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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 ゴーストバスターズ/アフターライフ

2022年02月25日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、人気シリーズが復活のゴーストバスターズのその後を描いた「ゴーストバスターズ/アフターライフ」です。

ゴーストバスターズと言えば、80年代のAORやブラコンのヒット曲として有名なレイ・パーカーJrが歌う主題歌が思い浮かぶオールドファンも多いかと思います。僕もその一人で1984年の1、1989年の2がヒットを飛ばした、コロンビア大学の研究室の同僚三人により結成された町に現れた幽霊たちを駆除していくコメディ映画として不滅の金字塔を打ち立てた映画です。実はこの映画は、3が予定でしたがメンバーの一人ハロルド・ライミスの死によって製作が中断されました。

その後、キャスティングを女性に替えて2016年にリブート作品が公開されました。こちらの作品はヒットはしなかったのですが、個人的にはスケールも大きくて女性メンバーの個性とゴーストバスターズへのリスペクトもあり個人的にはとても楽しめました。

これら一連の解説はツッチのムビログさんの動画で詳しく解説されてるのでオールドファンや知らない方にも参考になるかと思いますのでチェックしてみてください。

さて、今回のアフターライフ、タイトル通りその後を描い内容です。監督は前作を手掛けたアイバン・ライトマンの息子ジェイソン・ライトマン、さらに主人公のフィービーにはギフテッドのマッケンナ・グレイス、兄トレヴァーにはイットシリーズのフィン・ウルフバードが演じてます。

物語はフィービーと母と兄と一緒に今は亡き祖父の実家のある田舎町に引っ越しから。この町は30年にわたり原因不明の地震が頻繁にしてました。フィービーは実家の地下にある研究室を発見し、祖父がゴーストバスターズの一員だったことを知ります。ある日研究室にあったゴーストトラップの装置を誤って開いてしまい最強のゴーストを蘇ってしまいます。フィービーと同級生、兄はゴーストバスターズとして最強のゴーストと戦うことに。

果たしてフィービーはゴーストから町を守ることができるか。

各所に過去のごゴースト作品に伏線が散りばめられオールドファンにはたまらない演出、さらに過去の作品を知らなくても娘と若者たちをヒーローにした作品は青春アドベンチャー作品としても楽しめる内容です。


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映画 ドライブ・マイ・カー

2022年02月15日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日のシネマレビューは、本年度アカデミー賞で4部門にノミネートされた濱口竜介監督の映画「ドライブ・マイ・カー」です。

今回の作品、ハッピーアワーや寝ても覚めてもの濱口竜介監督が、村上春樹の短編小説を脚本した3時間近い長編映画です。主演は西島秀俊、そしてドラマの準主役とも言うべき女優に2代目なっちゃんや天気の子の主題歌歌手の三浦透子が演じています。

物語は、舞台監督の西島秀俊が演じる家福悠介が妻の音の突然の死により喪失感と仕事の関係で知り合った三浦透子演じる専属ドライバー渡利みさきとの出会いより人生の再生ドラマです。悠介はパパートナーとして欠かせない存在だった妻の裏切りを知りながら日常を過ごしていましたが、ある朝妻から夜話したいとことがある告げられます。しかし、その夜妻は突然亡くなり謎の告白となり、喪失感を抱いた中ある演劇祭の仕事を受けます。

依頼先から滞在中は契約の都合上運転できないこととなり、依頼者側から専属のドライバー渡利みさきを紹介されます。妻を除き他人には愛車を運転を指せない悠介は一旦は専属ドライバーを断るも、みさきの運転を気に入り徐々にお互いの過去を吐露していきます。

そんな中で主役を演じる妻の知人でもある若手俳優が、ある事件を起こし公演を可否が責められます。自らが主演演出してきた舞台に妻の死後立てなくなった悠介、数日の猶予をもらい悠介は、みさきの故郷である北海道を目指します。

先ずは、過去の村上春樹原作の映画作品に比べて個人的には、非常にわかりやすかったし長編映画ではあるけど間延びせず丁寧に描かれていたことが良かったです。今回の作品は、舞台演出家である悠介と脚本家である音、そして専属ドライバーとなったみさきの心情が言葉としてうまく表現され三人が抱える問題が徐々に紐解かれていくセリフ劇の素晴らしさを感じました。夫婦の日常とみさきの過去がうまくリンクしているところも面白く、男と女の性のようなものや、親子の不思議な絆みたいなものも巧みに生かされているなと思います。

僕はハルキストではないので作品の良さが映像に反映されていたかはわかりませんが、映画から原作の意図は伝わりました。


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※ネタバレになるかもしれませんので、まだ観てない人はご注意を。

周りの感想としてはわかりにくいとの意見もあったので、ここからは作品の概要とポイントを時間経過を追いながら僕なりに解説したいと思います。

悠介と音はセックスを通じて繋がっている、特に音は娘の死後、性癖により喪失感から立ち直った。

悠介はビジネスパートナーとしての音に依存していて、愛車同様に失くしたくない存在であり音の浮気癖に黙認している。

ある朝、音の告白予告があるが帰宅をためらったことで音の突然の死による新たな喪失感を持つ。

瀬戸内での舞台上演の折り専属ドライバーとなる生きていれば娘と同じ年齢のみさきと出会う。

みさきは、雪崩事故により母を亡くし、西に向かい瀬戸内で運転手の仕事に就いている。

舞台オーディションで、音の知人である若手俳優の高槻と再会し、自作自演劇の主役に抜擢する。

公演間近に高槻が傷害事件を起こし主役不在となり、代役とて悠介が主演するかどうか決断を迫られる。

数日の猶予をもらい、悠介はみさきの故郷に向かう。

公演は悠介の主演により成功する

時は移り、みさきは悠介の愛車を運転し韓国にいる。悠介の姿はない。

作品の経過を振り返れば容易に推測はつきますが、生前の音の告白と悠介とみさきのその後と再生のドラマは謎です。謎だからこそ観終わった後に想像力を掻き立てられました。

確かなことは、悠介の過去と現在そして未来にとって音とみさきの存在は人生のドライブ・マイ・カーではないかと思います。


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映画 フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

2022年02月03日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューはウエス・アンダーソン監督の10作目の長編映画「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」です。

物語はフランスの老舗雑誌が編集長の死によって廃刊となり、その雑誌の最後を飾る記事を個性豊かな記者によって紡いでいくものです。記念すべき作品にはオーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンドの常連組に加え、ベニチオ・デル・トロ、ティモシー・シャラメ、ジェフリー・ライト豪華な俳優陣が集結、監督により新しい個性が発見できました。
 
雑誌の持つ様々な分野を組み入れた形で、個性的な記者たちの取材によりエッセイ、アート、政治、犯罪の四つの話題で進みます。どの話もユーモアにあふれていて特にベニチオ・デル・トロ演じる刑務所にいる天才画家とティモシー・シャラメ演じる学生運動家の話が僕に強く刺さりました。
 
また、ウエス・アンダーソン監督の特色である絵画の一場面を切り取ったようなアート的な画面や突如のアニメーションに変わる手法もふんだんに取り入れられていてアート好きの僕にはたまらない演出です。映画ファンには、賛否が分かれる監督ですが、アンダーソン監督のファンはもちろんのこと、雑誌好きの方やアート好きの方には楽しめる作品ですので試しに鑑賞してみてください。


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映画 コーダあいのうた

2022年01月28日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画『Coda コーダ あいのうた』公式サイト

今回の映画はフランス映画エール!のリメイク作品でサンダンス映画賞4冠の話題作「コーダあいのうた」です。

映画ファンには、今上映中の作品の中で超話題の作品なんでご存知の方も多いかと思います。近年アカデミー賞の前哨戦となっているサンダンス映画祭で史上最多の4冠に輝いた作品で、ろう者の家族を支える健常者の娘の愛と夢を描いた作品です。

この作品は、2015年に日本で公開されたフランス映画「エール!」のリメイクです。エール!では、フランスらしい酪農一家でした。こちらの作品は、Amazonプライムで視聴可能ですので、ぜひ鑑賞してみてください。

さて、今回の「コーダ あいのうた」ですが、舞台は港町で漁業を営む家族、ろう者の両親と兄、そして健常者の娘ルビー。早朝から漁に出て高校に通う日々の中でルビーは合唱部に入り顧問の先生からバークリー音楽大学への進学を勧められます。家族の通訳として生活を送るルビーに初めて自分の夢が芽生えます。果たして家族の理解を得られるのか。困難の中で感動の物語が紡がれていきます。

リメイク作品ですが、とてもオリジナリティが高い作品で脚本も担った女性監督シアン・ヘダーは、ろう者の家族に聴覚障がい者の俳優を抜擢、ルビーを演じたエミリア・ジョーンズの流暢な手話と力強い歌声がろう者の家族の代弁者として見事に呼応してました。

また、兄役のダニエル・デュラントの雄弁な手話やルビーの同級生として恋に落ちバークリーを目指すマイルズには「シングストリート・未来へのうた」で主役を演じたフェルディア・ウォルシュ=ピーロが少し大人となって登場し、甘い歌声を披露してます。それぞれのキャスティングもとても素敵で個性的です。また、僕たちの世代には、たまらないソウルやポップスの名曲がルビーの歌声と共に華を添えます。

本年度アカデミー賞で、シンプルでラブコメの要素を入ったヒューマンドラマが何らかのオスカーを獲得することは間違いありません。僕はストレートでシンプルで誰もが楽しめる本作が、こんな時代だからこそ主要な賞に輝くのを期待しています。


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映画 ブラックボックス:音声分析捜査

2022年01月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、フランス映画です。飛行機事故の謎に迫る音声分析官を描いたサスペンス作品「ブラックボックス:音声分析捜査」です。

最新機器を搭載した旅客機が墜落、乗客乗員316人が死亡する事故が発生、航空事故調査官で音声分析を担当するポロックが謎の失踪、後任に部下のマチューが担当することに。調査の結果、乗客のひ一人であるイスラム教徒によるテロと断定します。しかし、乗客の一人が遺族に残した留守電を発端に、ブラックボックスの音声データが偽造されたものではないかと疑いを持ちます。マチューは、自らのミスを正すために事件の真相を追っていくという内容です。

マチューを演じるのは、伝記映画「イブ・サンローラン」でサンロ―ランを演じたピエール・ニネでインテリ風の華奢な男が、事件の謎を解明しようと奔走していきます。足がかりになるのは、留守番電に残された被害者の墜落時の音声テープ、音声テープをきっかけに事件の真相が徐々に明らかになるのですが、会社の同僚の婚約者を巻き込んでキャトルの水が徐々に熱くなり沸騰するように、事件の熱が高くなり、ラストで注ぎ口からあふれ出すような雰囲気を持つ作品でした。

起承転結が明確に示されるオーソドックスなスタイルですが、それぞれにメリハリがあり、そして導き出されるようなラストの真相が予想外でした。久しぶりにかなり良質なサスペンス映画を観ましたので、お好きな方はぜひ鑑賞してみてください。


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映画 クライ・マッチョ

2022年01月24日 | 【映画・ドラマ・演劇】
ちょっとある動画を見て怒ってますので、少し感情的なレビューになると思うのでご容赦ください。クリントイーストウッド監督の最新作「クライ・マッチョ」です。

 

監督50周年記念として公開された本作。今までの映画とは内容的に異なっているのか、一部の映画批評家を自称する連中から辛辣な意見が出ています。僕も動画検索したあるミステリ作家が「クソじじいのウンコみたいな武勇伝」とサムネつけて、こちらが胸糞悪くなりました。まあ、個人的に映画に値段をつけて批評するのは好きじゃないので、これ以上言いたくないので、この辺でやめときます。

物語は、かつてロデオカーボーイとして名をはせたマイク・マイロはかつての恩人である友人から、メキシコ人の元妻の息子を取り戻すことを依頼する。メキシコに向かったマイク・マイロは母親に捨てられ闘鶏で生活していた息子と共に国境をわたるロードムービーになってます。

今までの作品とは違い、喪失感や焦燥感はなく老人と少年に芽生えた友情みたいなものが淡々と描かれ、ユーモアや良心が随所にあり、ヒューマンドラマの好きな僕としては共感するところが多く心が温まる作品でした。


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映画 ハウス・オブ・グッチ

2022年01月21日 | 【映画・ドラマ・演劇】


リドリー・スコット監督、レディガガ主演のグッチ御曹司殺害事件の顛末を描いた映画「ハウス・オブ・グッチ」を鑑賞してきました。
 
本作は、かなりテレビCMでも流されていて注目を浴びている作品ですが、グッチと言えばイタリアを代表するファッションブランド、グリーンとレッドにGのマークを重ねあわせたデザインが特徴でした。また、ホースビットと言われる馬具を模した金属をあしらったビットローファーは、今や不滅のアイティムとなっています。
 
そんな、グッチにも創業家にまつわる暗黒史は有名で、一族の争いも絶えずついには御曹司マウリツィオの暗殺にまで至ります。そして今回の作品は、その暗黒史にスポットを当て首謀者である妻レディ・ガガ演じるパトリッアのグッチ家の出会いと成功、別れと転落の歴史をつぶさに明かす内容になっています。
 
輸送会社の娘だったパトリツィアが、アダム・ドライバー演じる御曹司とパーティーで出会い、創業家から離れて弁護士として生活していた彼をグッチの後継者として仕立てあげ、創業家一族を排除しながら女帝として君臨する成り上がり人生から女帝として君臨、栄光の中で夫との確執により離婚、暗殺計画にいたる彼女の心模様を見事に演じきったガガ、まさにガガの怪演ぶりが光る作品でした。
 
また、グッチ家の御曹司を演じたアダム・ドライバーも彼の演技の特色である、クールで無表情な演技も御曹司らしい一面が出て良かったです。また、創業者ロドルフォを演じたジェレミー・アイアンズの老舗ブランドのデザイナーらしい出で立ちに、弟アルドを演じたアル・パチーノの社交的で欲深い男に、アルドの息子パオロを演じたジャレット・レドの愚才ぶりなど、個性あふれる面々が華を添えています。
 
リドリー・スコット監督作品は長尺の作品が多く、今回も2時間40分の長さ最近の90分強で終わる作品に慣れている方にはいささか中だるみ感があるかも知れません。また作品の古代から近未来まで多岐にわたり、その中でもこうした現代史の闇にふれた作品も数多いです。しかもこうした作品は意外と評価が低い。個人的には好きですし、トム・フォードが誕生はグッチなくして語れないし、いかにして現在のグッチが創業者から完全に離れたか、この作品を観ればわかります。ある意味でファッション史の一場面を知る上にでも好都合な作品です。
 
そして、ガガ演じたパトリツィアは今なお健在で「黒い未亡人」として健在です。


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映画 スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

2022年01月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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先日スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームを観てきました。

 

評論家をはじめファンも絶賛の本作、ファンの一人として感想を述べたいと思います。

先ずはあらすじから、前作でミステリオを倒したスパイダーマン。ミステリオが残した映像からマスコミにから敵にされてしまい、さらに正体を暴露されます。正体を知られない世界に戻そうとドクターストレンジの力を借りますが、そのことが裏目に出て過去に対決した敵を蘇らせてしまいます。かつての強力な敵たちを相手に悪戦苦闘するスパイダーマン、果たしてスパイダーマンことピーター・パーカーが決断は、さらに彼を救う救世主は。。。。

過去の作品を超える集大成的展開は、アベンジャーシリーズのドクターストレンジの登場に加えて過去に対決したドック・オク、エレクトロ、グリーンゴブリン、サンドマンなどが同時に出現します。またネタバレになりますが、過去のスパイダーマンとしてドビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィーが登場し一緒に戦います。もう一人のアニメ作品での黒人青年のスパイダーマンは作中に登場しませんが、セリフの中でちゃかり組み込まれて、スパイダーマンシリーズ最終章?にふさわしい豪華キャストになっています。

ドクターストレンジの呪文によって開かれた未知の扉、マルチバースが今回のテーマのようですが、宇宙理論として捉えているマルチバースですが、異なる世界が同時進行的に行われている世界を表現してるのかなと個人的には思ってみたりします。

そう考えると三人プラス2次元のスパイダーマンの存在も合点がいきます。そうした表現より自然に受け入れて楽しめるのが今回の作品だなと感じます。映画の世界は流転の連続、最終章ではあっても、スパイダーマンは永遠です。


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映画 ダ・ヴィンチは誰に微笑む

2022年01月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』鑑賞 | Be Here Now

美術市場最大のミステリー、ダヴィンチ幻の名画は果たして本物か? 「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」を鑑賞してきました。

今回の映画は、2017年にクリスティーズのオークションで史上最高額508億円で落札されたダヴィンチ作と言われるサルバトール・ムンディについてのドキュメンタリー映画です。美術ファンの間ではダヴィンチ幻の名画として知られていますが、この作品に対しての真贋が定かではなく、現在ではダヴィンチ工房作が有力とされています。

その根拠とな事実の経過を克明に追っているのですが、実に美術界の闇が描かれていて美術に携わる僕としても、実におもしろい内容でした。ダヴィンチを代表する当時の有名画家たちは自らの工房で弟子たちとの共同作業で行われていて、ダヴィンチ自らの手を加えたと思われる作品に限りダヴィンチ作としています。

まあ、そのことも権威ある研究者(鑑定家)のお墨付きによるものです。今回のサルバトール・ムンディも、ここからが発端であると思います。

経過を追うと

1958年に複製とされた文献でしか存在しない「サルバトール・ムンディ」をある画商が2005年に1万ドルで入手し修復の後に真筆が証明

2011年ロンドンのナショナルギャラリーで展示され初のお披露目

2015年サザビーズのオークションでスイズ人が画商が90億円で落札し、ロシア人富豪に140億円で売却

2017年クリスティーズのオークションで史上最高額に508億円で落札

2019年ルーブル美術館でのダヴィンチ没後500年大回顧展に出品予定が出品されず。

2021年サウジアラビアの王子が所有者であることが発覚、クリスティーズオークションでのお披露目以降一度も一般公開されず。

と言うことです。

かいつまんだ経過では、何が面白いかと思われる方も多いかと思いますが、まず、一攫千金の賭けにでた画商、野心家の学芸員、戦術家のオークション会社など海千山千の者たちの暗躍が垣間見えるとこです。

特にクリスティーズが古典絵画部門ではなく、現代美術部門でオークションにかけた下りは、今の現代アートブームを皮肉っているようでした。

ともあれ、絵画は時に投資の一部とされるのはいつの時代も変わりませんが、本来の美術愛好家や美術関係者とは程遠い欲にまみれた人々の存在により世間の話題になるのは事実です。作品には決して罪はないのであしからず。


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映画 ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男

2022年01月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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年末年始にかけて本業の仕事が忙しく、なかなかレビューが出来ませんでした。それでも仕事の合間をぬって、昨年の12月11日から12日にかけて、車中泊ひとりアート旅を決行、また年末年始にかけては映画館で二本、またネットフリックスでの映画、ドラマの視聴もしたので順次ご紹介したいと思います。

新年明けましての映画レビューは「ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男」でスタートします。

今回の映画は、企業専門の弁護士が、ある初老の男が持ち込んだ企業の環境汚染による不正を知り20年以上の法廷闘争を繰り広げた不屈の弁護士の実話に基づく映画です。弁護士ボブを演じるのはアベンジャーズのハルク役やスポットライト世紀のスクープで新聞記者を演じた環境問題にも力を注いでいるマーク・ラファロ、長年夫を支えながら家族を支える元弁護士の妻サラにはアン・ハサウエイが地味に演じています。監督はキャロルのトッド・ヘインズです。

この映画の凄さは、あの誰もが知っているフライパンなど未だに様々な分野で使用されているテフロンを生み出したテフロン社の第二次大戦中から始まる黒歴史の実態を克明に描いているところ。企業はもとより政治的な背景もあり、解明されなかった実態が一人の弁護士によって膨大な資料から導き出されていきます。そして、未だ続く訴訟の長さに企業が犯した罪の大きさを感じます。

生身の人間が人生をかけて挑む正義の代償は凄まじく、長きにわたる闘争により訴訟相手の企業はもとより被害者やボブ自身の家族の軋轢の中で自らの心と体を削りながら戦います。その正義の人の姿がリアリティを増し静かな感動を呼び作品となっています。

娯楽映画がずらりと並ぶ年末年始の映画界で異色の映画ですが、シリアルなヒューマンドラマも時に鑑賞して観ると意外な発見があると思います。

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映画 ディア・エヴァン・ハンセン

2021年12月10日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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トニー賞をはじめ、グラミー賞、エミー賞にも輝いたミュージカルの映画化作品「ディア・エヴァン・ハンセン」を鑑賞しました。

こちらも前の投稿で紹介した「少年の君」と同じように、いじめをテーマにした作品です。まったく異なる視点の映画ですが何といじめをテーマにしながらミュージカルに仕上げてしまったことが驚きでした。

タイトルにあるように主人公は、学校生活になじめない内気な高校生エヴァン・ハンセン。彼は心の病を抱えていてジュリアン・ムーア演じるシングルマザーと暮らしています。そのリハビリのために自分にあてた手紙が元で大きな事件に発展していきます。

その発端となる事件が、薬物中毒でリハビリから学校復帰したコナー。彼もまた学校になじめず独りぼっちの高校生活を送っていたのですが、ある日ハンセンが書いた手紙を奪っった後自殺してしまいます。その後家族が手紙の存在を知り、孤独のコーナーにハンセンと言う親友がいたと感じ違いしてしまいます。

手紙をきっかけに、学校中がコナーを追悼する運動へと発展してしまいハンセンは嘘を重ねてしまいます。ある日彼の手紙が世の中に知れることとなり、ハンセンのついた嘘が思いもしない方へと進んでいってしまいます。

重いテーマを軽やかな歌声で綴られる作品は、違和感を持つ人も多いと思いますが、この新しいスタイルは思わぬ形で成功したと思います。それは、今の時代のSNSの普及と繋がっています。実はいじめの中で、もっとも陰湿で加害者が痛みを感じない「無視」という行為が関わっているのですが、ミュージカル手法によってうまく入ってきます。

主人公ハンセンが犯した罪と罰とそして勇気を感じとってみてください。


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映画 少年の君

2021年12月07日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート作品の中国・香港合作映画「少年の君」を観てきました。

はじめに断っておきますが、中国に対する風当たりが厳しい社会状況ですので、この作品を歪曲して捉える方もいるかと思います。しかしながら、この作品はかなりの高評価をもって受け止めている映画ファンも多く、偏見なく見てほしいです。

舞台は、受験戦争真っ只中のエリート校。高校3生の少女がいじめを苦に校内で飛び降り自殺します。クラスメートのチェン・ニェンは、好奇の目が注がれる彼女に遺体に自分の上着をかけたことをきっかけに、いじめのターゲットになってしまいます。執拗ないじめは、学校外にも及ぶ中、偶然出会ったストリートで生きる不良少年シャオベイを助けたことで、シャオペイは彼女のボディーガードとなり、親しくなり彼の家で受験勉強に励むようになります。そんな中で、ある事件が起こりシャオペイに容疑がかかります。

エリート校に通うチェン・ニェンは、いかがわしい化粧品を出稼ぎで販売し借金をしながら生計をたてる母親と二人暮らし。シャオペイは幼い頃に母親と生き別れストリートチルドレンとして生きる不良少年、生活環境も違う二人が心を通わせながら過ごす純愛の世界が淡々と描かれていて哀しく切ないシーンが心を打ちます。また、いじめのターゲットにされながらも、自殺したクラスメートを救えなかったことで立ち向かう少女の姿と自らの立場を考えて陰のように寄り添う少年の行動に涙が止まりません。後半にサスペンス仕立ての結末にも、本作が事実に基づいた作品であることに驚き、作品の質の高さを感じました。

主役の女子高生を演じたチョウ・ドンユイは当時20代後半、あどけなさが残る彼女の容姿に加え純粋無垢な少女の演技には驚きを隠せません。また中国のアイドルグループのメンバーでもある少年役のイー・ヤンチェンシーも子役からの俳優歴も長く難しい役柄を見事に演じています。「君は世界を守れ、僕は君を守る」のセリフが今も胸に残り続けています。

少女と少年の孤独な魂が深い愛で結ばれた瞬間を感じ取ってください。きっとあなたも涙なしでは観れないと思います。


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映画 由宇子の天秤

2021年11月20日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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先日、映画ファンの中で高評価を得てロングラン上映されている春本雄二郎監督の「由宇子の天秤」を鑑賞しました。

物語は、フリーのドキュメンタリー監督の由宇子が女子高生自殺事件の真相を追う中で、塾講師の父親から衝撃の事実を聞かされます。テレビ局の軋轢を受けながらも真実を追求しようとする由宇子に突如ふりかかるもう一つの事件、由宇子の中の正しさが揺らぎ続ける中で、思いも寄らない事実が待ち受けています。

主演の由宇子を演じたのは「彼女の人生は間違いじゃない」や「火口のふたり」で主演を務めた瀧内公美、その父親には光石研、また今回の作品のもう一人の主役と言える女子高生には河合優実も瀧口や脇を固める実力派の俳優陣に引けを取らない演技でした。

ドキュメンタリータッチで進む内容に加え、父親として講師として信頼を寄せていた父への不信感、組織に属すことなく真実を伝えようと立ち向かってきた由宇子の正義が歪み始める様や事件の当事者や家族、親族をさえも巻き込んで進んでいく顛末を見事に描き切った力作です。父親から告げられた衝撃の事実を超えるラストの真実にも驚きました。

今後も全国各所で上映予定ですので、ドキュメンタリーと社会派人間ドラマとして、そして上質のサスペンスと見応えのある本作をぜひ鑑賞して観てください。

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映画 モーリタニアン黒塗りの記録

2021年11月08日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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9・11のテロで首謀者の一人とされた男の無実を晴らすために立ち上がった女性弁護士と軍側の弁護士の正義を求める姿を描いた事実に基づく映画「モーリタニアン黒塗りの記録」を鑑賞してきました。

9・11の同時多発テロの首謀者の一人とされ裁判もなく14年間拘束されたモーリタニア人の青年スラヒの無実を晴らすために戦った女性人権派弁護士ナンシー・ホランダーと軍側の弁護士でありながら軍の圧力に屈せず真実を明らかにしようとしたステュアート大佐を通して、アメリカの闇を暴く実話による内容です。

ナンシー・ホランダーを演じたジョディ・フォスターはゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞、黒塗りの記録から事実を暴いていく姿をクールに演じています。年を重ねるごとに、内なる情熱がにじみ出てくる姿には俳優としての凄みを感じます。また、軍側の弁護をになったスチュアート大佐を演じたヴェネディクト・カンバーバッチは2枚目俳優から渋さがまし、演技にも磨きがかかっています。そして主役の青年スラヒを演じたタハール・ラヒムは、訴追の権利を失い拷問と虐待が横行する孤島の刑務所の中で絶望からかすかな希望を得たことで再び立ち上がる青年を気負いなく演じていて好感を持ちました。決して派手な内容ではないですが、ストレートにアメリカの闇を感じる内容でした。

9・11の同時多発テロからブッシュ政権下以降アメリカ政府が犯した罪を暴いた作品が近年制作されています。自由の国アメリカの闇と真正面から戦った人々たち、正義を貫く人々の行動は称賛に値します。そうした人々により闇は光となることを感じます。


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映画 燃えよ剣

2021年11月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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新選組副長、土方歳三を中心に描かれた司馬遼太郎原作「燃えよ剣」を原田眞人監督、岡田准一主演の映画「燃えよ剣」を鑑賞

ドラマではよく描かれた新選組。しかしながら新選組局長、近藤勇や幕末の志士として人気の高い坂本竜馬は主役として描かれても、副長、土方歳三を主役として描いた作品はなかったように思います。原田監督自身も、そこを強く意識して今回の映画を制作されたそうで、今や原田時代劇においてなくてはならない存在となった岡田准一を土方に備え、新選組の誕生から函館戦争まで描き切った見事な内容でした。サイドストーリーとして土方の内縁の妻お雪を柴咲コウが演じ土方や新選組を陰で支えた女性の生き様も描かれており女性ファンにも楽しめる内容です。

さらに、岡田准一の殺陣は見事で時に荒々しく時に流麗に随所で剣術を披露しています。今回の原田作品は比較的若手の起用が目立ち個性的です。鈴木亮平の近藤勇、沖田総司の山田涼介は正に適任でしたが、中でも僕の目に留まったのは吉本出身の金田哲が藤堂平助を演じ、商人での才覚を生かして密偵として活躍する山崎を村本大輔が演じているのですが、村本の演技が目を惹きました。

この映画を観れば新選組の全貌がつぶさに理解でき、若き幕末の志士たちの活躍を楽しめる作品です。

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