昇る太陽光が数分間にわたり、この空間を駆け抜けるそうです。「夏至光遥拝100メートルギャラリー」と案内書では紹介されています。先端部分の12メートルは海に向かって持ち出しとなり、展望スペースとなっています。

いろいろ見たいものがたくさんあり、どう回るのがいいのかわからないので、足の向くまま歩いていました。

多分、硝子舞台と双璧をなす見学スポットだと思えたのが、冬至光遥拝隧道です。

冬至の朝、相模湾から昇る陽光が70メートルの隧道を貫き、対面して置かれた巨石を照らし出すそうです。

江之浦測候所では、夏至の朝、冬至の朝、さらに秋分、春分の朝日を見る会も通常の見学枠のほかに設けていて、それは希望者が多く抽選になるそうですが、朝日が走る場面を体験できるそうです。

まだまだ、見どころが多く、とても全部は紹介できそうもありません。写真で見ていただくことにします。

今回の夕景の部では行けなかった竹林エリアまでの道は、ミカンの木が茂るミカン道があるそうです。

次の写真は、トイレまでおしゃれな空間だったという証拠です。

これはこれ以上先には入れませんという「止め石」です。立ち入り禁止とかこの先危険などの表示よりおしゃれでいいですね。

自動販売機も表からは見えないようになっていて、囲いの中にありました。自販機の各国語の表示です。

夕景の部の日没の様子です。少し雲が出ていて、海を染めてはくれませんでした。残念です。

硝子舞台の脇に立つラムパパです。下を見ると怖いです。

2時間の持ち時間があっという間に終わりに近づきました。相模湾にサヨナラを告げ、再訪を約束してきました。スタッフの方の話では、その季節、季節で素晴らしいところですが、冬がいいですよ、空気が澄んでいて海もきれいです、東京のスカイツリーまで見えますからぜひおいでくださいとのことでした。

明かりがともる明月門を背にして、帰路につきました。帰り道は、さらに道路が空いていて1時間ちょっとで帰宅できました。まだまだ見ていないところがあり、二度三度と訪れたい江之浦測候所でした。

 

 

 

 


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