エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

曲がり角の先

2015-01-09 15:38:19 | エリクソンの発達臨床心理

 

 臨床心理士の先輩から、年賀状をいただきました。そこには、朝ドラ「花子とアン」で繰り返し出て来た言葉が出てきました。それは、

「曲がり角をまがった先に、何があるかはわからない。でも、きっと一番良いものに違いないと思う」

 花子が「修和女学校」を卒業したとき、校長先生のメッセージがありましたね。そのメッセージは

「人生は進歩です。若い時代は準備のときであり、最上のものは過去にあるのではなく将来にあります。旅路の最後まで希望と理想を持ち続け、進んでいくものでありますように」

という言葉があり、印象的でしたね。これは、花子の先の言葉と同じ音色がしますよね。

 ブラックバーン校長の教育は、見事に花子に受け継がれていますよね。ポジティブ・シンキング。単に技術としてのポジティブ・シンキングじゃぁない。

 これこそ、根源的信頼感ですね。a sense of basic trust。信頼感は抽象的じゃぁなくって、非常に具体的、実践的ですね。

 あなたもどうぞ!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

訓練して身に着けなくちゃぁならない ご大切 改訂版

2015-01-09 11:58:00 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

                        冬来たりなば春遠からじ

 今日から第1章。6ページの短い章。

 p.1冒頭から。

 

 

 

 

 

 人を大事にするのは、1つの技術です。人を大事にすることが1つの技術であれば、それなりの知識と鍛錬が必要です。さもなければ、人を大事にすることは、快楽なんでしょうか? それを経験できるのは、偶然で、幸運な場合に「棚から牡丹餅」で手に入れるものなんでしょうか? この小著は、人を大事にすることは1つの技術である、という前提に立っています。でも、多くの人は、人を大事にするのは、快楽だと思ってんですね。

 

 

 

 

 ここを読むと、先日このブログでもご紹介した司馬遼太郎さんの言葉を思い出しますね。「『いたわり』、『他人の痛みを感じること』、『やさしさ』。これは本能ではない。だから、私たちは訓練して身に付ければならないのである」。

 人を大事にすることを、これほど分かり易くいったことはないかもしれませんね。すなわち、人を大事にすることは、労わりであり、他者の痛みをかんじることであり、優しさであるけれども、それは訓練して身に着けなくちゃぁ、なりませんよね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ガンディーの実験

2015-01-09 07:30:35 | アイデンティティの根源

 

 人々の倫理的な力を呼び覚ますガンディーの内的な力とは、いったいどういうものなのでしょうか?

 p240第2パラグラフ。

 

 

 

 

 

 ガンディーの気持ちの複雑な動機やら、不思議な気質やらを、分かっている、と申し上げているんじゃぁないんですね。行動指針に関して西洋的な厳格さには馴染まない点もありますし、インド人の観察者にとっては奇妙に感じる点もあると思います。私はガンディーの行動には、今や「時代遅れ」かもしれない父権主義もあると見ることもできますよね。ところが、ガンディーの記念碑的な単純さと、この「実験」にガンディーが全人格を掛けて関わったことによって、労働者たちも、工場主たちも、ガンディーを尊敬したんですね。ガンディー自身が、ユーモアのある畏敬を抱きつつ、「私はこんな戦いを今までしたためしがありません」と言ったくらいです。というのも、実際に、争い合う敵も味方も成長するのは、アーメダバードの労使関係が新しい永続的な地平にまで高められたやり方においてです。次の事実だけ引用することをお許しいただきたいのですが、1950年代においてい、アーメダバードの織物労働組合は、インドの労働組合連合の20番目を占めるにすぎないのですが、福利厚生費に80%を当てていた、ということですね。

 

 

 

 

 

 人の幸せ、福利厚生費に組合費のほとんどを使っている。エリクソンがそれを記したのは、この支出が特別だったことが分かります。それは労働者も「人間らしい暮らし」に近づけるためだったことは、明らかでしょう。

 それは、ガンディーの願いと関係があると思いますね。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする