#ライフサイクル論の最も根源的な意味 #発達の要は良い良心

 

 

 

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インターメッツォ：　エリクソンの叡智　：　エリクソンが明言する、「あらゆる罪の中で最大の罪」

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　西平直さんの残念な翻訳を訂正する第8弾，です。今回が，西平訳訂正の最終回といたします。この程左様に，エリクソンをまともに訳している日本語訳は，ない，と言えますでしょ。ビックリしますでしょ。大江健三郎が「誤訳文化」というのは本当でしょ。西平直さんの翻訳は，この部分の重要性に気づいてないので，情けない，見当違いの誤訳の山です。

　Identity and the life cycle ，p.57の第２パラグラフから。今まで読み飛ばしていましたが，とても大事なところだと気付かされました。

 

 

 

 

 

　それで，繋がっている（訳注：発達の）どの舞台も，危機になるかもしれません。というのも，どの舞台も，物の見方が根っから変わってしまうからです。人生の初めに，すべて物の見方の変化の中で，一番根源的な変化がありますね。それは，子宮の中の人生から見た物の見方から，子宮の外の人生から見た物の見方へ，という違いがありますでしょ。しかし，出産後の在り方においても，このように，ゆったりと横になっている時の物の見方，シッカリと座っているときの物の見方，すばしっこく走っている時の物の見方，というように，物の見方を根っから修正することは，すべて，それぞれ，時にかなった時期に，やり遂げなくてはなりませんね。物の見方を修正しなければならないのと同時に，対人関係に対する見方も，急速に，根っこから変化する訳です。対人関係に対する見方も，「お母さんは見えるとこにいなきゃ，嫌」という思いと「僕はお母さんは当てにしないもん」という思い，のようないろんな真逆の思いが生じるタイミングが近くにあることによって，対人関係に対する見方が試されます。事程左様に，「いろんな可能性が，様々なタイミングを使う」訳ですが，それは，発達する人格である，常に新鮮な，纏りある人格のいろんな持ち味が十分育つようにする目的のためです。

 

 

 

 

　一見，何の変哲もない部分に見えるかもしれませんね。しかし，ここには，エリクソンのライフサイクル論の最も根源的な意味が書いてあることにお気づきでしょうか？

　それは，発達は，ひとりびとりの人が，人格の持ち味を十全に育てるという目的を実現するためのこそある，ということです。その目的に叶った育ちを保証することがよい発達であり，その目的に叶わない育ちは，悪い発達，「発達障害」だということです。

　しかし，それだけではありません。その発達は，物の見方と対人関係に対する見方の２つ見方が，舞台舞台で，根っから変わってしまう中で，その２つの見方を整えながら，やり遂げなくてはならない，ということです。

　ここから分かることは，人格の発達とは，真逆な思いがぶつかり合う試練に中で，いつでも，この２つの見方を調整し，一貫性のある見方を育てていくことが，とても大事になる，発達の要こそ，良い良心だ，ということです。