テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

裸足の1500マイル

2003-12-24 | ドラマ
(2002/フィリップ・ノイス監督/エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー)


 「パトリオット・ゲーム(1992)」「硝子の塔(1993)」「今そこにある危機(1994)」「ボーン・コレクター(1999)」のフィリップ・ノイスが、製作も兼ねて作った作品。彼は、舞台となったオーストラリアの出身ということだ。

 時代は1931年。日本でいえば昭和6年。
 オーストラリアは豪州ともいうが、当時のオーストラリアでは、「白豪主義」といって、有色人の移民に制限を設けていた。更に、原住民アボリジニに対しても「白人」化政策として、親と子供を隔離し、子供に対してヨーロッパの教育を施そうとしていた。表向きは慈善事業のようだが、実は白人との混血を増やして、アボリジニの血を無くしてしまおうという、とんでもないモノだったのだ。ホロコーストに近いですな。

 ケネス・ブラナーがアボリジニ保護局の所長を演じていたが、非常に鼻持ちならない人間で、白人至上主義というか、白人が人間として一番優れているという思いこみで生きているのが伝わってきて、実に嫌みであった。

 話は、この「白人」化政策によって施設に強制的に連れてこられたアボリジニの女の子3人が、施設を抜けだして母のいる"村"に帰り着くまでの行程が描かれている。3人の女の子の内の1人の娘さんが書いた実話が原作。1500マイルというから、約2400㎞。日本縦断の徒歩での旅だ。

 同じアボリジニの追跡人も出てきて、彼の捜索をいかにかわすかというシーンはスリルもある。砂漠を横断する時もあり、水の確保はどうしたのか、少し描き切れてなくて心配した。

 旅の途中では、白人の家に雇われているアボリジニの女性が出てきて、女の子達を匿ったりするが、思わぬところから所在がばれる。要するに、この女性は雇われているのではなく、奴隷なのであろう。オーストラリアの歴史は、アメリカの歴史と通じるモノがある。

 冒頭のいくつかのシーンは、構図が作為的でつまらなかったが、それ以外は自然でたるみもなくてよい映画でした。

 オーストラリアが舞台でアボリジニが出てくる映画といえば、「美しき冒険旅行(1971) 」を覚えている。ニコラス・ローグ監督で、ジェニー・アガターが主役の女の子を演じていた。あれも大自然の中を旅するストーリーだったなあ。

・お薦め度【★★★=一度は見ましょう】 テアトル十瑠

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サイン | トップ | ターミネーター3 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今日見ました~ (anupam)
2006-10-19 21:16:44
「美しき冒険旅行」(未見)にアボリジニ少年として出ていたのが、今回「裸足の~」の追跡人のおじさんなんでしょ?少年がおじさんへ・・時のたつのは早いですね。



ジェニー・アガターとかどうしているんだろ?結構当時人気あったですが



返信する
ホントだぁ!? (十瑠)
2006-10-20 08:22:40
あの少年が追跡人に・・・って、どんな少年だったか全然覚えてないですけど、確かにデータではそうみたいっすねぇ。



ジェニー・アガター。

あの映画ではスッポンポンで泳ぐシーンがあったりして(男子の)話題になりました。映画には出ているようですが、未公開が多いようですね。

50代半ばだから、渋い演技してるんだろうなぁ。
返信する

コメントを投稿

ドラマ」カテゴリの最新記事