弁当日記

ADACHIの行動記録です。 
青年海外協力隊で2006年4月からバングラデシュに2年間住んでました。

バングラデシュのニュース(2015/11/23) その1

2015年11月24日 | バングラデシュのニュース
=====ご紹介=====

■11民族が暮らすバングラデシュの村で子どもたちと映画を作りたい
 https://readyfor.jp/projects/6047
 (ReadyFor?)

このプロジェクトについて
バングラデシュの少数民族が通う学校で子どもたちと一緒に映画を制作し、
彼らの暮らしや文化を、映像を通してたくさんの人に届けたい!

こんにちは。バングラデシュでドキュメンタリー映画制作と、子どもたちの映画
教室を開くことに取り組んでいます、原田夏美と申します。日本大学芸術学部映
画学科在学時に、課題制作を通してこの国と出会い、卒業後はしばらく日本のド
キュメンタリー会社で勤めさせていただき、昨年からまた大好きなこの国へ戻っ
て来ました。現地で暮らしながら出会っていった、この国の少数民族の人々と風
景に魅せられ、またその人々が抱える問題なども知り、今は彼らが暮らすチッタ
ゴン丘陵地帯という場所で、映画作りの活動を始めています。

チッタゴン丘陵地帯にあるランガマティという場所に、11民族1,100人の子どもた
ちが通う寄宿舎学校があります。私はそこでこの12月から、子どもたちに映画作
りの授業を開いていくことに挑戦します。

映画を通して少数民族の子どもたちが、自分や自分たちの民族について伝えよう
とすることを応援し、同一化の傾向を受けて無くしかけている個性、文化、誇り
などを大切に持って歩んで行けるようになってほしいと願っています。

私が以前制作したショートフィルム『One Village Rangapani』。村の雰囲気をぜ
ひご覧ください。国際平和映像祭(UFPFF)2015で、「地球の歩き方賞」「青年海
外協力隊50周年賞」をいただきました。
 https://www.youtube.com/watch?v=BlxiN2zYmjE#action=share


□少数民族が抱える課題を映画製作によって解決したい

この土地の人々は、長年に渡り多くの問題を抱え続けています。たくさんの問題
がある中で、私が少しでも力になりたいと思ったのは、子どもたちが抱えている
問題です。国民の2%にあたる少数民族。その子どもたちは、小学校入学までは家
庭でそれぞれの民族語を話し育ちます。それが彼らの「母語」です。

しかし一年生になったとき、国語として教わり始めるのはベンガル語。これは彼
らにとって母国語ということになります。少数民族の子どもたちは、この国の中
で生きるため、これを受け入れ、落第もしないように、本当によく勉強している
のを知っています。ですが時々本心を聞くと、自分の民族の言葉も学校で学びた
いという子どもたちがいます。

そして悲しいことに今、やむを得ず進んでいく同一化の中、子どもたちは少しず
つ、少数であることを恥じる傾向にあるということも知りました。変わらないと
生きていけない、それはこの場所のことに限らず、世界中、何においてもあるこ
とだと思います。だけど、そんな気持ちが目の前に存在していると知って、私は
いてもたってもいられなくなりました。子どもたちにとっては、テレビ映像や映
画もまた、多数派民族の人たちが出てくるものなのでした。

そしてこの地で長期間住んでみて辿り着いたのが、現地の子どもたちの学校で、
彼らと一緒にこの地域の映画を作ろう!そして、異なる世界へ知ってもらおう!
ということでした。

□少数民族を主人公に、映画を通じて多くの方に届けたい

私が通った大学の映画学科には、一年次に「ある町」、二年時に「ある男」(人
という意味)のドキュメンタリー課題がありました。これが教授たちの代も経験
してるという程、伝統的な課題なのです。私はこの課題を通して初めてバングラ
デシュに撮影に来ました。この課題は、自分の住む場所だったり、好きな場所だ
ったり、周りの人だったり、家族だったりをテーマにドキュメントするものでし
たが、この単純なテーマを追求することが、意外と感動的なことだと、私も制作
を通して学びました。

一人一人がその課題を持ち寄った時、世界中の誰もが主人公で、大切な場所でと
いうことに気付くことができます。また、映画や映像は、それを気付きやすくし
てくれます。いつもの風景に音楽を付け、言葉を添え、そして自分が行き切れな
い所まで運ばれていくこともできます。

とは言いつつも、私が今一番届けようとしている先は、実は国内の人々です。国
内なのに民族や宗教が異なる、パッと見た姿も違う。さらには仕切る人々(政府
や団体)は歪み合っている。そんな中でなかなか知り合えなくなっているものを、
まずは少数側のものから、映像にして多数側の人々へ伝えたいと思っています。


彼らの土地は自然が美しいことは国内でも知られています。だけど、それと先住
民の人々の存在があまりリンクしておらず、尊重心に欠けているのではないかと
私は思うのです。チッタゴン丘陵地帯と先住少数民族は繋がり生活している。そ
れを、子どもたちによる「ある町」「ある男」で描き出したいと今は考えていま
す。映画という「窓」を通して、彼らを結びたいと思っています。

応援していただいた資金は、すべて映画制作のための費用に充てさせていただき
ます。

映画にすることで、この場所を知らないから差別が起きること、無関心になって
しまうことを少しでも解決したいです。そして映画を作るということで、自分の
住む町、あたりまえにいる周りの人、そして自分を含む色々なものが主役なので
あるという喜びを共有できたらいいなと思っています。

=====ここまで=====


◆イベント情報◆
○公開シンポジウム 「青年海外協力隊の学際的研究」 11/27
 http://jica-ri.jica.go.jp/ja/announce/post_234.html
○国際ベンガル学会第4回大会 12/12,13
 http://www.tufs.ac.jp/ts2/society/Bengal/

■見出し(2015年11月23日) No2015-53
〇ばんトラくんの夢と希望
 ――日本をテコとしたバングラデシュの経済成長を考える
〇木原外務副大臣とカマル・バングラデシュ計画大臣との会談
〇木原外務副大臣とチョードリー・バングラデシュ国会議員との会談
〇駐日バングラデシュ大使が来学
 The Ambassador of Bangladesh to Japan Visits Kanazawa University
〇UNWTO、バングラデシュで仏教をテーマに観光開発会議を開催
 ―本学からも日本の事例を紹介―
〇総合生存学ミニ・シンポジウム:八思を学ぶ
〇バングラの邦人殺害などでイスラム国が犯行認める 別の襲撃事件も発生
〇喜連川優教授が説く「ビッグデータ2.0」、社会イノベーションのカギは何か
〇アジア各国の職員が「国民皆保険」学ぶ 小鹿野で研修会
〇バングラデシュ:イタリア人撃たれる 3度目の外国人襲撃


■ばんトラくんの夢と希望
 ――日本をテコとしたバングラデシュの経済成長を考える
 https://www.jbic.go.jp/wp-content/uploads/reference_ja/2015/11/44120/20151118_SeriesMacro.pdf
 (国際協力銀行 2015年11月19日)

評価の低い国
2013年9月号の本誌にて、筆者はバングラデシュの直接投資先としての長所を、
主として他国との比較を通じて語った。詳細は当該寄稿文(以下「前回寄稿文」)
を参照されたいが、その後その反響を聞くことも思いのほか多く、バングラデシュ
を取り上げたことの意義を確認することができた。
そしてまたバングラデシュ、である。前回寄稿文の内容と基本的には重複しない
ようにしつつ、先般の現地出張の様子や今後の見通しも含めて、最近のバングラ
デシュ経済の一側面を紹介する。
前回寄稿文にて筆者がやや前のめりにバングラデシュの長所を取り上げた背景に
は、日本におけるその評価の低さがあった。たとえば国レベルの信用格付をみる
と、海外の大手格付会社は軒並みBB-の水準を同国に付与しており、日本で投資
先として人気の高いベトナムや最近「チャイナ+1」としても注目を集めるカン
ボジアなどと比べ、大手3社の平均値としてみれば相対的に高い格付レベルとな
っている。しかしながら、たとえば国際協力銀行の「わが国製造業企業の海外事
業展開に関する調査報告(2014年度)」における「中期的有望事業展開先国・地
域」におけるバングラデシュの順位は上位20位の圏外であり、先に触れたベトナ
ムが5位、カンボジアが15位であるのとは対照的である。もちろん、国の信用格
付と直接投資先としての人気は、判断基準も算出方法も異なるためパラレルに対
応するわけではないが、バングラデシュについては「(前回寄稿文で述べたよう
に)直接投資先としての魅力をもつうえ、国の信用力も比較的高いのにその評価
・人気は低い」というような見方は不自然ではないだろう。

バングラデシュ経済の近況──その課題も含めて
大手格付会社の信用格付が比較的高い背景には、バングラデシュ経済の安定した
推移がある(図表参照)。実質GDP成長率は10年以上にわたり5~6%台で安定し
ているほか、消費者物価上昇率もここ3年は6~7%台で落ち着いている。財政
収支もここ数年GDP比3%台以下の赤字にとどまっているほか、公的債務残高をみ
ても直近5年はGDP比3割台と低位である。経常収支は、多くの物資(資本財・消
費財)を輸入に依存する経済構造でありながら、中国に次ぐ世界順位を誇る繊維
製品の輸出と海外労働者送金による経常移転黒字により、ここ5年はGDP比±1%
台以下の幅でおおむね収支均衡する格好となっている。外貨準備も輸入比5カ月
分程度と問題ない水準にある(以上、統計の出所はすべてIMF)。

バングラデシュ経済にはもちろん課題もある。ただし、総じて改善の方向にある
とみてよいだろう。まず、特に大きな懸念材料であったのが政治・社会面である。
2015年1月、前年実施の総選挙から1周年というタイミングで、当該選挙をボイ
コットした野党連合がその正当性に抗議するため、ハルタル(ゼネスト)や交通
封鎖を実施して、治安が急速に悪化した。政府・与党は集会の禁止などにより抑
圧を強め、野党党首を事実上軟禁したほか、野党幹部を逮捕・拘束するなどした
ことで野党が弱体化したこともあり、その後、治安は落ち着きを取り戻した。

財政面では、収支でみれば上述のとおり安定しているが、税収がGDP比9%台と低
い点が問題である。低税収が難点といわれるフィリピン(15%)、インドネシア
(12%)、インド(10%)などと比較しても低い。政府は、来年にも新たな付加
価値税(VAT)を施行する見通しであり、税収基盤の拡充が期待される。金融面で
は、一部の国営銀行の不良債権比率が3割を超えるなどの問題がある。ただし、
IMFの助言や中央銀行の政策・指導もあり、今のところ大きな火種とは考えにくい。


上述したとおり、バングラデシュの安定した経常収支を支えているのは、好調な
繊維製品輸出と海外労働者送金だが、それらも伸び率でみればこのところ鈍化し
ていることから、その好調の持続性については注視しなければならない。ただし、
繊維製品輸出の業界団体であるバングラデシュ繊維製品製造業・輸出業協会(BG
MEA)は、同国の繊維業界における製品高付加価値化の促進や新規販路(中南米な
ど)開拓の支援などを進め、国際競争力を維持・増強する方針とのことである。
また、海外労働者関連業務を所管する政府機関である人材雇用訓練庁(BMET)は、
相手国の労働者受入政策などについて積極的に交渉を進めたり、派遣を容易にす
るため自国労働者を訓練したりするなどして、より多くの労働者を送り出すべく
尽力している。経常収支を支える2つの要素は、これらの取り組みもあって、当
面は安定するものと期待される。

中期的成長のカギと日本が果たし得る役割
前節でみたようにバングラデシュの経済情勢は短期的には総じて安定しているが、
より長い目で見た経済成長を考えるうえでは、資本の蓄積が大きな課題である。
インフラの発展度合いの国別比較にしばしば用いられる、世界経済フォーラム(
WEF)による直近の貿易円滑度指数(Enabling Trade Index)において、バングラ
デシュは138カ国中115位であり、バングラデシュより国の格付水準が低いパキス
タン(大手3社で最高位のS&PでB-)の114位にも劣っている。また、日本貿易振
興機構(ジェトロ)の直近の「在アジア・オセアニア日系企業実態調査(2014年
度調査)」における各国での「経営上の問題点」として「物流インフラの未整備」
を上位10項目にあげているのは、域内ではバングラデシュ、パキスタン、フィリ
ピンに限られ、なかでもバングラデシュでの指摘率が60%で最も高い(ただし、
回答企業数が少なく国によっても異なるので厳密な数値比較は適切ではない)。

バングラデシュ政府はこのことをもちろん認識している。実際、高速道路や鉄道
など多くの物流インフラプロジェクトを計画している。また、「川の中にある国」
と表現されることもあるほど、大きな河川が国内を縦横に流れており、橋きょう
梁りょう建設の需要が多いことは同国の特徴といえる。加えて、人口大国だけあ
って首都ダッカの交通渋滞がすさまじいことや、縫製工場の多い首都圏と輸出用
港湾のある商業都市チッタゴンとの距離が遠いこととも併せ、「国内のコネクテ
ィビティ」がインフラ整備におけるキーワードとなる。
それらのプロジェクトのため、世銀、ADB、JICAなどの援助機関は積極的な資金支
援を行っている。バングラデシュ自身も、政府系機関である「バングラデシュ・
インフラ金融基金(BIFFL)」の活用を始めているほか、2015年8月4日付日本経
済新聞によれば、外貨準備を原資とするインフラ整備のための国家ファンドの設
立をバングラデシュ中銀が計画中とのことである。この点につき、筆者が現地に
てアティウル・ラフマン中銀総裁を表敬訪問した際には(写真1)、ご自身が親
日的であることに言及したうえで、日本の新聞だから最初に明らかにした、と言
っていた。現地メディアさえも、本件については日経を情報源として報じていた
ようである。
親日的なのは、総裁個人に限らず、国全体にいえることである。テレビ東京の番
組「未来世紀ジパング」でバングラデシュが2014年末に取り上げられた際のコー
ナーのタイトルは「知られざる親日国の背景」であった。同番組によると、バン
グラデシュ人は「好きな外国第1位」「重要な国第1位」に日本をあげているの
だそうだ。
これに対し、日本の見方はどうか。先に、日本企業の一般的な投資先としての関
心の低さに言及したが、日本政府はバングラデシュをもっと前向きにとらえてい
るようである。2014年5月、来日したハシナ首相との会談で、安倍総理は「ベン
ガル湾産業成長地帯(BIG-B)」構想を提案した。同年9月には、安倍総理が現職
総理としては14年ぶりに同国を訪れ、再び首脳会談を実施している。もちろん、
渡航の主目的は外交上の戦略による部分が大きいだろうが、日本企業用経済特区
(SEZ)の整備を含め、二国間の親交の深まりが今後のビジネス関係の活発化につ
ながるものと期待される。
その文脈の中で、現地において、二国間ビジネス関係を深める切り札になると期
待されている「ばんトラくん」に登場してもらうこととしよう(写真2)。いわ
ゆる「ゆるキャラ」であるが、ベンガルトラをモチーフとした現地の著名画家に
よるデザインで、頭上のバングラデシュ国旗も目立つが、尻尾に日の丸を見るこ
ともできる。ダッカ日本商工会の主導によるものであり、現地の商業大臣も参加
した公式な誕生式典は2015年9月13日と、つい最近のことである。
前回寄稿文でも述べたが、よく知られるように日系企業のバングラデシュへの進
出事例は、同国の主力産業でもある繊維産業にはすでに多くみられる。いっそう
の増加や現地での産業多角化を見込むためには繊維産業以外への広がりが必要と
なるが、企業にとっての経済合理性を踏まえれば、ポーターのダイヤモンド・フ
レームワークでいう支援産業と位置づけられるような、繊維産業の周辺にある製
造機械や輸送サービス、生産・出荷・労務管理のための情報技術などの業種の進
出が期待される。とりわけ、日本もかつては繊維産業を主力としていただけに、
日本企業の知恵やネットワークの蓄積をバングラデシュでのビジネスに応用でき
る部分も多いだろう。
また、人口の多さに注目した産業も有力である。前回寄稿文においてはこの点を
主に取り上げたが、人口1億5000万人を抱えるバングラデシュは、都市国家を除
けば世界最大の人口密度を誇る。こうした人口の多さ、言い換えれば消費市場の
大きさに注目した代表的な事例には、最近でいえば、JCBが2014年からクレジット
カードの発行を始めたケースがある。前年から現地大手のプライムバンクと提携
してその土台を築いていたが、現状、クレジットカード保有者が100万人程度(人
口の0.7%)にとどまる同国でのカード発行開始は、同国の経済成長につれクレジ
ットカードを利用する中間層が増加する近い将来を見据えた慧けい眼がんといえ
るだろう(写真3)。
もちろん、バングラデシュの現下の経済状態を考えれば、マイクロファイナンス
で著名なグラミン銀行とユニクロの合弁事業である「グラミン・ユニクロ」のよ
うに、貧困層を対象としたいわゆるソーシャル・ビジネスなどの方向性を志向す
る考え方もあるかもしれない。しかし、近々の中所得国入りを展望し得る同国に
あって、産業多角化への寄与や雇用へのインパクトなど同国の経済成長への効果
を考えると、経済性を前面に出したビジネスが強く望まれている段階にあると考
えられる。


日本企業のバングラ戦略──3つのキーワード

前回寄稿文では、主としてバングラデシュの投資先としての長所を並べ立てたが、
本稿では、同国の経済についてより俯ふ 瞰かんした観点から概観した。インフラ
に若干多めの紙し 幅ふくを割いたが、国内コネクティビティの向上による全体と
しての生産性向上に加え、資本の蓄積という経済成長に重要な要素がバングラデ
シュに求められているということでもある。よく知られるように、長期の経済成
長は、資本ストック、労働力、全要素生産性の3要素で考えられることが多いが、
人口の多いバングラデシュだからこそ、適切な経済成長のために、インフラ投資
を中心とした資本の蓄積が求められている、ということである。
インフラが充実すれば、ばんトラくんが思い描くように、日本とのビジネス交流
も活発化しやすくなる。ただしそのうえでは、日本側としても、同国をよく知る
努力が求められるだろう。そのための書籍として、やや古いが『成長著しい「次
の新興国マーケット」バングラデシュ経済がわかる本』(徳間書店)、地域研究
の学術的成果である『知られざる工業国バングラデシュ』(アジア経済研究所)
などが参考になる。加えて、『バングラデシュの工業化とジェンダー:日系縫製
企業の国際移転』(御茶の水書房)は、中国からの生産移転の事例分析や労務管
理の問題など、書名が示すジェンダー問題以外にも示唆が多い文献である。また、
ジェトロのレポート『バングラデシュ進出日系企業の最前線』(ウェブ上で入手
可能)は、多様な日系企業がバングラデシュ進出の経緯や戦略、悩みなどを具体
的につづっており、現場の熱さが伝わってくる良質の資料である。
以上を総括すると、日本企業がバングラデシュ向けビジネス戦略を考える際のキ
ーワードとして、以下の3つが導き出される。まずひとつは「ばんトラ」である。
本稿のタイトルでもある、先に登場したばんトラくんのことである。日本企業の
バングラデシュ向けビジネス、とりわけ現地進出が期待されているということで
あるが、同時に、現地では、ダッカ日本商工会やジェトロなど関係機関の歓迎も
あることを想起できる、重要なキーワードである。次の「インフラ」は、繰り返
すまでもなく同国経済の課題である一方、需要という意味では日本企業にとって
の大きな事業機会でもある。また、人口が多い同国だけに、資本ストックが増え
れば潜在成長力が飛躍的に高まる可能性があるということでもある。最後に「親
日の彼ら」があげられる。彼らとはバングラデシュ人のことだが、上述の中銀総
裁の日本に関する発言にうかがえるように、バングラデシュ人が親日的であるこ
とは、日本企業が友好的に受け入れられる土壌があるということでもある。
以上をまとめると、「バントラ、インフラ、シンニチノカレラ」。これらが有機
的に絡み合ってその潜在力を発揮した経済成長を実現できれば、やや神妙な面持
ちのばんトラくんも、満面の笑みを浮かべるのではなかろうか。

※筆者略歴:ハーバード大学留学後、一橋大学商学部卒業。京都大学博士(地域
研究)。日本銀行を経て国際協力銀行へ。2012年10月より現職。08年より早稲田
大学ファイナンス研究センター客員准教授などを兼務。京都大学大学院特任准教
授。



■木原外務副大臣とカマル・バングラデシュ計画大臣との会談
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/bd/page3_001478.html
 (外務省 2015年11月19日)

1 本19日午前11時から約30分間,木原誠二外務副大臣は訪日中のムストファ・カ
マル・バングラデシュ計画大臣(H.E. AHM Mustaga KAMAL, Minister of Planni
ng)と会談を行いました。

2 木原副大臣からは,カマル大臣の訪日を歓迎するとともに,「包括的パートナ
ーシップ」の下,両国間の協力を一層推進していきたい旨述べました。また,イ
ンフラ整備等の開発協力を引き続き行っていく旨述べるとともに,邦人や企業の
保護,投資環境改善についてバングラデシュの協力を要請しました。

3 カマル大臣からは,バングラデシュの発展の経緯,今後の発展の潜在性が極め
て高いこと等につき説明があり,これまでの日本の支援に謝意を表明しつつ,更
なる日本との連携や協力に期待が述べられました。



■木原外務副大臣とチョードリー・バングラデシュ国会議員との会談
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sw/bd/page3_001479.html
 (外務省 2015年11月19日)

1 本19日午後3時40分から約30分間,木原誠二外務副大臣は訪日中のサベル・ホ
セイン・チョードリー・バングラデシュ国会議員(列国議会同盟(IPU)議長)(
H.E. Saber Hossain CHOWDHURY)と会談を行いました。

2 木原副大臣からは,チョードリー議員の訪日を歓迎するとともに,「包括的パ
ートナーシップ」の下,両国間の協力を一層推進していきたい旨述べました。ま
た,インフラ整備等の開発協力を引き続き行っていく旨述べるとともに,邦人や
企業の保護,投資環境改善についてバングラデシュの協力を要請しました。

3 チョードリー議員からは,首脳レベルのみならず,議員交流などの促進を通じ
,「包括的パートナーシップ」を推進したい旨述べるとともに,更なる日本との
連携及び日本企業の投資を強く望んでいる旨述べました。また,IPUを通じた協力
関係の促進に対する期待感が表明され,木原副大臣から,そのような協力を是非
促進していきたいと述べました。



■駐日バングラデシュ大使が来学
 The Ambassador of Bangladesh to Japan Visits Kanazawa University
 http://www.kanazawa-u.ac.jp/news/31820
 (金沢大学 2015年11月17日)

11月9日,駐日バングラデシュ大使館からマスード・ビン・モメン駐日バングラデ
シュ大使およびジバン・ランジャン・マジュンダ駐日バングラデシュ大使館経済
公使が来学しました。一行は山崎光悦学長を訪問し,バングラデシュと日本との
間の学生交流について積極的に意見を交わしました。
学長表敬の後には,大使および公使と本学に留学中のバングラデシュ人留学生と
の懇談が行われました。

On November 9, H. E. Mr. Masud Bin Momen, Ambassador of Bangladesh to Ja
pan, and Dr. Jiban Ranjan Majumder, Minister for Economic Affairs at the
Embassy of Bangladesh in Japan, visited Kanazawa University and paid a
courtesy visit to President Koetsu Yamazaki, and a lively discussion too
k place about the student exchanges between Bangladesh and Japan and oth
er topics.
Also, after the meeting, the Ambassador and the Minister met with the in
ternational students from Bangladesh who are presently studying at Kanaz
awa University.



■UNWTO、バングラデシュで仏教をテーマに観光開発会議を開催
 ―本学からも日本の事例を紹介―
 https://www.wakayama-u.ac.jp/news/2015111600054/
 (和歌山大学 2015年11月16日)

国連世界観光機関(UNWTO)とバングラデシュ人民共和国が主催する「南アジアの
仏教中核地帯における仏教遺産及び巡礼路の持続可能で包括的な開発に関する国
際会議」が、10月27~28日の2日間、同国首都ダッカ市にて開催されました。この
会議に、本学国際観光学研究センター(CTR)設置準備室の副室長である加藤久美
(観光学部教授)がゲストスピーカーとして登壇し、日本の仏教遺産や巡礼路の
事例を紹介しました。
バングラデシュは、現在人口の9割近くがイスラム教を信仰する国ですが、世界遺
産に登録される「パハルプールの仏教寺院遺跡群」等仏教遺跡が点在しています。
同会議は、アジアをはじめ各国からの政策決定者、観光当局者、専門家、産業関
係者、非政府組織、学術機関、国際機関及びマスメディア等が集結し、仏教関連
の遺跡や文化が豊富な南アジアにおける仏教をテーマとした国境を越えた観光ル
ートの開発と促進について、その課題や可能性を議論し、ロードマップを構築す
ることを目的に当地で開催されたものです。加藤副室長は、本学及びCTRの説明を
した後、信仰にかかわらず世界各国からの参拝者を集める高野山や、高野山を開
基した空海ゆかりの巡礼路である四国遍路、仏教も影響を与えたと言われる熊野
三山への熊野古道について紹介しました(*)。
同会議には、主催者であるUNWTOのリファイ事務局長や開催国バングラデシュのハ
シナ首相、ブータンのワンチュク経済大臣、タイのコープカン観光・スポーツ大
臣等も出席しており、同会議の目的を実現するため今後相互に協力していくこと
が会議全体で確認されました。

*今回の会議出席にあたり、仏教全体の歴史的変遷やその背景について、本学と
日頃より交流がある高野山大学学長の藤田光寛先生から多大なアドバイスを頂戴
しました。藤田先生のご協力に心より御礼申し上げます。



■総合生存学ミニ・シンポジウム:八思を学ぶ
 http://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/blog/2015/11/10/2015%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E3%80%8C%E7%B7%8F%E5%90%88%E7%94%9F%E5%AD%98%E5%AD%A6%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%EF%BC%9A%E5%85%AB/

 http://www.gsais.kyoto-u.ac.jp/wordpress/wp-content/uploads/2015/11/2015後期ミニシンホフライヤー-のコピー-1.pdf
 (京都大学 大学院 総合生存学館 (思修館) 2015年11月26日)

日時: 2015年11月26日(木), 12月3日(木) 18:30~20:00
会場: 京都大学東一条館1階 112会議室

総合生存学と開発途上国
        ー異分野融合によるバングラデシュ調査ー
講師:木邨洗一 総合生存学館特定教授 「総合生存学と開発援助」
学生発表:佐伯直樹 「開発途上国バングラデシュとは」
     奥井 剛 「バングラデシュにおけるリンクモデル成功事例調査」
     朱エイエイ「留学生から見た開発途上国におけるインターンシップ」




■バングラの邦人殺害などでイスラム国が犯行認める 別の襲撃事件も発生
 http://www.sankei.com/world/news/151119/wor1511190024-n1.html
 (産経ニュース 2015年11月19日)

 【ニューデリー=岩田智雄】バングラデシュで邦人男性、星邦男さん(66)
が殺害された事件で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」は19日まで
に、インターネット上の英字機関誌「ダビク」で「十字軍連合の一国である日本
の国民を標的にして打撃を与えた」と犯行を認めた。
 この事件では、イスラム国の関連組織「イスラム国バングラデシュ」を名乗る
グループがすでに犯行声明を出していた。
 イスラム国はダビクで、星さん殺害以外にも、バングラデシュでの爆弾テロ、
などで犯行を認めている。バングラデシュ政府は、国内でのイスラム国の存在を
否定している。
 一方、AP通信などによると、バングラデシュ北部で18日、別のイタリア人
男性がバイクに乗った武装集団の銃撃を受け、重傷を負った。手口は星さん殺害
事件などと似ているが、犯行声明は確認されていない。



■喜連川優教授が説く「ビッグデータ2.0」、社会イノベーションのカギは何か
 http://www.sbbit.jp/article/cont1/30399
 (ビジネス+IT 2015年11月19日)

膨大なデータを管理し、新たな価値を創出する「ビッグデータ」という考え方は、
商業的価値の創出を第一フェーズとすると、第二フェーズ、すなわち「社会価値
の創出」に移行しつつある。「ビッグデータ2.0」というキーワードを提唱する、
国立情報学研究所 所長で東京大学 教授の喜連川 優 氏が、日本ならではの独自
資源を活かした、新たなイノベーション創出の可能性について語った。

機械学習で検診コストを低減することは可能か?

 21世紀に入り、情報量は爆発的に増えた。大量の情報の積極的活用と価値創出
という考え方は、日本では2004年頃より「情報爆発時代の到来」というキーワー
ドで喧伝されはじめ、その後、2012年頃から「ビッグデータ」という言葉が定着
したのは周知の通りだ。Gartner Symposium/ITxpo 2015に登壇した喜連川氏はそ
の変遷を次のように説明する。

「テクノロジーのイノベーションは通信から始まった。その後、起きたのがコン
ピューティング(情報処理)だ。プロセッサーの性能が指数関数的に高まり、大
量の情報処理能力の次に起きたのは、膨大なデータのマネジメント(情報管理)
だ。情報の処理から管理に課題がシフトした。これがビッグデータの時代といえ
る」

 さらに喜連川氏はビッグデータにより、新しい価値=イノベーションを創出す
るためのアプローチには大きく2つあると語る。

「1つは、インクリメンタルなアプローチだ。これはデータを解析して、今より“
1%”効率を上げてくという考え方だ。とくに、インダストリー領域では、1%の
改善が大きな価値を生む。『インダストリー4.0』や『インダストリアル・インタ
ーネット』などの考え方がこれにあたる。2つ目は、破壊的な、ディスラプティブ
なアプローチだ。グーグルが提唱する『10 Times Improvement』(10倍の進化)
が代表的なモデルだ」

 喜連川氏は、社会的課題の解決にビッグデータがインパクトを与えた例として、
低所得層を対象とする国際的な事業事業であるBoP(Base of the economic Pyra
mid)の一環として行われた、バングラデシュにおけるヘルスケアの社会実験の事
例を紹介した。これは、医療、健康問題に社会的な課題があるバングラデシュに
おいて、看護師にアタッシェケース型の生体データ測定キットを携行させ、健康
診断(トリアージ)を行うという実験だ。

「『緊急』『発症』など、症状ごとにタグを付けて経過を見るという社会実験に、
2012年度の1回目には600人が、2回目には8000人が、3回目には1万人が参加し、最
終的に1万5000人以上の患者のデータが集まった。これを、機械学習を使って分析
し、検診コストを低減するモデルを検討した。実は、検診の中で最もコストが高
いのが血糖値を測定する検査だが、分析の結果、7.3%の検査誤差を許容すると、
94.8%の検診コストが削減できることがわかった。この誤差は、先進国では許容
できない数字だが、コスト削減効果を考えると、途上国では十分検討の価値があ
った」

 ビッグデータ活用が、社会的な課題に対して価値を提供できた事例である。ち
なみに、バングラデシュではヘルスケアビジネスに注目した起業家が7つのベンチャ
ー企業を設立するなど、「社会価値の創出は、民間企業と連携することでマネタ
イズ可能」ということも示している。


ビッグデータによる社会価値の創出はマネタイズが可能

医療分野における課題解決の事例は他にもある。「看護師不足と医療支出におけ
る看護師人件費」の問題だ。医療現場における看護師不足は深刻な問題だ。喜連
川氏は、看護師が日々の看護行動で、どういうことに困っているかを、ビッグデ
ータを用いて分析した。

 これは、被験者である看護師に3軸加速度センサーを装着してもらい、日常的に
どの行動に時間を取られているか(ボトルネックになっているか)を調べるとい
うものだ。

「75名の看護師を対象に、41種の看護行動を2年間、のべ1655日の看護行動と、9
12万3840サンプルを分析した結果、看護師はある行動に長時間費やしていること
が分かった。それは、看護記録をPCに入力するという作業だった」

 ※詳細はリンク先をご確認ください。


■アジア各国の職員が「国民皆保険」学ぶ 小鹿野で研修会
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201511/CK2015111702000194.html
 (東京新聞 2015年11月17日)

 アジア各国で保険政策に関わる職員らが日本の国民皆保険制度を学ぶ研修会が
十六日、小鹿野町であった。アジアの職員らが町役場や病院の担当者の説明に熱
心に耳を傾けていた。

 全ての国民が最低限の医療を大きな負担なく受けられる皆保険制度の利点を知
ってもらおうと、国際協力機構(JICA)が実施した。

 バングラデシュ、カンボジア、インドネシア、ミャンマーなどアジア九カ国の
十六人が参加。町立小鹿野中央病院や町役場を回り、医療サービスを提供する仕
組みや国民健康保険料の徴収方法などの説明を受けた。病院の担当者に細かく質
問を投げ掛け、日本の医療や行政に理解を深めていた。



■バングラデシュ:イタリア人撃たれる 3度目の外国人襲撃
 http://mainichi.jp/select/news/20151119k0000e030174000c.html
 (毎日新聞 2015年11月19日)

バングラデシュ北部で18日、イタリア人男性が銃で首などを撃たれ負傷した。
バングラデシュでは9月下旬から10月上旬、首都ダッカでイタリア人男性、北
部で星邦男さん(66)=岩手県出身=が射殺されており、3度目の外国人襲撃
となった。PTI通信などが伝えた。

 これまでの2事件では、過激派組織「イスラム国」(IS)支部を名乗るグル
ープが犯行声明を出し、ISの機関誌も犯行を主張をした。一方、バングラデシュ
当局は、ISの犯行との見方を否定している。

 18日の事件は、星さんの事件現場に近い北部ディナジプルかその周辺で発生。
男性はキリスト教の普及や医療活動で長年、同国で活動していたという。三つの
事件ではバイクで逃走する襲撃グループが目撃され、地元メディアは事件の類似
性を指摘している。(共同)

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