hanana

二度目の冬眠から覚めました。投稿も復活します。
日本画、水墨画、本、散歩、旅行など自分用の乱文備忘録です。

●六町ミュージアムフローラ「若冲と梅花と白雪」

2022-12-02 | Art

しばらくはのんびり、写真の整理などしております。

その勢いで、書きかけで下書き保存したままだった日記にも写真をつけて、いくつかアップしていこうと思います。記憶がよみがえって脳の刺激によろしいです。

以下、11カ月も前、1月末の日記です。

(注)現在の企画展は、「北斎・応挙とかわいい仔」展です。(12月1日~2023年1月31日)

お久しぶりのつくばエクスプレス。足立区の六町駅から徒歩5分ほどの六町ミュージアムフローラへ。

(撮影は、数点入るような感じですとOKだったと記憶しておりましたので、少し離れて撮っているため、小さめになっています。)

今期は併設企画ということで、始まりは「海老原喜之助展」から。

油彩の本画、ポスター、デッサンなど様々な展示。

そんななかで、とくに強く引き込まれたのは、簡素な素描だった。

喜之助の目の動き、見つめたもの、考えたこと。素描だからこそ、ストレートに伝わるのだろうか。その生々しさに驚く。

壺の模様ですら、弾むよう。生きてるって感じ。それらがぐいぐい来る。

藤田嗣治のデッサンにも感じたのだけど、人間のとらえかたが力強い。喜之助は、もっとぶしつけなほど。そして筆圧が強い。

 

ヤカンと女体って…。似てるけど。

ヤカンの形もリズミカルに踊りだすから不思議。

喜之助って、壺とか丸みあるもの描くと、どうしても女体に寄っていくらしい。

 

海老原喜之助というと、色のひとという印象だったのだけれど、そもそも形の面白さに魅せられたひとだったのか。

そしてリズム。生き生きとして。でもその先に、人間の切なる瞬間に行きついている。漏れ出てしまう感情。喜之助は、「素描(デッサン)とは、絵画それ自体であると私は確信するのである、」と言葉を残している。

 

海老原喜之助(1904~1970)

鹿児島生まれ、有島生馬の知遇を得て18歳で上京し、川端画学校で学ぶ。

23年、パリの藤田嗣治のもとへ。藤田に師事し、ブリューゲルやアンリ・ルソーの庶民性を学ぶ。藤田と有島生馬を生涯の師と仰いだとある。

「群鳥」1928 

たくさんの烏。と思いきや、その一羽一羽各々の意志が明確にとらえられている(!)。

枝や羽根や尾には筆のかすれがある。水墨画の線のようなワイルドな速さ。命が動いている、と感じざるを得ない。「群」の、一羽一羽の生命感が描きこまれていた。

それから、雪と空にも見入る。絵の具を重ねて塗りこめ、印象的な感触。

重い雪雲の空なのだけど、見ていると不思議に受ける印象が青く澄んでいく。青と白と黒の画から生命感が放たれている、そんな絵になった。

 

喜之助はその後も何度か渡欧しながら、疎開後は鹿児島、逗子などで制作を続け、若手の指導にも尽力する。

1967年に渡欧し、68年にスイスの藤田を見舞う。看病を続け、葬儀や整理にもあたる。帰国前の70年にパリで亡くなる。

それから、日本画の展示へ。

梅や雪を描いた作品たち。

左から、那波多目功一「早春譜」、那波多目功一「春の雪」、小泉智英「訪春季」

特に、「早春譜」の入り組んだ枝や膨大な花・つぼみには、その綿密な写生力に驚かされると同時に、つぼみの固いの咲きそうなの、ふっくらぐあいと、とそれを楽しんでいるようなのが印象的。

「春の雪」も見惚れることしきり。藁の傘は、金で描かれて美しく、ほほえましく。牡丹雪を描く技術?にも感嘆。上村松園の牡丹雪も美しいけれど、この牡丹雪はさらに大きく重い牡丹雪で、落ちる速度も推し量れる。

 

この美術館は、そこここに季節の花や枝物が活けられているので、あわせてのお楽しみです。

牧進(題を忘れてしまいました)

 

 

左側:思いがけず岩橋永遠に出会う!「うそ」

和紙に墨の濃い薄い、じわじわくる。

ウソのかわいさ。枝も、上から斜め下に降りてきて、と思うと最後に小枝が上へとのびあがり、ほのぼぼとかわいい。

 

若冲は、「白梅」と「伏見人形」。

伏見人形の賛は、蜀山人:「径山も 富士も布袋も西行も 外に細工は あらが年能(ねの) 徒知(つち)」

 

福田平八郎(左)と奥村土牛(右)は、新春にぴったりのやさしい作品。

 

大好きな前田青邨の「梅日和」は、写真が撮れておらず涙、平山郁夫鑑の箱書きだけ撮れていた…。

透けるようなたらしこみの幹をじっくり堪能。点のみで描かれた花もふっくら。

 

他にも下村観山や大観、寺崎廣業、松尾敏夫などゆっくり拝見。

最後に二階で、サービスでいただけるコーヒーでひと息、ゆっくり。ありがとうございました。

 

 

 

 

 



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