北朝鮮を離れて自由へ ★イ・エラン★の自由ブログ

いわゆる「脱北者」のおばちゃんです。
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副作用が相次ぐ金正恩の統治政策―恐怖統治・偶像化

2017-02-06 18:35:58 | 北朝鮮の虚像

先週、北朝鮮で脱北や住民の反体制活動を監視する

国家保衛省の長官の粛清疑惑が浮かび上がってきました。

 

今日までのニュースを総合したら、

地方で強度の革命化教育(思想教育)を受けていると見られますが、

専門家らは、保衛相みたいな重大な官僚を、

しかも、張成沢の処刑を主導した側近中の側近まで

容赦なく、いきなり粛清することは、

金正恩の権力はさらに強くなり独裁支配は強まるかもしれないが、

幹部の間に忠誠心競争とそれから招かれる暗闘、そして恐怖心を助長して

結局、体制不安定につながる副作用あると診断しています。

 

過激で極端な政策に突っ走っている金正恩ですが、

やはり、世の中の全て、やりすぎは副作用を生みます。

 

 

金正恩の焦りの表れなのか、

本人の偶像化も昨年末から一段とエスカレートした模様ですが、

これも過欲のせいで、自分の弱みをバラしてしまう愚を犯す可能性があるそうです。

 

先週、韓国版の「Daily NK」のニュースからです。

 

 

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Daily NK 韓国版 2017年2月2日付

 

「金正恩の偶像化過欲、‘統治正統性'への疑問増幅する悪手に」


専門家「白頭血統・人民愛強調、かえって金正恩偶像化に逆効果」

 

北朝鮮の金正恩が執権6年目に入って本格的に本人の偶像化作業に拍車をかけようとしているが、白頭血統やカリスマ、人民愛を強調する宣伝方式がかえって体制を揺さぶる駄目詰まり手になりうるという診断もある。自分の存在を先代と同等なレベルに引き上げると欲張ることがかえって統治正統性に対する疑問を増幅させる副作用を招きかねないということです。
実際、執権5年間、金正恩が矛盾だらけの偶像化を進めてきたという見方が多い。代表的に血統宣伝がある。金正恩は自分が金日成・金正日を受け継いだことを誇示するために白頭血統を持続的に強調してきており、今年8月の「2017白頭山賞賛大会」を機に白頭山に金氏3代の記念碑を建てる計画も発表している。
しかし、金正恩は、実母の高英姫(コ・ヨンヒ)の存在を在日コリアン出身だという理由で公式に讃えることも控えているし、若いという点が強調されるという懸念から本人の生年月日すら公開していない。金日成を連想させるイメージ政治で正統性を主張しようとするが、祖父の金日成と撮った写真一枚も公開したことがない。
金正恩の好戦的な統治スタイルも偶像化に「毒」になるとの見方が強い。若い歳に高齢の幹部のリードが困難だった金正恩は「恐怖政治」というカードを取り出して権力を固めようとしたが、これは結局、ただ生き残るための「過剰忠誠」を生むだけだった。権威を確保するために見せつけたカリスマが逆に首領偶像化の必須要素であるエリート層の運命共同体意識まで弱めてしまったのだ。
人民愛を掲げる偶像化宣伝も住民の目には「見掛け」にしか見えない。一例を挙げると、昨年9月、咸鏡北道で大規模な洪水が生じた当時、「労働新聞」は連日、人民愛宣伝に熱を上げて復旧作業を督励したが、金正恩本人は最後まで水害現場に現れなかった。また、北朝鮮住民たちの意識の変化も人民愛宣伝の効果を引き下げている。外部の情報と接したり、生計のために商売をしたりしている住民たちは、党と首領に対する期待をとっくに捨てた。

このように偶像化の名分が到底ない状況で、もっぱら金日成・金正恩式の偶像化の真似を続けるわけにはいかない。抗日パルチザン運動経歴を全面に押して強調した金日成と異なって金正恩にはこれと言った業績活動もなかった。また、20年間以上金日成のそばで政治基盤を固めてきた金正日に比べて金正恩は側近も存在を知らなかったほどベールに包まれた後継者だった。

これと関連し、統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は、「北朝鮮の偶像化は絶対的な忠誠を引き出すために首領の思想的能力や指導力、政策的能力を強調しなければならないが、金正恩にはこういうのが足りない。金正恩を先代と同じレベルで万能な存在として絶対視するには、根本的な限界がある」と評価した。
オ研究委員は「金正日の場合、早くから宣伝扇動部と組織指導部を掌握すると同時に主体思想の正立に関与しようとしたし、これは金正日を思想理論の英才に作りたてる作業に活用された」とし、「しかし金正恩に思想的または政治的能力を期待するエリートや住民は多くない。白頭血統や人民愛なども窮余の策として考えだした偶像化方式である」
このような背景から、金正恩が急激な偶像化には踏み切れないという観測もある。北朝鮮体制の特性上、通常通りの忠誠督励事業は続けても民心離れを懸念して過激な偶像化はしないだろうとの見解が多い。一部では北朝鮮メディアにおける金正恩の肩書の変化や記録映画の放映、記念切手の発行などを根拠に偶像化が頂点をとると見ているが、これは北朝鮮で最高指導者と関連して行ってきた通常の宣伝レベルにすぎないという意見も少なくない。
ある北朝鮮専門家は「金正日も自分の顔を彫り込んだバッジを50歳の誕生日(1992年2月16日)に制作したが、それも幹部だけが付けるようにし、大衆向けの普及は2000年代に入って始めた。今30代半ばに入ったばかりの金正恩が高齢の幹部らをなおざりにして自分を祖父・父並みに神格化することは難しい」と指摘した。
チョン・ヒョンジュン東北亜平和協力研究院長も「金正恩が祖父や父が過去に行った様々な偶像化の表現・名称を自分の名前とくっつけて活用する可能性もあるし、自分の誕生日を祝日に指定する準備をする可能性もある」としながらも「ただ、これからこのような手順になるだろうという予想で、今年や近いうちに全部実行に移すことは無理」と見込んだ。
チョン院長は特に「金正恩が今年のはじめ、自責性の発言をしたことはこれまでの偶像化パターンから大いに外れている。北朝鮮研究者の感覚ではありえないこと」とし、「金正恩本人が思い通りに偶像化が着々と進まなかったから能力不足を云々したと見られる。首領として偶像化を完成するまではかなりの時間がかかると見ている」と予想した。