2月16日は、金正日の誕生記念日「光明星節」です。
今年は75回目、「整周日」ということで
かなり派手なイベントなどをたくさん用意して盛り上げようとする模様です。
もちろん、その分、住民への上納・労力など強制するのも増えて
住民たちの負担は大きくなります。
お金を強制募金したり、イベントの現場作業などへの労力動員などは
いつものものですが、
公開された色々なイベントの中で一番かわいそうで意味もないと思ったのが、
青少年・青年部隊による「行軍」でした。
「朝鮮中央通信」の報道によれば、
2月16日の光明星節を2週間前として
全国の青少年たちが「踏査行軍隊」を組織し、
金正日の生家と宣伝される両江道・三池淵郡への「行軍」を始めたということです。
「踏査」というのは、
もちろん金正日が生まれたという家を歴史的な名所として訪問するといった
金正日偶像化の一環だと思われますが、
「行軍」は、簡単に言って「徒歩」です。
軍人の場合、行軍に必要な食糧や道具、銃などいわば軍装を背負って歩くのです。
今回の行軍のコースなら1~2週間もかかりそうです。
しかし、両江道は朝鮮半島の北端にある地域で
真冬のこの時期の寒さは尋常ではありません。
私の家族が「成分不良」で強制追放されて暮らしたところが、まさに両江道。
私も山菜や松ヤニ、焚き物の採取課題をするために
両江道の山の中を歩き回ったことが多いのですが、
2月は数時間歩くだけで手足がすっかり冷え込んで
凍傷になったこともあります。
青少年たち以外にも青年同盟、青年軍人など色んなクラスで行軍隊が組織されて
合わせて1万人を超えるようですが、
なんで、こんなに多くの若者たちが
こんなに寒い中そこまで歩いていかねばならないのかという感じです。
労力の無駄遣いとしか思えません。
それに、正直、両江道・三池淵郡で金正日が生まれたというのもウソです。
以前「ハフィントンポスト日本版」の記事でも話しましたが、
金正日は両江道・三池淵郡で生まれたのではなく、
ロシアのハバロフスクで生まれました。
しかし、金日成が白頭山で抗日武装闘争をしたと宣伝されていたので、
金正日も白頭山系統を継いでいると主張するために、
白頭山のある山奥の家を「白頭山秘密野営地」とでっち上げて、
そこで金正日が生まれたと宣伝するようになったわけです。
既に死んだ金正日を礼賛するために、
ウソの場所まで前途有望な若者たちが徒歩で歩いて行く…
世界一意味もなく、可哀想なことだと思いました。
ウソにウソを重ねて、金氏3代を偶像化しようとする北朝鮮政権にとっては、
光明星節は偶像化+各種搾取にいい名分になるでしょうが。。。
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「北、光明星節イベント派手に準備」
2017-02-03 (RFA、自由アジア放送)
北朝鮮当局が金正日国防委員長の75回目の誕生日を記念する慶祝行事を派手に準備しているということです。白頭山と金正日の生家のある両江道(ヤンガンド)では、行事に必要な燃料の費用まで住民に押し付けていると消息筋たちは批難しました。
今年2月16日は、北朝鮮が「光明星節」と呼んでいる金正日誕生記念日が75回目となる日です。北朝鮮は今年の「光明星節」慶祝行事を金正日の故郷とされる両江道・三池淵(サムジヨン)郡で準備していると両江道現地の複数の消息筋が伝えてきました。
ある消息筋は「光明星節75回目の慶祝行事を徹底的に準備しろという中央の指示があって、両江道住民たちは既にあれこれ急かされている」「光明星節の行事を保障するため各世帯からお金と燃料を取れ立てている」と話しました。
また「金正日の誕生日行事が行われる両江道・三池淵郡に行くためには両江道・恵山市を必ず通る。今年は光明星節の「整周年」になる年で例年より行事を仰々しく用意していて住民の負担も増えた」とも語りました。
「光明星節」を迎えて平壌では「中央記念慶祝大会」が開催される予定で、10日間「金正日画展示会」も行われるなど、金正日の誕生日の2月16日の前に平壌市の複数の劇場では中央芸術家らによる総合公演も予定されていると消息筋は伝えました。
消息筋は「平壌市と、金正日が生まれたとされる両江道・三池淵郡の「白頭秘密野営地」生家では青年同盟踏査行軍隊の「忠誠決議の会」と花火イベントもある予定。三池淵郡の入り口になる「白頭館」の前で「こおり祭り」も開かれる」と説明しました。
これと関連し、両江道の別の消息筋は「2月5日頃に青年同盟‘白頭密営踏査行軍隊’が恵山市に到着する。彼らは恵山市で一泊して一週間の日程で歩いて三池淵郡に着く予定だ」と話しました。
青年同盟踏査行軍隊は一度に3千人規模で3回、年に1万人が動員され、これとまた別に青年軍人踏査行軍隊も3千人来る予定だが、寝食に関しては、現在冬休みで空いている恵山市の小学校に分けられて解決するとのことです。
消息筋は「2月1日から始まった「先進化展示会」に出す作品の費用として工場企業所の従業員たちは北朝鮮ウォンで6千ウォンずつ上納したし、踏査行軍隊の寝食時に必要な燃料確保の名目で各世帯に1万5千ウォンずつ強制的に負担させた」と当局の強制募金を批難しました。