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65オヤジのスタイルブック

65才茶々丸のスタイルブック。様々なカルチャーにふれて養ったライフスタイルを紹介

映画 ニワトリ☆フェニックス

2022年04月24日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、かなた狼監督、井浦新&成田凌主演のニワトリ★スターから4年、続編作品「ニワトリ☆フェニックス」です。

井浦新と成田凌の普段の役柄は想像できないキャラクターで人気を博したニワトリ☆スター。今回はコロナ禍の中でインスタから再び再燃した続編を異なるストーリーで構成されたロードムービーとなてます。

ニワトリ☆スターでは、年の離れた幼なじみの草太と楽人。前作では成田凌演じる楽人の死でエンディングを迎えましたが、今回はヤクザの売人から足を洗おうとする楽人からの誘いで久しぶりに再会した二人が伝説のフェニックスを探しにいくロードムービーです。前作の出演者が異なるキャラクターとして登場、さらに重要な役割となる紗羅マリー演じる謎の花嫁が登場、二人の間に起こった未来を綴ります。

前作に比べ、ファンタジックな世界とバイオレンスな世界が共存することなく、旅の途中で出会う奇々怪々なキャラクターと奥田瑛二と火野正平が登場させちょっぴり泣かせる内容にもなっています。ラストでは「カメ止め」的な演出により物語の中にある関連性もあり、観る方は最後まで席を立たないでください。

ニワトリ★スターはプライムビデオでも鑑賞できますので、今回の作品の予習と展開の違いを確かめて観るのも良いかと思います。

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映画 アネット

2022年04月12日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画デビューはアダム・ドライバー&マリオン・コティヤール主演、カンヌで監督賞を受賞のレオス・カラックスのロック・オペラ映画「アネット」です。

監督の過去作品は鑑賞してないのですが、アダム・ドライバーとマリオン・コティヤールの共演に2011年のカンヌ監督賞とミュージカル作品として高評価もあって鑑賞することに。冒頭にクレジットと監督の言葉「息すらも止めてご覧下さい」の呼びかけにドキリとさせるスタート、すべてのセリフが歌でド直球の構成ですが、物語はとてもダークな内容となっています。

アダム・ドライバー演じるスタンダップコメディアンのヘンリーとマリオン・コティヤール演じるオペラ歌手のアンは婚約発表に結婚とメディアの注目を浴び続けますが、アネットの誕生によりダークなおとぎ話が展開されるという内容です。

コメディアンとオペラ歌手と言う異色のカップルですが、ヘンリーはブラックユーモア、アンは死をテーマにしたオペラ歌手の共通点があり、アネットの誕生で二人の価値観が変化していきます。ストリーはいたってシンプルですが、アネットの存在がラストまで人形になっており、その存在自体が不気味でダークな世界をさらに強調しています。また、エンターテーメントの世界を舞台にしているので、華やかさの中にある虚無感がさらに増幅します。

ネタバレすると作品のダークなイメージが損なわれるので言いませんが、製作に参加しているアダム・ドライバーの存在感はすごいです。この作品のためにレッスンを重ねたコティヤールの声もすばらしいです。そして何より糸のないあやつり人形のようなアネットの存在がなければ、この作品は成立しないなと感じました。

ロックオペラとして十二分に楽しめる作品ですのでミュージカル好きな方には一種異様な世界をぜひ楽しんでほしいなと思います。


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映画 ガンパウダー・ミルクシェイク

2022年04月09日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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今回の映画レビューは、タランティーノ監督絶賛のイスラエル監督が送る痛快アクション巨編?!「ガンパウダー・ミルクシェイク」です。

前作の「オオカミは嘘をつく」でタランティーノ監督から大絶賛を受けたナヴォット・パプシャド監督、僕は観てないんで何とも言えませんが、前作は意外と酷評が多い。でも、ビジュアルを観て一目ぼれした本作はそんなの関係なく鑑賞、結果楽しかったの一言です。

ストーリーじゃ、カレン・ギラン演じるサムは暗殺組織の属するスナイパー。かつての組織の一員だった母レナ・ヘディ演じるスカーレットがヘマして行方不明になってます。サムもターゲットの娘を匿ったことで、組織に追われてしまいます。サムは、母親の同僚で育ての母親たちでもある引退した図書館員のお姉さまたちに助けを求め、結託していた依頼者のマフィア組織と抗争を繰り広げることになります。

前作は、シリアスなクライム・サスペンスのようですが、今回の作品はカラフルでポップ、キュートなスナイパーたちによるクールなアクション展開のこちらの方がタランティーノ監督好みかなと思います。主役のサムのスタイルもスカジャンスタイルで、なんかキルビルばりアジア観たっぷりです。ちなみに女性のスカジャンスタイル好きです。

脇を固める図書館員お姉さまも、アクションには定評あるワールドワイドないい女。母親は高慢と偏見のゾンビのレナ・ヘディ、図書館員のお姉さまたちには、スパイキッズシリーズのカーラ・グギーノ、香港アクション界のレジェンドスター、ミシェル・ヨーにマルコムXをはじめ多数の映画に出演するレジェンド・黒人女優のアンジェラ・バセットとアラフィフ、アラセクのお姉さまたちがほれぼれする大活躍です。さらにターゲットの娘エミリー役にはアバターのクロエ・コールマンが、これまた天才子役ぶりを存分に発揮してます。

また、今回の映画に使われた曲もグッド!プラターズにアニマルズ、ジャニス・ジョプリンなど名曲ぞろい、アクションと共に楽しめます。

痛快、爽快、ミルクシェイクの甘さは控えめに、強炭酸の超刺激的なガンパウダーミルクシェイクぜひ体験してみてください。

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映画 オートクチュール

2022年04月06日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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ディオールの全面協力によるオートクチュールのメゾンで生まれるヒューマンドラマ「オートクチュール」です。

フランス社会にある移民問題から数々のヒューマンドラマが生まれたフランス映画、上流階級の男と移民青年の友情を描いてヒットした「最強のふたり」が代表作としてあげられます。最強のふたりりは実話に基づくものでしたが、今回の作品は、フィクションですがオートクチュールのファッションの未来を感じる作品でした。

舞台は、ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者のエステル、彼女は次のコレクションで引退が決まっている。ある日地下鉄でカバンを盗んだ少女ジャドの指を見てメゾン見習いとして迎え入れます。エステルにもジャドにも家族の問題を抱えながら、対立を繰り返しながら、時に母子のように、時に師弟のような人間関係を築いていきます。

主演のエステルを演じるのはヌーベルバーグのスタートして名高いナタリー・バイ。ダンス学校出身でニューヨークでバレエを習得した彼女のしなやかな指の動きや立ち振る舞いにメゾンを長きにわたり支えたお針子の気高き女性を感じます。ジャドを演じたリナ・クードリはフレンチディスパッチでティモシー・シャラメと共演した若手の有望株の一人、彼女の出生にアフリカ系移民としての配役もはまり、若い才能を引き出そうとするエステル不器用だけど純粋な姿と家庭の問題や貧困の中で選択肢がなかったジャドが、初めて手にする仕事への好奇心と情熱が生まれていく姿に感動します。

女性監督のシルヴィー・オハヨンは幼少期を移民が住むパリ郊外の大型団地出身で、彼女の自伝的な側面がうまく生かされているそうで、移民問題と親子関係がテーマになっています。また、前述した通り、ディオールの1級クチュリエ―ルがアドバイザーとしてオートクチュールのメゾンの舞台裏を徹底指導しています。また、ディオールの歴史遺産ともいえる衣装提供やムッシュ・ディオールの最初の古典的なアトリエを再現して映画に彩を添えています。

とにかく、出演者の人間的な美しさが生み出す最高級のオーダーメードの美しさを堪能しながら、感動的なドラマ展開を楽しんでみてください。


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映画 ロスト・ドーター/ Netflix

2022年04月02日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、マギー・ギレンホール初監督作品でオリビア・コールマン主演のネットフリックスオリジナル作品「ロスト・ドーター」です。

 

今回の作品は、アカデミー賞に主演女優、助演女優、脚本の3部門にノミネートされ、クレイジー・ハートなど女優として活躍するオリビア・コールマンの初監督作品で、脚本も手掛けベネチア映画祭で最優秀脚本賞を受賞しています。

今回のアカデミー賞でもオリビア・コールマンが「女王陛下のお気に入り」に続く2度目の主演女優賞の最有力と言われてました。結果はジェシカ・チャスティンのオスカー獲得となりましたが、その演技力は流石だなと思う作品でした。

物語は、海辺のリゾートにバカンスに訪れた中年女性レイダー。ビーチでのトラブルをきっかけに、自らの過去が蘇り恐怖と混乱に陥っていくサスペンスドラマです。若き日のレイダーはジェシー・バックリーが育児に追われストレスを抱える大学の助手役で、母と仕事、女性として感情を揺らぎを見事に演じきり助演女優賞にノミネートにふさわしい演技でした。

脚本としても気難しく意志を曲げないレイダーが、無くした人形により過去をフィードバックし、レイダーが抱える心の闇が徐々に明らかになりスリリングな展開を望んでいましたが、ラストで僕の期待を残念ながら裏切ってくれましたが、女性監督らしい視点だからこその観点だと思い納得がいきました。

今回ネットフリックスが、アカデミー賞にノミネートされながら「パワー・オブ・ザ・ドッグ」でのジェーン・カンピオンの監督賞のみの受賞に終わりましたが、重厚で人間的な作品がノミネートされネットフリックスの方向性が垣間見れ、作品賞受賞の日も近いかと思います。

ともあれ今回の作品は、女性なら共感を持つ作品として評価されると思います。男性も女性に抱える問題に目を向け理解する作品として観てはどうでしょう。


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映画 THE BATMAN-ザ・バットマン-

2022年04月01日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、史上最高のバットマンの呼び声高いロバート・パティンソン主演の「THE BATMAN-ザ・バットマン-」です。

2019年のホアキン・フェニックス主演でジョーカー誕生の過程を描き話題となった「ジョーカー」その狂気の演出には誰もが衝撃を持ったと思います。今回の作品は、ジョーカーと同じくバットマンの持つ過去に肉薄しながら、事件とリンクしていくバットマンの過去の闇に迫る内容です。

両親を殺された青年ブルース、夜になるとバットマンとなって犯罪者と対峙してきた。二年後権力者を標的とした猟奇連続殺人事件が発生し、ガスマスク姿のリドラーが犯行を明かす。リドラーは、現場に「なぞなぞ」を残し、警察当局をバットマンを挑発する。次第に権力者の過去とバッドマンの過去が明らかにされ、ラストにゴッサムシティ全土を巻き込むテロが発生します。

今回のバッドマンは、両親を奪った犯罪者への復讐心をむき出しにする、過去のバットマンとは異なるダークなイメージでロバート・パティンソンの影のあるブルース=バットマンを演じてます。一方でリドラーを演じるポール・ダノの覆面顔と素顔のギャップが何とも言えず、リドラーの持つ過去にぴたりとはまるキャラクターでした。

強力な武器を身に着け、超人的な活躍をする過去のバッドマンと違い、アクションも含め、どこか生身の人間の限界を感じながら悪と対峙するバットマンの姿は、前作の次第に猟奇的な男へと変貌していくジョーカーと相通じる部分があり、サスペンスドラマとしてよくできた作品でした。

バッドマンとジョーカーが対峙するときに生まれる化学反応が楽しみなってきました。次回作を大いに期待しましょう。

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第94回アカデミー賞・総評

2022年03月29日 | 【映画・ドラマ・演劇】

アカデミー賞・作品賞に「コーダ あいのうた」…「ドライブ・マイ・カー」は受賞ならず : 映画 : エンタメ・文化 : ニュース : 読売新聞オンライン

昨日第94回アカデミー賞が発表されました。日本ではもっぱら濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」の話題と主演男優賞を獲得したウイル・スミスのビンタ騒動でもちきりですが、僕にとっては、評論家筋の下馬評を覆し「コーダあいのうた」が作品賞でオスカーを獲得したことが一番うれしいです。また、助演男優賞で聾者俳優のトロイ・コッツアーの受賞したことが何よりの喜びでした。

僕のレビューでも、ひそかに「コーダあいのうた」が作品賞を取ってほしいと期待してましたが、アカデミー賞の現傾向を考えると「パワー・オブ・ザ・ドッグ」や「ベルファスト」のどちらかが有力だと思ってました。僕もですが発表を聞いて鳥肌がたちました。結果、脚色賞も含め三部門を獲得となりました。

本命視された「パワー・オブ・ザ・ドッグ」と「ベルファスト」はそれぞれ監督賞と脚本賞にとどまりました。また、撮影、編集、音響、視覚効果の4部門を受賞した「DUNEデューン砂の惑星」や国際長編映画賞の「ドライブ・マイ・カー」は順当な受賞でとるべき作品が取った感じがします。また、ウイル・スミスの主演男優賞やアリアナ・デボーズの助演女優賞も予想通りの結果だったと思います。また、ジェシカ・チャスティンの主演女優と長編ドキュメンタリー賞の「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」のオスカー獲得は個人的にはうれしい結果です。

本年度作品賞の「コーダあいのうた」はオリジナル制作でのネット配信初の受賞として話題となってますが、アップルTV+の受賞で、ノミネート数で上回るネットフリックスも成し遂げてない快挙です。次年度以降のネットフリックスの勢いが止まることはないと思いますが、アカデミー賞に革命を起こしたネットフリックスが果たして作品賞オスカー獲得なるか今後注目したいです。


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映画 ナイトメア・アリー/アカデミー賞作品賞予想

2022年03月27日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞作品賞ノミネート作品レビュー最後は、ギレルモ・デル・トロ監督の「ナイトメア・アリー」です。

シェイプ・オブ・ウォーターでオスカー監督となったギレルモ監督、魚人との恋愛を描いた美しくも儚い作品でした。今回の作品はオリジナルではなく、1946年に出版されたノワール小説を原作にブラッドリー・ジョーンズ演じる野心的な男スタンがカーニバル一座の興行で読唇術を学び、成功をおさめながらもやがて転落へと進むサスペンススリラーになっています。

主演のブラッドリーの他に座長役にウイレム・デフォー、一座の一員で後にパートナー役にルーニ・マーラ、心理学者役にケイト・ブランシェットなど豪華な俳優陣が顔を揃え、ノスタルジーな時代を舞台に主人公に絡み合っていきます。前半から中盤にわたって、長尺な作品で間延びするシーンで、観方によっては退屈な部分もありますが、ラスト30分の衝撃的な結末の伏線となり、意味を持っていることに気づかされます。

この作品の鍵を握る存在として心理学者リッター博士を演じたケイト・ブランシェットの謎めいた妖艶さが光ってました。ブラッドリーもダンディーな野心家の主人公を演じていますが、そうした男に共通するどこか田舎っぽい雰囲気もブッラドリーのキャラクターに合ってました。

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さて、ノミネート10作品のうち公開された9作品を鑑賞しての作品賞の予想ですが、大半な予想では、パワー・オブ・ザ・ドッグが有力でしたが、ここに来て僕の気持ちの中に「ベルファスト」が急浮上してきました。それは、ネットフリックスオリジナルへの反動とロシアのウクライナ侵攻が絡んでいます。

自信よりも個人的な感想として「ベルファスト」が強く印象に残り今の社会に強く影響を与えそうな雰囲気がありました。監督賞は、ここ数年の傾向として女性監督やマイノリティー監督が受賞してるので作品の評価と共にジェーン・カンピオンが受賞すると思ってます。

作品を観ての個人的な評価としては、主演男優賞はベネディクト・カンバー・バッチ、主演女優賞は、マイ・ドーターのオリビア・コールマンと観ていますが、評論家の下馬評では、ウイル・スミス、タミーフェイの瞳のジェシカ・チャスティンが有力と見られてます。

ともあれ、28日午前9時からスタートのアカデミー賞授賞式が楽しみです。


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映画 ベルファスト

2022年03月26日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞作品賞ノミネートレビュー、今回はケネス・ブラナー監督の北アイルランドの激動の時代を生きる少年の成長を描いたモノクロ作品「ベルファスト」です。

物語は、北アイルランドのベルファストで暮らす少年バディとその家族の絆を描いたもので、監督自身の実体験がベースになっています。皆さん御存知の通り、北アイルランドは英国を構成する国にあたるのですが、イギリスがプロテスタントに対して、北アイルランドではカトリック教徒も多くたびたび対立が起こっています。そして今回の映画では、1969年に起こったプロテスタントの過激グループによる暴動により町が分断され、対立の中で翻弄される子供たちと家族の日常が舞台となっています。

バディの家族は、イギリスに出稼ぎで度々不在となる父とバディと兄のふたりの子供を支えている母と祖父母で、プロテスタントの家系ですが、ベルファストのカトリック教徒の家族とも仲が良く対立を望んでいません。バディはクラスメートのカトリック系の少女に恋をしていて、成績順で決まる席替えで彼女と同じ席に並ぶのが目標でバディはバリケードを抜け、学校生活を楽しんでいます。

作品は、日常と暴動による非日常を同時に描きながら、バディの両親や祖父母との会話を通して、愛の大切さと人間の良心を歌い上げています。そして何より家族の問題を抱えながらも、子供たちに時にユーモアを交えながら、時に厳しく躾けながら人間として尊厳を示しているところが、とても素晴らしいです。

今世界は、ロシアのウクライナ侵攻により混乱の時期ですが、ベルファストのような人間の良心に訴える作品がノミネートされたことは、とても意義あることです。戦争により日常が奪われ、子供たちの未来が奪われることこそ不幸なことはないです。バディの家族のような心の連帯が今問われているのでないかと思います。


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映画 DUNE/デューン 砂の惑星

2022年03月22日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞作品賞ノミネートレビュー、今回はブレードランナー2049やメッセージの監督が再映画化した「DUNE/デューン 砂の惑星」です。

DUNEに関してはあまり知識のない僕ですが、過去に鬼才ホドロスフスキーの幻となったことや、世紀の失敗作と言われたデビッド・リンチの作品などどちらかと言うと負のイメージがあったことやスターウォーズに代表されるSFアドベンチャーには興味がなくて、ドゥニ・ビルヌーブ監督のブレードランナーやメッセージは観てるので、今回は発売間もないことでDVDで視聴となりました。

内容は人類が地球以外の惑星に移住し、それぞれが帝国を築いていて利害関係と裏切りにより、帝国の王である父すぉ殺害された息子と母が命を狙われることで逃亡するというもの。王の息子役は最近人気沸騰の出演作が多いティモシー・シャラメが甘いマスクで登場します。

内容はシンプルだけど、この手のSF作品は時間経過がスローで読み取りにくいところがあります。そんな理由で序盤から中盤は作品に入り込めず、終盤になってようやく回復した感じで、この手の作品が好きな方には申し訳ないですけど、僕自身あまり、刺さりませんでした。

作品賞を含め10部門でノミネートされてるので、どこかでオスカーを獲得するとはお思いますが、作品賞は難しいかなと思ってます。


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映画 ドリームプラン

2022年03月18日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞作品賞ノミネート作品レビュー、今回は、ウイル・スミス主演、史上最高の女子プロテニスプレーヤー、ビーナス&セリーナ・ウイリアムス姉妹を育て上げた父親を描いた実話映画「ドリームプラン」です。

女子プロテニス史上最高のテニスプレーヤーであるビーナスとセリーナ姉妹。二人の成功の陰には、独学でテニスを学び姉妹を鍛え上げた父親と母親の存在があったことを、詳細に描いているのが今回の作品です。78ページにも及ぶ計画書をもとに実行する父親、型破りに見える行動と子供に向けられる愛情は平等で二人以外の子供たちにも、それぞれの適正を見極めながら育んでいることが、よくわかります。

また、厳しいトレーニングをしながらも、決して体罰はなく、また主人公の幼少期をからの差別やスラム街でのギャングなどの少年犯罪から子供たちを守る姿には感動しました。また、独善的でも夫を陰に日向に支えながら時に自分の意見をしっかりと持ち対立をおそれない妻の姿にも、ウイリアムス家族の絆の強さを見ました。

キャスティングは、やはりウイル・スミスの個性が際立ちますが、ビーナスとセリーナを演じたサナイヤ・シドニーとデミ・シングルトンのプレーぶりと実在の姉妹そっくりな雰囲気も魅力的な部分です。

よくある実話に基づくスポ根ドラマ的な作品だと思っていたこともあり足が遠のいていましたが、ノミネート作品になったので遅ればせながら鑑賞してきました。僕の周りでもとても評判が良かった本作でしたが、評判通りの出来栄えでした。しかし、残念ながらウイル・スミスだからこそできた感が否めずおそらくは受賞は難しいかなと思います。ただ社会的な側面も多く持つ作品でもあるので、個人的には好印象の作品であることは確かです。


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映画 パワー・オブ・ザ・ドッグ - Netflix

2022年03月17日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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3月28日のアカデミー賞2022の発表まで作品賞(9作品のうち8作品鑑賞可能)ノミネート作品完全レビュー。今回はネットフリックスオリジナル、ジェーン・カンピオン監督、ベネディクト・カンバーバッチ主演のヒューマンミステリー「パワー・オブ・ザ・ドッグ」です。

カンヌでパルムドールを受賞し、本作でもベネチアでの銀獅子賞を受賞したオーストラリアの女性監督が、トーマス・サページの自伝的小説をベースに脚本監督、1920年代のアメリカモンタナ州の牧場を舞台にカンバーバッチ演じる無慈悲で横暴な牧場主フィルと弟ジョージ、ジョージの元に嫁いだ未亡人ローズと連れ子のピーターとの関係を章ごとに描いています。

大牧場を営むフィルとジョージは、放牧の途中で止まった宿の未亡人ローズと出会い、彼女を見初めたジョージはローズと連れ子のピーターを家族として迎え入れます。二人をよく思わないフィルは、ことあるごとに冷酷な仕打ちを行います。居心地を悪いローズは心身を患い、ピーターもフィルを避け無視しますが、ある出来事によりフィルとピーターの距離が近づいていきます。

そんな二人をよく思わないローズは、彼の意向にそぐわない行動を起こしてしまいます。その行動が発端となり予想だにしない結末へと進んでいきます。

常々思うのですが、マーベルヒーローよりも屈折した男を演じるカンバーバッチの演技は秀逸で、男らしいカーボーイの姿とは異なるフィルの真実が牛の皮をはぐように徐々に明らかになるのところが、この作品の肝だと思ってます。そしてXmenのミュータント役で有名なコディ・スミット=マクフィーの華奢で中性的な少年ピーターとの絡みも緊張感があり、フィルの人間像を深めています。

ここ数年、マイノリティーをテーマにした作品がオスカーを獲得する状況下でもっともオスカーに近い作品ではないかと手ごたえを感じる映画でした。


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映画 ドント・ルック・アップ - Netflix

2022年03月16日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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アカデミー賞2022のノミネート発表されました。今年は作品賞に日本映画のドライブ・マイ・カー」がノミネートされ、いつも以上に盛り上がってます。また、ここ数年の傾向ですがネットフリックスオリジナル作品が数多くのノミネートされ、今後もこの流れは変わらないと思います。ネットフリックスは映画ファンにとっても欠かせないものになってますね。

そこで、3月28日の発表まで以前公開された作品と3月25日から公開の2作品を加えて作品賞を中心に紹介していきます。

作品賞のノミネート作品は10作品、夏に公開予定のポール・トーマス・アンダーソン監督の「リコリス・ピザ」以外の9作品は発表までに鑑賞可能です。すでにレビューにて紹介した作品もありますが、発表まで9作品すべてレビューして発表前に予想をたてたいなと思ってます。

今回のレビューは、レオナルド・ディカプリオとジェニファー・ローレンスが主演に加え、豪華俳優陣が集結したSFブッラクコメディ「ドント・ルック・アップ」です。

ネットフリックスオリジナル作品で12月から配信されている本作、ディカプリオ演じる天文学者とローレンス演じる教え子が巨大彗星が地球に迫っているのを発見、メリル・ストリーブ演じるアメリカ大統領に危機を進言するのですが、政府やマスコミ、巨大IT企業の思惑が絡み、思わぬ方向へと進むブラックユーモアたっぷりのドタバタ劇になっています。

豪華な俳優陣がおバカぶりを発揮しているところが何とも楽しい作品ですが、ふと現実に戻ると地球滅亡の危機が迫っているのに、おい大丈夫かと突っ込みたくなる内容です。監督は「マネーショート・華麗なる逆転」や「バイス」のアダム・マッケイ。さすが、リアルをコメディに昇華し、観る者をある種の恐怖に陥れていく監督ならではの手法が見事でした。豪華な俳優陣が繰り広げるコメディ大作ですので、ぜひ楽しんでみてください。


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映画 ウエスト・サイド・ストーリー

2022年03月14日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、スピルバーグ監督による「ウエスト・サイド・ストーリー」です。

あのスピルバーグがミュージカルの傑作で1961年に映画版が公開されヒットした「ウエストサイドストーリー」を60年後に映画化?何でって感じでなかなか観る気にはなれませんでした。と言うのも僕が生まれる前からあり、映画は何度もリバイバルで上映される名作に巨匠スピルバーグなぜ挑むのか?ほぼ理解不能状態だったからです。しかし、スピルバーグ作品を敬愛する自分がためらっていてどうすると意を決して鑑賞しました。

物語は、ニューヨークウエストサイドで対立するポーランド系不良青年のグループジェッツとプエルトリコ系の不良青年グループシャークス。ジェッツの元リーダーとシャークスのリーダーの妹が恋に落ちたことで対立が激化し、お互いのリーダーの死により二人の恋は悲恋の結末を迎えると言うものです。そうした抗争劇をダンスと歌で彩る異色のミュージカルともいえます。

今や現代版ロミオとジュリエットとは言えない年月の本作、舞台は設定もまったく同じです。しかし、初っ端から立体的なカメラワークで展開されダンスシーンも多角的に撮影され迫力満点です。映画だからこそのできる大胆な演出ともいえます。字幕版と吹替版が公開されてますが、おそらくはイメージとして変わらないものだったと思います。よくよく考えたら映画のあらゆるジャンルも凌駕していたスピルバーグにとってミュージカルは初、しかも不滅の名作ともいえる「ウエスト・サイド・ストーリー」に挑んだのも納得できます。

半世紀を超えて、たとえ名作であっても世の名では忘れされつつある存在を映画ファンのみならず世間一般にも認知されているスピルーバーグだからこそ可能であり名作の灯を再び燃え上がらせてくれたと感じる作品でした。

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映画 ゴヤの名画と優しい泥棒

2022年03月05日 | 【映画・ドラマ・演劇】

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本日の映画レビューは、名作ノッティングヒルの恋人の監督の遺作となる、事実に基づくヒューマンドラマ「ゴヤの名画と優しい泥棒」です。

職業柄、名画にまつわる作品はよく鑑賞しますが、今回の作品は1961年にイギリスで起こった名画盗難事件を描いたもので、ゴヤの作品を脇役にしたものです。

主人公は長年妻と連れ添い年金と妻のヘルパーの収入で生活しているケンプトン。年金生活者にとって唯一の娯楽であるテレビを視聴料が払えず苦心している。ある日、イギリスの英雄ウエリントン公爵を描いたゴヤの名画を身代金に年金生活者の視聴料にあてることを計画します。

この名画は、ナポレオンから2度救った英雄ウエリントン公爵を描いたもので、スペインも救ったことからゴヤが描いたものですが、そこは宮廷画家らしからぬゴヤの作品が反映されていて、公爵自身が気に入らずこの絵を手放し、周りまわって1億4千万で買い取りロンドンナショナルギャラリーにお披露目となります。その19日後に盗難事件がおき、当初は国際犯罪組織の犯行と思っていた当局も、ケンプトンの犯行声明により知ることとなります。

物語は、退役軍人でもあった正義感が強く、どんな人にも平等なケンプトンと彼を慕う息子、彼の性格に悩みながらも献身的に働く妻、そして17歳で事故死した長女と家を出た長男の人間模様と犯行の過程を中心に描かれていて、当時の労働者階級の抱える貧困が貧しくも明るく描かれています。

中盤では、ケンプトンの裁判の模様が描かれますが、彼のユーモアを交えて犯行の経緯が語られ次第に彼の魅力に市民が揺り動かされています。そして彼に下された判決が成熟したイギリスの民主主義を感じました。そして、終盤には新しい事実が語られ物語は更に感動のエンディングとなります。

夫婦を演じたのはイギリスの名優、ジム・ブロードベントとヘレン・ミレン。二人の名演があってこその作品だと強く感じるものでした。特にヘレン・ミレンの演技を知る人には驚きを隠せないと思います。ノッティングヒルの恋人の監督であるロジャー・ミッシェルは、この作品を取り終えた後に65歳で急逝され今回の作品が遺作となりました。監督の作品へのインタビューを観ると、この作品がいかに魅力的であることがわかります。

誰もが笑い、泣き、心揺さぶられる作品であることは間違いありません。今年絶対に観るべき作品と断言しておきます。偏屈で心優しい市井の男が起こした奇跡を体験してみてください。


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