(1925/チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本・音楽/チャールズ・チャップリン、ジョージア・ヘイル、マック・スウェイン、トム・マーレイ、ヘンリー・バーグマン/72分)
一般的には「チャップリンの黄金狂時代」というタイトルになっているが、原題は【THE GOLD RUSH】。敬愛する双葉さんに倣って原題通りのタイトルでいきます。
その筋ではチャップリンの最高傑作といわれている作品で、確かにチャップリン36歳の脂ののりきった時期の映画だし、アラスカに金鉱探しに行くっていう冒険話ですから、マンガを実写にしたようなお笑い満載のシーンが続出のメッチャ面白い作品であります。数十年ぶりに(多分)2度目の鑑賞。懐かしく思い出しながら、やっぱりオカシクって面白くって大笑いしてしまいました。
主人公はココでも名前は無し。今回観たNHK-BS放送はオリジナル版ではなく、42年にチャップリン自身がナレーションをつけたもので、解説でも主人公は“小さな探検家”と呼ばれておりました。
チャップリンの喜劇は主人公がどんな話の中にあっても燕尾服に山高帽というスタイルで、これはディズニーのミッキーやドナルドが個々の話の中でガンマンやパイロットになるのと同じで、つまりディズニーのマンガを見るような気分で観れる。特にこの「黄金狂時代」は、主人公が燕尾服に山高帽で厳寒のアラスカ登山をやるわけですから、まさしくマンガを見るような気分で観られます。
勿論、ミッキーマウスの処女映画「蒸気船ウィリー」が1928年の作品だから、チャップリンの方が早いのですがネ。
アラスカに金鉱探しにやって来た小さな探検家チャーリー(今回も←コレでいきましょう)。
吹雪の中でお尋ね者と別の金鉱掘の大男ジムと一軒の山小屋で出会い、『出て行け!』『お前こそ出て行け!』のドタバタがまず面白い。
チャーリーは出ていこうとするがドアを開ける度に強風に押されて出ていけないというシーン。大男二人が銃を取り合う中、流れ弾に当たらないようにチャーリーが逃げるのに、銃口は常に彼を追いかけるというシーン。これらもその後何度も真似されているコントですが、チャップリンの動きが面白くてやはり笑ってしまいます。
食料が底をつき、くじ引きでお尋ね者が一人外へ食料を探しに行った後、ジムがチャーリーを大きな鳥と間違えて食べようとするシーンも可笑しい。
このシークエンスでは、チャーリーの革のどた靴を煮てジムと二人で食べるシーンが有名で、靴の上の部分をジムが、底の部分をチャーリーが食べます。チャップリンの映画には必ず食事のシーンが出てきますが、これが一番記憶に残る食事ではないでしょうか。
結局、ジムの幻覚で鳥に間違われて食べられそうになったチャーリーが小屋に迷い込んだ熊を撃ち殺し、二人の腹も満ち足りたものになる。
食料を探しに行ったお尋ね者は、捜索に来た保安官を殺し、ジムの金鉱を横取りしようとする。この時の格闘でジムは記憶を無くすが、これは後日チャーリーが再び山に入る伏線になっている。
山から下りたチャーリーは、麓の町の酒場で働くジョージアという女性に恋をする。ココが第2幕。
ジョージアも一攫千金を求めてやって来た女か。女好きの色男が強引に誘うが、ジョージアはなびかない。一攫千金よりは、今は誠実な男を求めているようである。初めて出会った夜、当て馬にされただけなのに、美しいジョージアに恋してしまったチャーリー。
腹を空かしたチャーリーは行き倒れを装って鉱山技師をしている男に救ってもらう。技士が山に調査に入る間留守を守ることになったチャーリーは、遊びに来たジョージアと大晦日の夜の食事の約束をする。
チャーリーの枕の下に自分の写真を見つけたジョージアは軽い気持ちで承諾するが、OKをもらった後のチャーリーの有頂天ぶりが私の大好きなシーンです。チャップリンは“普通の男”の感情を面白く表現する天才ですな。このシーンを見ながら、数十年前にも“寅さん”や西田敏行を思い出したもんです。
大晦日の夜、酒場で騒いでいたジョージアは約束を忘れてしまい、彼女の友人達へのプレゼントまで用意していたチャーリーは一人寂しくテーブルで眠り込んでしまう。ここにもこの映画の有名なシーンがあります。ロールパンの踊り。
フォークをロールパンに挿し、バレリーナに見立ててテーブルの上で踊って見せるチャーリー。類い希なるセンスが溢れるシーンです。
3幕は、酒場で再会したジムと再び山へ入るシークエンス。
金鉱の場所を忘れてしまったジムだが、チャーリーのことは覚えていて、彼と山に行けば金鉱の場所も思い出すと信じている。ここで山は再び猛吹雪になり、今度は小屋ごと崖っぷちまで飛ばされてしまう。墜落寸前の状態に気付いていない二人の男の可笑しさと、気付いた後のドタバタがスリル満点に、そして大仕掛けのコントのように描かれる。ミニチュアと実写の合成でしょうが、60年代の東宝の怪獣物のレベルには既に達しておりましたな。
こうやってストーリーを思い出していくと、書ききれないコントも沢山思い出されてきます。しかも、どれも面白い。
「黄金狂時代」がチャップリンの最高傑作かどうかはともかくとして、面白可笑しいという点ではベスト・フィルムに間違いないでしょう。その後のコメディに使い回されたコントやギャグのオンパレードであり、そういう意味でも歴史的傑作と呼ばれているのかも知れません。
金鉱を探し当てた二人は大金持ちとなり、本国への船による帰路に就く。偶然にも同じ船にはジョージアも乗っていた。
大金持ちになったジムとチャーリーを本にしようとマスコミが取材に訪れ、チャーリーのみすぼらしい身なりでの記念写真も撮ろうとする。以前と同じ姿のチャーリーと再会したジョージアは彼を密航者と勘違い。チャーリーの代わりに船賃を払おうとするが・・・というハッピーエンドでありました。
オリジナル版とはラスト・シーンが少し違っている(オリジナルはチャーリーとジョージアのキスシーンでエンドらしい)とのことですが、記憶もないし確認もできていません。尚、ナレーションによる解説付なので、当然オリジナルより時間は短縮されております。
※“ロールパンの踊り”のイラストは、制作者 金子誠一氏の了解を得て使用しております。
一般的には「チャップリンの黄金狂時代」というタイトルになっているが、原題は【THE GOLD RUSH】。敬愛する双葉さんに倣って原題通りのタイトルでいきます。
その筋ではチャップリンの最高傑作といわれている作品で、確かにチャップリン36歳の脂ののりきった時期の映画だし、アラスカに金鉱探しに行くっていう冒険話ですから、マンガを実写にしたようなお笑い満載のシーンが続出のメッチャ面白い作品であります。数十年ぶりに(多分)2度目の鑑賞。懐かしく思い出しながら、やっぱりオカシクって面白くって大笑いしてしまいました。
主人公はココでも名前は無し。今回観たNHK-BS放送はオリジナル版ではなく、42年にチャップリン自身がナレーションをつけたもので、解説でも主人公は“小さな探検家”と呼ばれておりました。
チャップリンの喜劇は主人公がどんな話の中にあっても燕尾服に山高帽というスタイルで、これはディズニーのミッキーやドナルドが個々の話の中でガンマンやパイロットになるのと同じで、つまりディズニーのマンガを見るような気分で観れる。特にこの「黄金狂時代」は、主人公が燕尾服に山高帽で厳寒のアラスカ登山をやるわけですから、まさしくマンガを見るような気分で観られます。
勿論、ミッキーマウスの処女映画「蒸気船ウィリー」が1928年の作品だから、チャップリンの方が早いのですがネ。
アラスカに金鉱探しにやって来た小さな探検家チャーリー(今回も←コレでいきましょう)。
吹雪の中でお尋ね者と別の金鉱掘の大男ジムと一軒の山小屋で出会い、『出て行け!』『お前こそ出て行け!』のドタバタがまず面白い。
チャーリーは出ていこうとするがドアを開ける度に強風に押されて出ていけないというシーン。大男二人が銃を取り合う中、流れ弾に当たらないようにチャーリーが逃げるのに、銃口は常に彼を追いかけるというシーン。これらもその後何度も真似されているコントですが、チャップリンの動きが面白くてやはり笑ってしまいます。
食料が底をつき、くじ引きでお尋ね者が一人外へ食料を探しに行った後、ジムがチャーリーを大きな鳥と間違えて食べようとするシーンも可笑しい。
このシークエンスでは、チャーリーの革のどた靴を煮てジムと二人で食べるシーンが有名で、靴の上の部分をジムが、底の部分をチャーリーが食べます。チャップリンの映画には必ず食事のシーンが出てきますが、これが一番記憶に残る食事ではないでしょうか。
結局、ジムの幻覚で鳥に間違われて食べられそうになったチャーリーが小屋に迷い込んだ熊を撃ち殺し、二人の腹も満ち足りたものになる。
食料を探しに行ったお尋ね者は、捜索に来た保安官を殺し、ジムの金鉱を横取りしようとする。この時の格闘でジムは記憶を無くすが、これは後日チャーリーが再び山に入る伏線になっている。
山から下りたチャーリーは、麓の町の酒場で働くジョージアという女性に恋をする。ココが第2幕。
ジョージアも一攫千金を求めてやって来た女か。女好きの色男が強引に誘うが、ジョージアはなびかない。一攫千金よりは、今は誠実な男を求めているようである。初めて出会った夜、当て馬にされただけなのに、美しいジョージアに恋してしまったチャーリー。
腹を空かしたチャーリーは行き倒れを装って鉱山技師をしている男に救ってもらう。技士が山に調査に入る間留守を守ることになったチャーリーは、遊びに来たジョージアと大晦日の夜の食事の約束をする。
チャーリーの枕の下に自分の写真を見つけたジョージアは軽い気持ちで承諾するが、OKをもらった後のチャーリーの有頂天ぶりが私の大好きなシーンです。チャップリンは“普通の男”の感情を面白く表現する天才ですな。このシーンを見ながら、数十年前にも“寅さん”や西田敏行を思い出したもんです。
大晦日の夜、酒場で騒いでいたジョージアは約束を忘れてしまい、彼女の友人達へのプレゼントまで用意していたチャーリーは一人寂しくテーブルで眠り込んでしまう。ここにもこの映画の有名なシーンがあります。ロールパンの踊り。
フォークをロールパンに挿し、バレリーナに見立ててテーブルの上で踊って見せるチャーリー。類い希なるセンスが溢れるシーンです。
3幕は、酒場で再会したジムと再び山へ入るシークエンス。
金鉱の場所を忘れてしまったジムだが、チャーリーのことは覚えていて、彼と山に行けば金鉱の場所も思い出すと信じている。ここで山は再び猛吹雪になり、今度は小屋ごと崖っぷちまで飛ばされてしまう。墜落寸前の状態に気付いていない二人の男の可笑しさと、気付いた後のドタバタがスリル満点に、そして大仕掛けのコントのように描かれる。ミニチュアと実写の合成でしょうが、60年代の東宝の怪獣物のレベルには既に達しておりましたな。
こうやってストーリーを思い出していくと、書ききれないコントも沢山思い出されてきます。しかも、どれも面白い。
「黄金狂時代」がチャップリンの最高傑作かどうかはともかくとして、面白可笑しいという点ではベスト・フィルムに間違いないでしょう。その後のコメディに使い回されたコントやギャグのオンパレードであり、そういう意味でも歴史的傑作と呼ばれているのかも知れません。
金鉱を探し当てた二人は大金持ちとなり、本国への船による帰路に就く。偶然にも同じ船にはジョージアも乗っていた。
大金持ちになったジムとチャーリーを本にしようとマスコミが取材に訪れ、チャーリーのみすぼらしい身なりでの記念写真も撮ろうとする。以前と同じ姿のチャーリーと再会したジョージアは彼を密航者と勘違い。チャーリーの代わりに船賃を払おうとするが・・・というハッピーエンドでありました。
オリジナル版とはラスト・シーンが少し違っている(オリジナルはチャーリーとジョージアのキスシーンでエンドらしい)とのことですが、記憶もないし確認もできていません。尚、ナレーションによる解説付なので、当然オリジナルより時間は短縮されております。
※“ロールパンの踊り”のイラストは、制作者 金子誠一氏の了解を得て使用しております。
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】
そうそう。ジムはうんざりしながら食べてましたが、チャーリーは最後まで満足そうにたいらげてましたね。
靴の釘をチキンの骨のようにしゃぶりながら・・。
<ロールパンのシーン
私もこのシーンは大好きです^^)。目の下にクマをつくって、それでも紳士のマナーを忘れずにクツを食べる。目がいっちゃって爆笑です。
色々とお褒めいただいてコチラこそ恐縮です。
なかなか観る時間がないのですが、観たものはなるべく書くようにしています。子供の頃は重箱の隅をつつくような見方をしておりましたが、今は出来るだけ楽しむように観ております。
今日はサーカスの放映でした。
録画して見ることができましたが爆笑でした。こんなに笑ったのはいつ以来だろうというくらいに。
ブログ内の各映画評も読みました。古い映画の多いのがいいですね。思い出してまた見たくなりました。
私も、真似て書くつもりが段々と備忘録化してきてまして、借り物の言葉が嫌いなので、今は『備忘録でいいや』と開き直っております。
TBもう一度やってみましょう。
お気に入りの件、コチラは既にリストに入れさせていただいてます。今後ともよろしく!
双葉さんがお好きですか? 私、勝手に私淑してその映画分析技術を日々学んでいるくらい、尊敬しています。私の文章も、どこか似ていませんか? 文章もちょっと真似たりしているんです。
この作品は恐らく娯楽を極めようとして芸術の域に達した数少ない映画の一つではないでしょうか。
gooとの相性は万全とは言えない(文字化けがある)のですが、それでもTBは問題なく出来てきましたが。関連付けられるとクリアすることもあるので、もう一度トライしてみては如何ですか?
双葉ファン同士ということで、お気に入りブログに入れさせて戴きます。