ルターは、現実に引きずられ過ぎて、信頼の言葉とは違う態度に出てしまいました。
Young Man Luther 『青年ルター』p.236の8行目途中から。
ルターは、命がけで小作人たちの暴動を鎮圧するものには、天国での報いがあると、約束しました。かつては繰り返し打たれて、今では親の言うことを聴かない、この息子が言った言葉には、裏も表も出ています。「反乱は、議論して答えを出す価値もありません。反乱は、その答えを受け止めたりなどしないからです。こういった連中へは、鼻血が出るほど殴ってやりゃそれでいい」という訳です。ハンスが、残りの手に負えない小作人たちを打つて、自分の息子から、引き離したみたいでしょ。
自分に反抗する小作人たちを前にしてルターが言ったことは、かつて自分をさんざん打って、大嫌いになったはずの父親ハンスが、言いそうな言葉でした。子どもの頃の体験が、意識的な努力をせせら笑うかのように、骨身に沁みていることの何よりの証拠でしょう。
私どもは、恨み辛みが募った体験を克服するためには、深い再体験をすることが何より大事なことですね。
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